北澤俊美・日本参議院議員(77)は、民主党政権時代の2009年9月から2年間、防衛相を歴任した安全保障の専門家だ。彼は現在、日本で行われている集団的自衛権をめぐる議論について、「日本の安全保障のためなら集団的自衛権は必要ない」とし、安倍晋三首相の欲が日本を間違った方向に導いていると述べた。また、現在横須賀で行われている米軍第7艦隊の戦力増強は日本ではなく、米国の安全保障のためとの見方も明らかにした。
中国の軍事力拡大を牽制するためには
尖閣諸島に備えて強化すればいい
ホルムズ海峡や南シナ海まで
自衛隊が行く必要があるのか
-日本の集団的自衛権の行使と日米同盟の強化に対し、韓国人も不安を感じている。
「日本は、過去70年間、朝鮮半島の有事と台湾海峡の有事を日本周辺で発生する可能性のある危機と規定し、この場合のみ米国を後方支援する態勢を維持してきた。安倍政権は(この方針を変えて)集団的自衛権を行使しようとしている。そのためには当然、法律の根拠となる立法事実が何かを説明しなければならない。安倍首相は、ホルムズ海峡が機雷によって封鎖された際、これを除去することと、朝鮮半島有事の際、日本周辺で活動する米艦船を守ることを集団的自衛権の具体的な実行例として挙げている。ところが、ホルムズ海峡封鎖の論理は、国会の議論の中で事実上破綻したし、米艦船の防御は従来の個別的自衛権でも対応できる」
-安倍首相は集団的自衛権行使の理由として日本周辺の安全保障環境の変化を挙げている。
「安倍首相が言っているのは中国の軍事力の拡大だ。中国軍は、これまで海と空では脆弱だった。しかし、中国が経済大国になって『第一列島線』(日本の九州〜沖縄〜台湾〜フィリピン北部〜インドネシアのボルネオ島を結ぶ線。東シナ海と南シナ海を含む)の内側を内海とし、その外側での活動を試みている。だから、日本が尖閣諸島(中国名・釣魚島)に対する準備を強化しなければならないということは理解できる。しかし、集団的自衛権を行使してホルムズ海峡や南シナ海まで自衛隊が行く必要は全くない」
-集団的自衛権行使の主な事例はミサイル防衛(MD)だ。韓国では高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐる議論が行われているが、日本ではどうなのか?
「日本はこれまでTHAADを導入するという意思を示したことがない。専守防衛という安全保障の原則を持っている日本にとって、THAADの配備はその原則から外れることだ。北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射すれば、日本はイージス艦と地上のPAC(パトリオット)-3で防御できる。また、日米安保条約に基づき、米国が北朝鮮のミサイル発射基地を攻撃することになる。これだけでも大きな問題はない。しかし、現在日本はグアムに向かう弾道ミサイルを中間飛行段階で迎撃する能力は持っていない。もし日本がTHAADを使用して(グアムなどへの弾道ミサイルを)迎撃すれば、日本が攻撃されていないのに米国のために武力を使う、集団的自衛権の行使となる」
-米国が横須賀にあるイージス艦の戦力を増強している。
「米国は、横須賀に多くのイージス艦を配備している。北朝鮮がグアムに向けてミサイルを発射しようとする兆候が見られる場合は、日本のイージス艦は日本海(東海)に2隻、東シナ海に1隻配備される。しかし、米国のイージス艦は(日本周辺ではなく)、太平洋に向かう。グアムやハワイを守るためだ。横須賀のイージス艦は日本ではなく、米国自身を保護するためのものだ」
韓国語原文入力:2015-08-09 19:46