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米、東北アジア構図の新たな均衡点追求…韓国‘戦略的価値’高める時

登録:2014-01-01 23:15 修正:2014-09-03 16:40
[2014企画 キム・ヨンホ教授の揺れ動く東北アジア-韓国の選択(2)]
米国のジョン・ケリー国務長官(左側二番目)とチャック・ヘーゲル国防長官(左端),日本の岸田文雄 外相(右から二人目)と小野寺五典 防衛相(右端)が昨年10月3日、日本東京で開かれた米-日安全保障協議委員会(別名2+2会談)で安保関連会談を終えた後に握手している。 東京/ロイターニュース1

 "戦後、米国の東北アジアに対する関心の核心は共産化された中国の登場であったし、中国を牽制するために日本の価値が再発見され、日本を育てるためにその裏庭として韓国などが必要になった。"

 これはハーバード大学の著名な東洋史学者であり日本駐在大使を務めたエドウィン・ライシャワー教授がたびたび口にした言葉だ。 きわめて露骨に単純化してきまり悪くもあるが、戦後米国政府の東北アジア戦略の骨組みをそのまま表わしたものだ。 事実、米国政府は日本を太平洋戦争を起こした戦犯国家として取り扱って来たが、中国大陸が共産化されるや東北アジアの同盟国家に格上げし、反共の砦として育成することになった。 したがって戦犯清算作業は日本を弱化ないしは無力化させるとして突然に中止あるいは最小化させ、近代産業国家として育成することになった。

米国、軍産複合体の圧力から一部脱皮
金融界などの要求で中国経済協力を重視
尖閣問題など言及避ける

 それがサンフランシスコ講和条約で具体化されたし、韓国はその条約をベースにその範囲内で韓-日基本条約を締結し、結局植民地清算なき非正常的国交正常化をすることになった。 20世紀後半期の韓国を規定した最も基本的な国際的枠組みは、ライシャワー命題そのままではなかったかと思う。 私は米国国務部や戦略国際問題研究所(CSIS)をはじめとするシンクタンクの雰囲気から、そしてハーバード大学の空気からライシャワー命題が基本的にまだ生きて作動していることを痛感した。 オバマ政府はすでに米国が大西洋国家から太平洋国家に切り替わったと宣言し‘アジアへの回帰’(Pivot to Asia)を標ぼうしている。 アジア回帰政策の核心概念はリバランシング(re-balancing)だ。 ヒラリー・クリントン元国務長官が発表した‘米国の太平洋世紀’(<フォーリン ポリシー> 2011年11月号)をはじめとしてトム トニロンの‘2013年の米国とアジア太平洋’(The United States and the Asia-Pacific in 2013)等、ワシントン政策通の演説文で概略的な内容を見られるが、まだ統合的な政策文書は発表されていない。 フランシス・フクヤマのような国際政治学者は「オバマ政権のアジア回帰方針が本気なのか否か‘イエス’とも‘ノー’とも言える」と留保的に評価している。 それはオバマ政府の対外政策全般がシークェスト(米国連邦予算自動削減)と国内政争に縛られて低調だったためだ。 実際はすでに米国は海外駐留軍事力の60%をアジアに集結させるという方針によりイスラム地域での13年にわたった‘長い戦争’(Long War)から手を切って、軍事力を抜き出して日本・オーストラリア等の基地に移す準備を始めており、韓国・日本・オーストラリアとの2者同盟を強化しながらアジア太平洋多者経済協力体である環太平洋経済パートナーシップ協定(TPP)推進を本格化している。

 ところで問題は、米国のアジア回帰政策で韓国の戦略的位置がどうなるかという点だ。 この大きな政策転換は上で見たライシャワー命題が修正されうる久々の重要なチャンスだ。 事実米国はベトナム戦失敗後、継続的にイスラム地域での13年戦争で失敗を繰り返し、アフリカ地域でも失敗の泥沼にはまり、韓国での産業化と民主化の達成を米国の対外政策に関する自尊心を守る成功事例として認識しているようだ。 オバマや国務長官の頻繁な韓国称賛は聞くに堪えないほどだ。 そのような雰囲気から最近は韓国を核心軸(Linchpin),日本を礎(Cornerstone)と規定している。 多少抽象的なこの規定が米国の新しいアジア回帰政策においてライシャワー命題が修正されうるという含意を持つだろうか?

日本を通じた中国牽制 弱化しているのに
我が国は新しい米-中関係を読めずにいる
リベラル気流に乗らなければ

 昨年10月初め、日本で開かれた米-日2+2会談(外務・国防長官合同会談)がこの疑問を解く重要な行事であった。 韓国では米国が朴槿恵(パク・クネ)政府の頑固な反日姿勢に背を向けて、中国を狙って安倍政府との軍事同盟を強化して、集団的自衛権を積極的に支持することにしたという評価が中心となった。 著名なある専門家は 「財政赤字に足を縛られている米国が、安倍政府をアジアでの米国の代理人として格上げさせて、韓国を日本中心の対中国軍事対決体制に強圧的に編成させた会談」と断定して、多くの人々がそのように理解した。 万一、そうなればオバマ政府のアジア回帰政策で韓国は再びライシャワー命題そのままに進むことを意味する。

