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米国のTPPに中国は「シルクロード戦略」でアジア太平洋圏の主導権争い

登録:2014-11-11 23:41 修正:2014-11-12 17:53
外交専門誌『フォーリンポリシー』が分析
「中国のシルクロード戦略はTPPと差別化
政府協力・国営企業主導の形態」
中国の「シルクロード戦略」。 //ハンギョレ新聞社

 米国が推進する環太平洋経済連携協定(TPP)に対する中国の対応策はアジア・太平洋自由貿易地帯(FTAAP)より「(新)シルクロード戦略」であると10日、米国の外交専門誌『フォーリンポリシー』が分析した。

 習近平中国国家主席は8日北京で、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の非加盟国首脳を招待して中国が400億ドル(約4兆3000億円)の“シルクロード基金”をもって中央アジアと東南アジア地域で社会基盤施設建設と資源開発、金融協力などの事業を推進すると公式発表した。 陸上、海上のシルクロードを合わせて、アジア全域とヨーロッパに至るまで中国の経済、外交的影響力を拡大しようという構想だ。 一方、米国はアジア・太平洋地域12か国との自由貿易地帯であるTPPを早期に妥結しようと考えている。

中国の「シルクロード戦略」。 //ハンギョレ新聞社

 フォーリンポリシーは、シルクロード戦略の性格がアジア・太平洋自由貿易地帯(FTAAP)より明確にTPPに対抗する姿勢を見せており、アジア・太平洋地域で盟主の役割をしようとする中国の構想とも合致していると説明した。

 例えば、TPPが市場自由化や開放と関連して“高い水準”を強調しているのに反して、シルクロード戦略には水準といった概念そのものが存在しない。 TPPが領域内での政府や国営企業の役割を減らしたり制限することに重点を置く反面、シルクロード戦略で提示される事業は政府間協力や大型国営企業主導で推進される。 またTPPがサービス産業と知的財産権、国内規制などに焦点を合わせているのとは対照的に、シルクロード戦略では社会基盤施設やエネルギー、輸送、製造業の移転などに重点を置いている。

 米国側ではTPPが現在の計画どおりに中国を排除したままスタートすれば、中国に大きな影響を及ぼすと期待しているとこの雑誌は解釈した。アジア・太平洋地域市場に厳格な労働・環境条項が適用されることによって、中国がアジア・太平洋地域市場から排斥されたり、あるいは中国がやむをえずTPPに加入することによって、より開放された経済体制に移行するということだ。 また中国の周辺にある国家は、TPPがスタートすれば、中国が周辺国家との領土紛争でも自制するという希望を持っていると雑誌は伝えた。

 しかし、この雑誌は中国がこのような期待に応じるだろうという証拠はほとんどないと診断した。 むしろシルクロード戦略を推進することによって、中国中心の構図を作ろうとしているというのだ。 同誌は「中国の専門家たちは、TPPを政治・経済的に中国を弱体化させるための計画と見ている」として「国際貿易に対する影響力を確保するという本当の戦争を考えるためには、中国のシルクロード戦略に注目しなければならない」と伝えた。

ワシントン/パク・ヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/664028.html 韓国語原文入力:2014/11/11 20:31
訳J.S(1387字)

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