EU、金融・武器・エネルギー制裁を決議
ロシア系銀行 債権発行・株式販売 不可
武器・機械などの対ロ輸出入も禁止
米国もロシア系銀行3行と金融取引を中断
ロシア 金融費用加重…経済打撃 予想
ヨーロッパ連合(EU)と米国がウクライナ事態と関連して、冷戦以後最も強力な対ロシア制裁を取ると<ファイナンシャル タイムズ>などが伝えた。
ヨーロッパ連合の外交官らによれば、ヨーロッパ連合の28会員国は29日、ベルギー ブリュッセルで7時間にわたる討論の末に、金融、武器、エネルギー分野にわたる対ロシア制裁に合意した。
31日から施行されるこの制裁で最も重要な部分は金融関連だ。 ロシア政府が株式の50%以上を持っている銀行および銀行子会社は、ヨーロッパの資本市場で満期90日以上の債権を発行できなくなり、株式の販売も禁止される。 これと関連した仲介行為もできない。 ヨーロッパ資本市場への接近が制限されれば、ロシアの主要銀行の資本調達費用が増える。 昨年、ロシア国営金融機関が発行した債権の約半分がヨーロッパ資本市場で消化されたと<ガーディアン>は伝えた。
ヨーロッパ国際政治経済センター(ECIPE)所長であるフレデリック エリクソンは、<モスクワ タイムズ>に「ロシア国営銀行が経済制裁で破産することはないだろうが、金融費用が大幅に膨らみ(ロシアの)消費者が直接的な影響を受けるだろう」と話した。ロシア政府が所有する主な銀行の一つであるガスプロム バンクは先週韓国でアジア資本市場を狙い二日間にわたる説明会を開いた。 これはロシアが代替資本調達市場を探しているという意味だが、アジアがヨーロッパの資本市場に代わりうるかは疑問だと<モスクワ タイムズ>は伝えた。
ヨーロッパ連合はロシアを相手にした武器の輸出入も禁止する。 また、軍事的用途にも転用できる民間用機械や技術はロシアに輸出できなくなる。 エネルギー分野ではロシアが深海と極地での石油探査、シェール エネルギー開発に必要な装備および技術輸出を禁止する。
ヨーロッパ連合はこれまでロシアのクリミア半島編入などに関連した個人と企業に対して、資産凍結とビザ発行中断措置を取ったが、本格的な経済制裁は会員国間の利害関係が交錯しているため取れなかった。 ヨーロッパ連合の対ロシア貿易規模は米国の10倍程度になるので、今回の経済制裁はロシアにとって相当な負担になる。
ヨーロッパ連合は声明を通じて「ロシアのクリミア半島不法併合と主権国家(ウクライナ)に対する意図的不安定化は、21世紀のヨーロッパでは受け入れられない」として「(ウクライナの不安定化で)マレーシア航空旅客機に乗った民間人約300人が犠牲になり、このような事態は緊急で断固たる対応を要求した」と明らかにした。
だが、ヨーロッパ連合の今回の制裁にも限界はある。 武器輸出入の禁止はすでに締結された契約には適用されない。 フランスがロシアと結んだ12億ユーロ相当のヘリコプター揚陸艦引き渡し契約はそのまま進行される。 ヨーロッパ連合会員国のロシア産ガスへの依存度が高いので、原油とガスの輸出入も禁止対象から外された。
バラク・オバマ 米国大統領も、ヨーロッパ連合の経済制裁合意後にアメリカの対ロシア追加制裁を発表した。 ロシア対外貿易銀行(VTO)とモスクワ銀行、ロシア農業銀行など3行に対する金融取引中断措置が主な内容だ。 オバマ大統領は29日「米国とヨーロッパ連合の制裁が新たな冷戦を意味するものではない」としつつも、「ウクライナの親ロシア分離主義反乱軍がマレーシア航空の旅客機を撃墜した事態に対応して、アメリカとヨーロッパ連合が一層断固たる措置を共同で取る」と明らかにした。
チョ・キウォン記者 garden@hani.co.kr