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訪韓直後の機内で急死したウガンダ長官の死因めぐる荒唐無稽な攻防

登録:2015-09-21 23:37 修正:2015-09-22 04:51

 今月8〜11日、行政自治部などを訪問... 12日機内で死亡したまま発見
 ウガンダのムセベニ大統領「韓国の病院が診療拒否して死亡した」
 政府や招待団体「治療要求すらなかった...普段心臓関連持病を患っていた」
 一部では「独裁者のムセベニ大統領が潜在的な政敵を除去した」との疑惑も

チョン・ジョンソプ行政自治部長官が今月9日午後、ソウル鍾路区行政自治部でウガンダのアロンダ・ニャカイリマ内務部長官に会って握手を交わしている=行政自治部を提供//ハンギョレ新聞社

 29年間ウガンダを長期支配している独裁者のヨウェリ・ムセベニ大統領(71)が、自国の内務部長官が韓国訪問後、帰国途中に突然死亡したことに対し、「韓国病院が治療を拒否して死亡した」と主張して波紋が広がっている。

 韓国政府は、アロンダ内務部長官に持病があるという事実を聞いたムセベニ大統領が、「死亡の原因」をめぐる遺族たちの疑問に答えようと、事実と異なる話を作り上げたと推測している。

 21日、ウガンダのメディア『ウーゴ・ニュース』などによると、今月18日に営まれたアロンダ・ニャカイリマ長官(56)の国葬で、ムセベニ大統領が「アロンダ将軍がめまいと腹痛を訴えて韓国の病院に入院しようとしたが、病院側が、将軍が保険に加入していないとの理由で診療を断った」と述べた。ムセベニ大統領はさらに「アロンダ長官は以前にも心筋梗塞の症状があったが、急性ではなかった。高血圧や心臓に痛みを感じたこともあった。もし適切な検診と韓国人の助けがあったら、死亡しなかっただろう」と語ったと報じた。彼は「仕事人間だったアロンダ長官が、住民登録証の導入プロジェクトを推進する際、無理をした」とし「指導者たちには休息と圧迫から自由になる時間が与えられるべきだ」と述べた。

 これに対して国際交流財団は、ニャカイリマ長官が訪韓中に病院の治療を求めた事実がないと明らかにした。ユン・グムジン韓国国際交流財団交流協力理事は「訪韓期間中、随行していた財団職員に確認した結果、ニャカイリマ長官が訪韓中に入院を要請したことはなかった」としながら、「ニャカイリマ長官が訪韓中、目も充血しており、とても疲れていたため、財団のスタッフが病院で治療を受ける意向があるかを尋ねたが、断られた。ただし、腹痛で薬を求めたため、胃腸薬を買ってあげた」と反論した。ユン理事は「ニャカイリマ長官は保険にも入っており、国賓級の人物だったので、求められれば、病院の治療も提供したはずだ」とし「政府高官が、外交日程中に激務と長時間のフライトによる疲れで、持病が悪化して死亡する場合があるが、同じようなケースだと思われる」と述べた。

2013年5月30日、朴槿恵大統領が訪韓したヨウェリ・ムセベニ大統領と大統領府で開かれた昼食会談で乾杯している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓国国際交流財団と現地大使館関係者らの話を総合すると、ニャカイリマ長官は、公共外交専門機関である韓国国際交流財団の招請で、8日から11日まで、ケニアの上院議長などと共に韓国を訪れた。彼は9日、政府ソウル庁舎でチョン・ジョンソプ行政自治部長官に面会して、韓国の住民登録制度と治安システムについて議論し、韓国造幣公社と住民自治センターなども訪問した。この行事は、同財団が外国政府や国会の指導者たちに韓国を知らせるために行う公共外交の一環であり、財団はアロンダ長官に航空券と宿泊などを提供した。

 ニャカイリマ長官は、他の外交日程のため、予定より1日早い11日の夜11時55分にドバイ行きエミレーツ航空の飛行機のビジネスクラスに乗って仁川空港から出国した。ニャカイリマ長官は12日未明、機内で死亡したまま発見された。ウガンダからドバイに派遣された医療チームは、剖検後、心臓関連の持病があったニャカイリマ長官が急性心不全(心臓発作)で死亡したという結論を下した。ウガンダの医療チームは、高血圧だったニャカイリマ長官の血液中の脂肪細胞が血管を防いだと判断した。

 パク・ジョンデ駐ウガンダ韓国大使は21日、ハンギョレとの通話で「当時葬儀に参加したが、なぜムセベニ大統領がそうようなことを言ったのか不思議だった。おそらく葬儀場で遺族が『ニャカイリマ長官が健康だったのに突然死んだ』と主張したため、ムセベニ大統領が咄嗟に事実と異なる回答をしたようだ」と話した。パク大使は「ニャカイリマ長官に随行したウガンダの随行員たちも大統領の発言が事実と異なると政府側に説明して納得させており、大使館では地元メディアに経緯を説明して報道を正している」と述べた。

 ウーゴ・ニュースはニャカイリマ長官の妻であるリンダ・ニャカイリマ氏が葬儀場で「夫には20年間、特別な症状や病気がなかった」と話したと報じた。このため、一部ではムセベニ大統領が潜在的な政敵であるニャカイリマ長官を粛清したのではないかという疑惑も持ち上がっている。

 ムセベニ大統領は1986年にクーデターで政権を握って以来、29年間も長期支配を続けている独裁者として知られている。昨年2月に米国のオバマ大統領が「4億ドルの援助を中止する」と警告したにもかかわらず、反同性愛法の制定を強行し、国際的な批判を受けた。ウガンダの反同性愛法によると、同性愛関係が発覚したら、14年の懲役、再犯の場合は無期懲役に処される。ヘオルム協会のチェ・ナクチュン牧師が今年6月28日、大漢門(デハンモン)前で開かれた「同性愛助長の中断を促す韓国教会教団連合国民大会」でムセベニ大統領の反同性愛法制定を褒めたたえながら、「知覚のある者は、過去の歴史を鑑みて、賢い今日を生きる」と発言して物議をかもした。

キム・ジフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-21 15:29

https://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/709733.html?_fr=st1 訳H.J