「この法案に賛成する諸君の起立を願います」
24日午後1時、衆議院本会議。 日本で猛威を振るう「ヘイトスピーチ」(人種嫌悪集会)を根絶するために作られた、いわゆる「ヘイトスピーチ解消法案」(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案)は、この日表決された9法案の最後の案件として上程された。
法案の賛否を問うため大島忠盛・衆議院議長が起立を要請すると、日本の与野党議員がいっせいに立ち上がった。 「起立多数。これによりこの法案は可決されました!」。 2013年10月に民進党(当時は民主党)の有田芳生議員(参議院)など日本社会からヘイトスピーチを追放しようとする一部の議員が研究会を作り活動を始めてから2年ぶりに法律が制定された。 ヘイトスピーチが許されない行動であることを法律として確認し、これをなくすことを国家と地方自治体の責務として定め、具体的な政策対応をしていくという内容だ。
しかし、ヘイトスピーチに対する具体的な禁止規定や罰則は含まれていないため、東京の都心で韓国・朝鮮人を蔑視するヘイトスピーチがされても、直ちに防ぐことは現時点では不可能だ。 日本の法務省によれば、2012年4月から2015年9月までに確認されたヘイトスピーチは計1152件に達する。
この法律がどこまで実効を上げられるかについては日本国内でも意見が分かれている。 法を作った議員は「一歩前進」と評価している。 自民党の西田昌司議員(参議院)は「ヘイトスピーチはしてはならないということを宣言する立法府の意志があらわれた」とし「司法府が判断する際にも(この法を)尊重するだろうし、行政の解釈指針にもなるだろう」と明らかにした。
しかし、在日同胞が多く暮らしている集団居住地域の悩みは深い。 日本の右翼のヘイトスピーチは、大阪の鶴橋、神奈川県の川崎、東京の「韓流通り」の新大久保などで集中的に行われてきた。特に川崎では、今回の立法をあざ笑うかのように6月5日にヘイトスピーチが予告されている。 川崎市の福田紀彦市長は朝日新聞とのインタビューで「まったくもどかしい。毅然として対応したいが悩ましい」と述べた。
一方、日本の衆議院が嫌韓デモに対応するヘイトスピーチ解消法を通過させたことに対し、韓国外交部のチョ・ジュンヒョク報道官はこの日午後、定例ブリーフィングで「法案の通過を評価する」とし、「これを契機に同胞を含め日本で生活するすべての日本以外出身者がさらに安全に生活できる環境が作られることを期待する」と明らかにした。