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[ニュース分析]「賠償金」でない10億円めぐる韓日の意図された曖昧さ

登録:2016-08-14 22:36 修正:2016-08-15 13:12
出資金の名称により12・28合意の性格決まる 
韓国国内の反発で合意が崩れる懸念も
今年7月25日(現地時間)、ユン・ビョンセ外交長官(左)が、ラオス・ビエンチャンの国立コンベンションセンター(NCC)で開かれた韓日外相会談で岸田文雄・外相と対話している/聯合ニュース

 日本政府が日本軍「慰安婦」問題に対する韓国と日本政府間の12・28合意で拠出を約束し、今月の12日の韓日外相協議により「迅速に拠出」する意思を再確認した10億円を、どう表現すべきだろうか。

 12・28の合意と関連し、韓日政府は意味のある発表をこれまで2回行っている。第一は12・28の合意直後、ユン・ビョンセ外交部長官と岸田文雄・外相が開いた記者会見であり、第二は両国外相が今月12日に電話会談を行ってから発表した両国政府の発表文だ。興味深いのは、いずれも10億円の性格を示す「名称」を明らかにしていない点だ。実際に、両国は12・28合意の際には、この資金を「日本政府の予算」と呼び、12日の発表文では「(日本の)政府予算10億円」(韓国)、「10億円の資金」(日本)と表現するのに止まった。

日本が支給する資金の名称//ハンギョレ新聞社

 韓日両国政府が、このように曖昧な態度を維持しているのは、この資金の性格を決める瞬間、12・28合意の性格が明確に規定されることになり、韓国国内の反発で合意自体が崩れる結果を招くことを懸念しているためと見られる。

 日本政府は1995年に日本国民の寄付金を基にした「アジア女性基金」を発足させ、韓国などの慰安婦被害者たちに支給する一時金の名称を「償い金」(韓国語翻訳・慰労金)と決めた。しかし、「これは日本の道義的責任を認めたものであって、法的な責任を認めたもののではない」との被害者たちの反発が続き、事業自体が失敗に終わった。当時、基金に参加した和田春樹・東京大名誉教授は「償い金」を「贖罪金」と翻訳したなら、韓国の反応が異なっただろうと残念さをにじませた。そのためか、韓国政府は、日本政府が支給する10億円に「賠償的性格がある」との折衷的な説明を試みてきた。

 しかし、日本は、この資金が韓国側の要求する「賠償金ではない」との立場を重ねて強調してきた。 岸田外相は12日の記者会見でも10億円の性格に対する日本のメディアの質問に「慰安婦問題に関する請求権問題は法的に解決済みである(1965年の韓日請求権協定)という立場は全く変わりない」として、この資金が、日本が法的責任を認めるということを前提にした「賠償金ではない」ことを明確にした。結局、日本が負担する資金の性格と関連し、「12・28合意」は21年前のアジア女性基金から一歩も前進していないことになる。

東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-08-14 18:11

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/756637.html 訳H.J

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