 しかしそういう評価は多少誇張された側面もある。 最悪の事態を心配することは理解できるが、日本とアメリカでは集団的自衛権の解釈改憲や憲法改正に反対する市民の方が多く、韓国の市民勢力も彼らと連帯して闘争しなければならないのにその道を遮断してしまうことになる。事実、日本の保守勢力と米国の軍産複合体は互いに連結されている。彼らは戦争の危険が大きいほど利益を得られるという点で、日本の自衛権を‘歓迎’している。 ただし、彼らも自衛権に対して△日本自身が決める△周辺国の理解を得るよう努力するという条件を明示している。 事実、リチャード・アーミテージ前国務長官、マイケル・グリーン戦略国際問題研究所副所長のような親日的アジア政策通も 「先ず韓国の理解を得る必要がある」と強調している。 また、米国側は日本の強い要請があったにもかかわらず尖閣諸島問題あるいは中国という用語表現さえ一切避けた。 また、日本が敵基地に対する攻撃能力を持つことを強く敬遠しているが、それは中国との戦争にまきこまれることを望まないからだ。

韓-米同盟、韓半島安保に限定を
そうでなければ4強国家間で
平和と協力の調停者の役割ができない

 初期には米国の軍産複合体の圧力で中国との対決を指向し、安倍の軍備拡張路線を支援する動きが強かった。 しかし徐々に一般平和産業界と金融業界を中心に中国との経済協力を重視する動きが強化された。 また、民主主義や人権のような価値を中国と共有しようと考えるリベラルの動きが頭をもたげて、オバマ政府のアジア回帰政策にバランスを取っていこうとする動きが見える点は注目に値する。 米国にとって中国は敵(enemy)というよりは対抗者(adversary)に変わっているということだ。 オバマ政府は2+2会談で米国単独あるいは全体的に、中国を牽制する側面は協力する側面と共に強いが、日本と手を握り一緒に牽制する側面は顕著に弱まっていることが目につく。 したがって日本を通じた中国牽制カードと見るよりは、中-日関係牽制ないし調整カードという性格を帯びて行くと見ることができる。 この点は小さいながら重要な変化だ。 我が国はその変化を読み出すことができなかった。 駐韓米軍の将軍が、安倍総理の改憲の動きを 「この地域に役立たない」と批判したことも見逃してはならない。 事実、米国は今年の環太平洋合同演習に初めて中国軍を招請するかと思えば、最近中国に対して共産圏先端技術輸出禁止措置もほとんど解除する協定を締結した。 我が国が2+2会談を誤って読んだのに続き、その後続の動きをも誤って読むならば、東北アジアにおいてオバマ政府のアジア回帰政策から韓国の新しい位置を見いだせずライシャワー命題に今後もずっと閉じ込められざるを得ない。

 このような状況で安倍総理の靖国神社参拝は、オバマ政府のアジア回帰政策に何らかの変化を与えざるを得ない。 安倍の戦後体制克服は、米国が作った戦後秩序の否定を意味し、戦後秩序否定の原点がヤスクニという点で、事実アジア諸国より米国を狙ったものだ。 ‘米国との対等な関係’が安倍の持論だ。 米国もそれを知ってはいるが、懲戒手段が見当たらないのも事実だ。 <ニューヨーク タイムズ>が「日本は今や米国が信頼できる同盟ではなく、アジア地域の新たな悩みの種として登場した」と指摘したことは、民主主義や人権のような価値を共有しようと考えるリベラル勢力の雰囲気を代弁するもので、韓国はこの流れに相乗りする戦略が重要だ。 これは国内民主主義の拡充が韓国の東北アジア戦略にもどれほど重要なのかを語っている。

 それと同時に、韓-米2者同盟をアジア リバランシング(re-balancing)政策内で韓半島安保の役割に限定するものとして縛っておかなければならない。 そうでなければ米-中、そして4強の間で自主的で中立的な平和と協力の調停者、ないしは代弁者の役割を果たすことはできない。 4強の力学関係はそういう中間調停者を切実に必要としており、韓国以外にその役割を果たせる国はない。

キム・ヨンホ ハーバード大招へい教授・韓国社会責任投資フォーラム理事長

 バイデン副大統領は先月訪韓した時、韓-日歴史葛藤を仲裁するつもりはないと語った。 しかし、米国はその責任を避けることはできない。 韓末にタフト-桂協定で植民地化を支援し、戦後にはサンフランシスコ講和条約で植民地未清算の道を開いたし、独島(ドクト)問題もその一環だ。 万一、アジア回帰政策で再び軍事大国日本に韓国を帰属させるような戦略をたくらむならば、3回目の大罪は許されえないことを厳として悟らせなければならない。

 米国の官僚とシンクタンクの人々は、日本の保守勢力の目で韓国とアジアを見る慣行に漬かっている。 意外に歴史が見えていない人が多い。 その目でアジア リバランシング(re-balancing)を設計するならば、失敗しやすいということが分からない。 その限界を埋める代案とディテールを提示し、説得することが重要だ。 我が国がその役割をやり遂げる機会がまさに米国のアジア回帰政策だ。 特に来る4月のオバマ大統領アジア歴訪以前がその決定的時期だ。

ハーバード大招へい教授、韓国社会責任投資フォーラム理事長

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/618030.html 韓国語原文入力:2014/01/01 21:53
訳J.S(4397字)

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