「災難な貿易交渉が米国の製造業を弱体化させた。中国を自由貿易市場に引き込んだのは大きな間違いだった」
共和党全党大会最終日の21日、ドナルド・トランプ氏は大統領候補受諾演説で、米国の中間層を崩壊させた元凶の一つに「中国との自由貿易」を指摘した。米国の製造企業が中国に大挙して移動し、米国の雇用が減ったという論理だ。
だが最近の研究の結果によると、中国の内需経済が低迷し賃金が上がるに伴い、中国に渡った米製造企業が再び米国に戻ってくる傾向が著しいと米紙ニューヨーク・タイムズなど外信が22日に報じた。
世界的な経営コンサルティング会社の「ボストン・コンサルティング・グループ」が昨年行ったアンケートで、 中国に工場を置く米製造企業のうち年間売上高10億ドル(約1060億円)以上の企業263社を対象にした調査の結果によると、「米国に再移転を実施している、あるいは2年以内にその計画がある」と回答した企業が対象企業のうち24%に上った。中国に進出した米国の大手企業の4社のうち1社に当たる。
2012年の同じ調査では米国へ回帰する企業が10%にとどまったのに対し、ここ3年で2倍以上増えたことを示す。コンサルティング会社「APCO」のジム・マクレガー会長は「トランプ候補は昔の問題を声高に取りあげている」と皮肉り、「ここ数年、新しい中国の労働市場は急速に変化しており、(中国で)輸出を主力とする製造業はより困難になっている」と診断した。
海外に進出した企業が再び本国に戻ることを表す「リショアリング」が中国に進出した米国企業を中心に活発に行われている原因は、中国の賃金が上がり、製造業国家としての中国の競争力が徐々に弱まっている点が挙げられる。現在、中国の労働者の平均賃金は424ドル(約4万5000円)で、これは3年前に比べ約29%上がった数値だ。ベトナムの労働者の賃金は中国の半分にすぎず、バングラデシュは4分の1の水準であることを考えると、相対的に非常に高いと中国に進出した米国企業は感じる。
内需低迷と高い失業率により、中国の労働者も打撃を受けている。昨年の中国の経済成長率は25年ぶりに最低値である6.9%を記録した。在中米商工会議所のジェームズ・ジマーマン会頭は「中国が今も健康で豊かな労働市場の恩恵を享受しているという考えは大きな誤り」と指摘した。
一方、共和党大統領候補のトランプ氏は24日、米NBC放送のインタビューで、世界貿機関(WTO)から米国が撤退する方案も検討できるという立場を明らかにした。トランプ氏は「国外に生産的な仕事を持ち出す米国企業が生産した製品には15〜35%の税金をかける考え」と述べ、「世界貿易機関の通過が難しい」との指摘に対し「世界貿易機関は災害だ」と主張した。
韓国語原文入力:2016-07-25 22:12