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米ミサイル防御の核心「SBX」は22億ドルの失敗作

登録:2015-04-05 23:29 修正:2015-04-06 08:23
 LAタイムズ、性能誇張され探知角度25度に過ぎず“欠陥”
 ミサイル防御庁審議共同総括者「当初から作られてはならないもの」
ミサイル防御(MD)体系の主要装備「海上基盤エックスバンド レーダー」 米海軍提供//ハンギョレ新聞社

 地上配備型迎撃システムの高高度防衛ミサイル(THAAD)韓国配備問題を巡り議論が続くなか、ミサイル防御(MD)システムの主要装備である「海上基盤エックスバンド レーダー」(SBX)が巨大な失敗作だとする分析が出された。SBXは2000キロメートルに及ぶ探知能力を保有し、米国本土に対する北朝鮮のミサイル脅威に備え、一時は朝鮮半島海域に配備が検討されたと知られている。

 米紙LAタイムズは5日、SBXの種々の問題点を指摘し、実際は22億ドルの失敗作だと報道した。 SBXは長さ116メートル、高さ85メートル、重量5万トンで、サッカー場ほどの甲板の上に巨大なレーダードームを搭載し、大気圏外から飛んでくる弾道ミサイルを探知し迎撃システムに通知する機能を持っている。 また、海上プラットホームにレーダーを設置し移動も可能だ。

 同紙はまず、SBXの性能が過度に誇張されていると指摘した。 ヘンリー・オバーリン元米ミサイル防御庁(MDA)長は、2006年5月米上院予算委でSBXを「世界で最も強力なレーダーであり、(ミサイル防御)システムに高性能の探知と識別能力を提供するだろう」と大言壮語した。 翌年4月、上院分科委では「このレーダーを(米東南部の)チェサピーク湾に配備した時、(米西部の)サンフランシスコ上空から飛んでくる野球ボール大の物体を識別し追跡できる」とした。 しかし、専門家らは丸い地球表面の屈曲を考慮すればSBXがそんな遠い場所の野球ボールを識別することは“不可能な理論”と分析した。 精密性はあるが実戦では通用しないということだ。

 また、同紙は約90~120度の探知角度を保有する一般レーダーに比べ、SBXは探知角度が25度に過ぎず根本的欠陥が存在すると伝えた。 物理学者のハービー・リンチはこのレーダーを「途方もなく強力なストロー」に比喩した。 レーダービームを撃つ極めて制限された範囲内では相手方のミサイルを識別できるだろうが、太平洋全体を警戒したり探知角度を抜け出して相次ぎ飛んで来るミサイル洗礼を探知・識別することはできないということだ。

 その上、2001年に起きた9・11テロの翌年の2002年、ジョージ・ブッシュ政権時に開発計画が樹立されたSBXは、当初アラスカのアリューシャン列島に配備される予定だったが、開発後にアラスカの海流と強風に耐えられないとする審議を受けた。 これに伴い補強作業を経たが現場には配備されず、2013年には真珠湾港で8カ月以上も停泊した。

 最後に昨年6月の実験では目標物を正確に探知し迎撃に成功したが、統制指揮部に結果が転送されなかった。 ミサイル防御庁の資料審議を共同総括したデビッド・モンテイク元米国ロッキードマーティン ミサイルシステム分野会長は、この海上レーダーは「初めから作られてはならないものだった」と述べた。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://hani.co.kr/arti/international/america/685571.html 韓国語原文入力:2015-04-05 20:36
訳J.S(1448字)

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