安倍政権の「安保法制」集団違憲訴訟を開始
安保法制違憲訴訟の会共同代表
「この訴訟は忘却との戦いだ」
日本国内で80%を超える憲法学者から「違憲」または「違憲の疑いがある」と評価されている安倍政権の「安保法制」の違憲性を問う集団訴訟が今月26日に始まった。 2014年7月、日本の集団的自衛権行使を容認する閣議決定がなされてから1年10カ月、これに基づく具体的法案を昨年9月の国会で強行採決で通過させてから7カ月経った。 この訴訟を率いている「安保法制違憲訴訟の会」の内田雅敏共同代表(70)は、「日本では(韓国とは異なり憲法裁判所がなく)違憲訴訟を起こすには国民が被る具体的被害に対する損害賠償を請求する形式を借りなければならず、訴訟準備に時間がかかった」として「日本の全法曹界がこの訴訟を自身の社会的責務と考えて臨んでいるだけに、裁判所でも責任を持って判断しなければならない」と話した。
-2014年7月に集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がなされた。 その後、実際に訴訟が始まるまで相当な時間がかかった。
「日本ではある法律が違憲という時、そのような抽象的な違憲性に対して違憲有無を確認できる司法的手続きがない。 そのため裁判をするには(市民が被る)具体的被害を掲げて損害賠償請求をしなければならない。 集団的自衛権の行使が容認され、日本の安保政策の根幹が変わった。 『それによりあなたが現在どんな損害をこうむっているのか」という問題が発生する。 法律家の立場で訴訟を準備するには具体的な被害性がなければならないので(実際に訴訟を行うけれど)誰もが躊躇した。 しかし、今回の事態は単純に憲法に違反する法律ができたということにとどまらず、憲法自体が(下位の)閣議決定という方法によって変更されるという点が重要だ。 また、実際に(一部市民に)具体的な危険が発生している。 そのような点に対する(法理的な)研究を繰り返した後、今回提訴することになった」
-保守的な日本の司法に前向きな判断が下せるか。
「このような例がある。 2004年福岡地方裁判所で小泉純一郎元首相の靖国神社参拝に対して“違憲”という判決を下した。 もちろん具体的な損害賠償については棄却した。 損害賠償請求を棄却するなら(裁判所が)もはや判断する必要はないではないかという意見があるかもしれないが、原告は損害賠償金のために裁判をするのではない。 裁判所が違憲性について判断を回避すれば、今後も同じ行為が度重なる可能性が高いと言える。 亀川清長という当時の裁判長は、『当裁判所は違憲性について判断することが自らの責務と考える』として、首相の神社参拝が違憲という結論を出した。
私は裁判所が判断を下した理由として「ここで判断しなければ違憲状態がますます大きくなるだろう」という点を指摘したことを非常に高く評価する。 日本の法曹界の内部には今回の安保法制が「異常なこと」という共感が形成されている。 「すべての法曹界が法曹人の責務として裁判を起こす。 裁判所も責任を持って判断してほしい」というのが私たちの主張だ」
-裁判は大きく二つの内容で構成されていたが。
「一つはこの法律による自衛隊の出動を中止してほしいということで、もう一つは損害賠償判決だ」
-今回の訴訟に対する市民の参加は。
「会で一般市民の応募を受け付けて原告団を集めた。 26日に訴状を提出した1次訴訟には500人程度が参加した。 参加意思を明らかにした人々はもっと多いが、原告として裁判に参加するには委任状などの書類手続きが必要だ。 今後6月に2次原告団を追加し、3~4次に拡大し続ける。 参加意思を明らかにした人々は1500人程度になる。 訴訟は地方でも準備中だ。 ひとまず東京といわきで一次訴訟を始め、神奈川、埼玉、福岡、広島、大阪でも訴訟を準備中だ」(日本のマスコミは全国約10カ所で同時に訴訟が進行されると予測している)
-裁判の展望は?
「このように訴訟を起こしても、最高裁判所が『違憲判断』をしないのではという現実的な心配がある。 しかし、今回の訴訟は従来の他の違憲訴訟とは違うと考える。 最高裁元長官、元最高裁判事、元内閣法制局長官など多くの法律専門家たちがこの法律に対しては『異常なこと』と話していて、80%以上の憲法学者が『違憲』または『違憲の疑い』があると意見を明らかにしている。 裁判所がこのような問題を放置すれば裁判所の存在意義がなくなりかねない。
特に今回の裁判に元裁判官、元検事など以前に権力の内部にいた人々が参加しているという点に注目しなければならない。 これまで憲法と関わってきた(法的整合性を守ってきた)自分たちのプライドが、安倍政権によって否定されたという怒りがあるのではないかと思う。 もし安保政策の変更が必要ならば、議論して憲法を改正した後にしなければならない。 こんな形でこそこそと(改憲せずに内閣の閣議決定だけで憲法の根本的部分を解釈改憲したこと)推進していることが問題だ。 国会の審議過程でも十分に答えず、昨年9月19日に本当に法案が可決されたのかも曖昧な状況だ。(自民党が強行採決で法案を通過させ、可決の瞬間の録音記録が存在しない)これは立憲主義の破壊だ」
-最終結論までには相当な時間がかかると予想される。
「そうだ。 日本社会でこの問題に対する関心がいつまで続くかが重要だ。 もし世論がこの問題を忘れてしまうならば訴訟の運命も明るくない。 そのような意味で安保法制に反対する運動がこの裁判をどこまで支えられるか、逆に言えば、この裁判により運動がどのように力を得られるかという相互依存関係にある。 ヒットラーは『大衆は理解能力は低いが、忘却能力は高い』と言った。 実際そうだ。 この訴訟は忘却との戦いだ」