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「クマラスワミ報告書」修正で日本政府が直面する国際世論の反発

登録:2014-10-17 00:57 修正:2014-10-17 07:03
1996年に出された初の慰安婦報告書
国際社会に日本責任論を根付かせる
日本の公式謝罪を促す手立て札を持った学生たちが15日昼、ソウル中学洞の駐韓日本大使館前で開かれた水曜デモに参加して、慰安婦被害ハルモニ(おばあさん)の発言を聞いている。 ニューシス

朝日新聞「吉田証言」誤報を前面に
最優先の標的として修正を要求

報告書を書いたクマラスワミ氏は拒絶
「慰安婦は性的奴隷」の本質変わらぬ

 日本政府が「慰安婦は性奴隷だった」という国際社会の常識を覆すため本格的な世論戦に突入した。 慰安婦問題に関連する国連人権委員会など国際人権機構が最初に出した報告書である1996年の「クマラスワミ報告書」を最優先の攻撃対象に定め、報告書の一部内容に対する撤回を要求したことが確認された。

 日本政府の菅義偉官房長官は16日の定例記者会見で、「先日『朝日新聞』が慰安婦報道に関連した過去の報道が誤報だったと取り消した事実があったので、この内容をラディカ・クマラスワミ元国連経済社会理事会人権委員会女性暴行問題特別報告官本人に説明し、報告書として出てきた当時の見解を修正するよう要求した」と話した。 朝日新聞は今年8月初めに日本軍官憲が済州島(チェジュド)で「朝鮮人女性たちを狩りをするように強制連行した」という、いわゆる“吉田証言”を引用した記事が誤報であることを認め、該当報道を取り消した経緯がある。 その後、安倍晋三首相が3日に「日本が国ぐるみで性奴隷にしたといういわれなき中傷が世界に広がっている。 政府は客観的な事実に基づいて日本が正当な評価を受けられるよう戦略的な対外広報を強化して行く」と宣言するなど、“日本の名誉回復”を求める主張が起きている。

 日本政府がクマラスワミ報告書を最優先の標的としたのは、この報告書を契機に国際社会で「慰安婦は国際人権機構の基準で見る時、明らかな性奴隷」であり、「日本政府が法的責任を負って被害者に賠償しなければならない」という常識が定着したためだ。 以後、国連人権小委員会のマクドゥーガル報告書(1998年)など、慰安婦問題に対する日本政府の「法的責任認定と賠償」を要求する報告書・勧告が相次ぎ、2007年7月には米国下院で「日本軍が強制的に若い女性を“慰安婦”と呼ばれる性の奴隷にした事実を、明確な態度で公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならない」という決議案が全会一致で採択された。 ハン・ヘイン成均館大学東アジア歴史研究所研究員は「日本政府はクマラスワミ報告書に傷を付ければ慰安婦は性奴隷だったという国際社会の認識を覆せると思っている」と指摘した。

 日本政府の要求に対してクマラスワミ元報告官は拒否の意向を明らかにした。『読売新聞』は16日、日本外務省の佐藤 地(くに)人権人道担当大使が14日午前、米国ニューヨークでクマラスワミ元報告官に吉田証言を引用した部分など、報告書の一部内容の撤回を要求したが、当事者から「(吉田証言は報告書作成で活用した)証拠の一つに過ぎない」という拒否意志の伝達を受けたと報道した。 菅長官もこの日の記者会見で「相手側が修正に応じないという意向を明らかにした」として「今後、国連人権理事会など国際社会で適切な機会をつかんで日本の考えを粘り強く説明して理解を求めたい」と話した。 今後、国際的な攻勢を続ける方針を明確にしたわけだ。

 渡辺美奈「女たちの戦争と平和資料館」(WAM)事務局長は『ハンギョレ』との電話インタビューで「クマラスワミ報告書で吉田証言は一部に過ぎず、これが消えても“慰安婦は性奴隷”という結論には何の影響も及ぼしえない」として「日本政府の試みは、結局国際社会の同意を勝ち取ることはできないだろう」と話した。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/660168.html 韓国語原文入力:2014/10/16 22:15
訳J.S(1760字)

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