中国が防空識別区域を巡る米国と日本の圧迫に対して武力示威を行い正面対応に乗り出した。 アジア・太平洋地域の主導権を巡る米-中の葛藤が本格化する中で、韓半島周辺安保秩序は急変の兆しを見せている。
中国空軍は28日、自国が宣言した東シナ海防空識別区域に早期警報機と戦闘機を投じて巡回査察活動を行った。 申進科 中国空軍スポークスマンは 「空軍が28日、早期警報機 空警-2000とスホーイ-30,殲-11等の戦闘機を動員して東シナ海防空識別区域を巡回査察飛行し、相手国航空機の無断進入を監視した」と明らかにしたと官営<新華社通信>が29日報道した。 核爆弾を搭載できる米国の戦略爆撃機B-52が中国の事前通報要求を無視してこの地域を飛行した三日後に出てきた対応だ。 申スポークスマンは 「この地域に対する中国空軍の巡回査察飛行が定例化されるだろう」としつつ、今回の措置が一回だけのデモではないことを強調した。 韓-米-日の‘撤回’要請を拒否し、防空識別区域を守るという中国の強力な意志表明だ。
今回の葛藤はアジア・太平洋地域安保環境にとって巨大な転換点になっている。 まず葛藤の様相が急変した。 この間、葛藤の軸は尖閣諸島(中国名 釣魚島)を巡る中-日両国間の領土紛争だった。 米国は‘領土問題には介入しないものの、過度な緊張は望ましくない’として一歩引いていた。 しかし米国が冷戦時期に設定した韓国・日本の防空識別区域という既存秩序に対して中国が正面から挑戦状を投げたことにより、主要2ヶ国(G2)である米国と中国の葛藤に一気に転換された。 この地域で米-中新冷戦の幕が上がっているという分析も出ている。
今回の事態はまず韓半島周辺で軍備競争が加熱する信号弾になるものと見られる。 日本政府は2014年沖縄の那覇基地に青森県三沢基地に配備されていた早期警報機E2Cを追加で投じ‘第2飛行警戒監視隊’を発足させることにしたと<読売新聞>が29日伝えた。 2015年頃、空中給油が可能な新型早期警報機であるE727と高々度無人偵察機グローバルホークを導入する内容も今年末の日本‘防衛大綱’に含めることにした。 米国も来春までにグアムに配置されたグローバルホークを三沢基地に前進配置する。 水面付近には対潜哨戒機P-3C、その上には早期警報機、その上にはグローバルホークが中国周辺海域を用意周到に監視することになるということだ。 ここに韓国も空中給油機導入計画を発表して参入する態勢だ。
これは先端戦力では相対的に劣勢な中国が、大々的な空軍力強化に乗り出すことを刺激すると予想される。 <朝日新聞>は中国本土で防空識別区域東端までの距離が500kmにもなり、現在の中国軍の通常地上レーダーでは24時間監視が難しい状況だと指摘した。
海に限定されていた領土紛争が空中に広がりながら、東北アジアの領土葛藤がより一層複雑に絡まる契機にもなっている。 中国の今回の措置に対抗して、韓国が離於島(イオド)一帯まで防空識別区域を拡張すると発表し、日本も本土からグアムに至る飛び石に該当する小笠原諸島まで拡張する検討を始めた。
中長期的には米-日同盟が一層強化されながら、その核心要素として日本の‘普通国家化’が加速化する展望だ。 安倍晋三政府が推進する‘集団的自衛権’行使のための憲法解釈変更問題などが急流に乗るものと見られる。
このような流れは韓国に対して、米・日と中国の間で難しい選択を強要するという憂慮が大きい。 直ちには来月1~8日、韓・中・日歴訪に向かうジョー・バイデン米国副大統領が韓-米-日の共同戦線構築を強調するものと見られる。
東京、北京/キル・ユンヒョン、ソン・ヨンチョル特派員 charisma@hani.co.kr