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“潘基文の落馬”を残念がる日本、その理由とは?

登録:2017-02-03 03:05 修正:2017-02-03 07:45
日本の主要マスコミ、潘前総長の不出馬宣言を1面で報道 
12・28合意継承する唯一の候補の消滅に落胆隠せず
潘基文前国連事務総長が2月1日午後、国会政論館で大統領選挙不出馬を宣言する緊急記者会見を終えた後、記者らの質問に口を閉ざしたまま固い表情で国会議事堂を後にしている=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

「韓国『保守の軸』消滅」(読売新聞)、「韓国保守の本命不在に」(日本経済新聞)

 1日、潘基文(パン・ギムン)前国連(UN)事務総長の突然の大統領選不出馬宣言は、隣国の日本でも大きな反響を呼び起こした。朝日新聞、読売新聞など日本の5大全国紙は一斉に潘前総長の出馬断念の知らせを1面の主要ニュースなどで扱った。

 ところが、論調は落胆そのものだった。

 日本の保守の情緒を代弁している読売新聞は、1面で「潘氏は保守系の有力候補とみられていたが、1月に韓国に帰国後も支持率が低迷していた。保守系では唯一の有力候補だった潘氏が不出馬を決めたことで、大統領選の構図が大きく変わる」と報じた。

 同紙はどうして潘前総長の落馬を残念がっているのか。

 日本軍「慰安婦」問題に対する韓日政府間の12・28合意のためだ。同紙が本格的に本音を表したのは1面ストレート記事に次ぐ8面の解説記事だった。読売新聞はこの記事で「潘前総長は、国連事務総長時代、慰安婦問題の日韓合意を評価したが、(これが)左派系メディアから攻撃を受ける原因となった」、「(12.28合意を)否定するなど反日的姿勢が目立つ共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)元代表に(選挙構図が)有利になるものとみられる」と評した。朝日新聞も潘前総長は「慰安婦問題の日韓合意について評価した発言が批判にさらされた」と伝えた。

 日本のマスコミは潘前総長が国連事務総長在職時には、韓日間の主要懸案について“中立”を守っていないとして、批判する記事を少なからず掲載してきた。しかし、昨年末、韓国社会を揺るがした“ろうそく集会”で朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾の危機に追い込まれると、このような危機状況を収拾し、韓日関係を安定的に率いる保守陣営の代案として、潘前総長に注目してきた。

 日本の保守は韓日関係が悪化した原因が、日本の歴史的過ちに反省的な姿勢を示さない安倍晋三政権の歴史修正主義ではなく、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代以降本格化された韓国の「386世代」の反日感情にあると見ている。盧武鉉元大統領の長年の側近であると同時に同僚だった文元代表が韓国の大統領になれば、12・28合意が破棄され、韓日関係が悪化するかもしれないと憂慮しているのだ。

 産経新聞は「潘氏が出馬を断念したことで、大統領選は朴槿恵大統領の弾劾訴追を主導した左派系の最大野党である共に民主党の文在寅元代表に一層有利な情勢となった。潘氏以外に有力候補がいない保守派では、与党セヌリ党を集団離党した議員らが発足させた第3野党『正しい政党』のナム・ギョンピル京畿道知事と、朴氏に反旗を翻した非朴派の中心人物であるユ・スンミン議員が出馬を表明している」と報じた。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/780988.html 韓国語原文入力:2017-02-02 10:37
訳H.J(1516字)

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