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[ハンギョレ21 2011.12.05第888号] 韓国男性10人中4人は昨年 買春した

[特集2-性売買報告書②韓国の男の性]‘2010買春実態調査報告書’によれば、男性1人が1年平均2.6回、31万3千ウォン支出…大学院以上の学歴者が高卒以下より1.74倍 経験が多く、買春する友人がいれば3.7倍さらに高まる(4624字)

□ハ・オヨン、キム・ギテ

1年間に最も多い買春比率を示す30代大卒サラリーマン男性にインタビューした。K氏は30代後半であり金融系大企業の営業社員として仕事をしている。大学院に通い現在の職場に席を占めた。共稼ぎで息子一人を育てソウル 江南(カンナム)で貸切住宅に暮らしている、自ら平凡な中産層だと言う男性だ。

←ソウル 江南、テヘラン路近隣の退廃業者および歓楽街密集地域<ハンギョレ21>パク・スンファ記者


 "昨年韓国男性10人中4人(37.9%)が買春した。" (2010買春実態調査報告書)


信じられる男はいない。一生の間に1回以上買春をしたと答えた人は半分(49%)だった。先週号(第887号 表紙の話‘性売買 話さなければならない秘密’)に続く二回目企画は‘韓国男性の性’だ。<ハンギョレ21>は先週の‘2010性売買実態報告書’に続き‘2010買春実態調査報告書’を入手した。韓国男性の買春を大規模調査で分析し体系化した結果としては最初の報告書だ。(ソウル大社会発展研究所、全国1千人対象)報告書は黙認されてきた巨大な不法の実体を数値で表わす。数千万人に及ぶ露骨な法律違反者の前に性売買特別法は危険だ。 性と関連した既存の通念は露骨だ。 <ハンギョレ21>は前回と同じように‘買春実態調査’を基礎に深層取材を行った。 記事に登場する用語は報告書に従った。

友人と一緒に江南へ行く買春論理


 "大学に入り同窓会の後に男どうしが集まって行ったり、友人が軍隊に行く前に行ってみようといって行ったり。そうするうちに職場に通うようになると接待ししたり接待受けたり。" (K氏・30代)


‘買春実態調査’で昨年買春を経験した大韓民国男性が10人中4人という話はあなたが知っている男性の友人3人の内、少なくとも1人は昨年売春をしたということを暴露する。 その買春をした男性が去る1年間に経験した回数は平均2.6回であり、個人別に1年間に買春に支出した費用は平均31万3千ウォンだと報告書は言う。その個人別支出を全て合わせれば1兆2907億ウォンに達するということだ。だが、この数値は性売買業者当事者など供給者の側面から推算された6兆6267億ウォンと差異が大きい。ちょうどその差異ぐらいに、調査に応じた韓国男性の良心に寄り添った統計と言える。


<ハンギョレ21>は去る1年間、最も多くの買春比率を示す30代大卒サラリーマン男性にインタビューした。K氏は30代後半であり金融系大企業の営業社員として仕事をする。大学院に通い現在の職場に席を占めた。共稼ぎで息子一人を育てソウル 江南で貸切住宅に暮らしている、自ら平凡な中産層だと言う男性だ。営業のために、または、自身の性的欲求を満たすために彼は兼業型(ルームサロンなど遊興酒場),専業型(性売買集結地),変種型(あんまサービス店・マッサージ業者など)を全て利用している。報告書の基準で見れば積極的集団だ。 報告書は積極的集団を14%、一部業者だけ制限的に利用する消極的集団を51%、オンライン・海外購買集団を35%と分類した。


 "年末に主に行きます。インセンティブが出れば余裕(お金)があるから心易い同僚や後輩と行きます。 それもお金があってこそ行くということでしょう。"


彼が言う買春経験で重要なことは単純にお金だけではない。K氏は営業社員なので接待をする側だ。 接待をする時、相手方の買春費用をあらかじめ支払う。 その時、K氏は買春をしない。‘接待は仕事’という考えからだ。仕事と性売買行為を区分できない状況では買春を自制するということだ。 もちろんその区分は曖昧だ。 彼が買春をする時はインセンティブを受けた後、会社同僚と一緒だ。会食を仕事の延長だと見れば、その時の買春も職場生活の延長だ。 重要なことは買春行為が連帯感を与えるかということだ。これは一般的な韓国男性の買春に対する自分の論理化の根元でもある。


“特に友人を軍隊に送る時‘皆で一緒に一回行こう’そんな風に初経験をすることになります。その時に行かないと外れてはいけない雰囲気に追い立てて。 多分韓国の男の大部分が同じでないかと思ったが…”


←太陽が沈めばソウル、鍾路(チョンノ)・江南(カンナム)など遊興酒場が集まった地下鉄駅付近には変種性売買を広報する名刺大のビラが敷かれる。2010年一年間に買春をした男性の中で7.4%が変種型買春をした。<ハンギョレ21>パク・スンファ記者



あんまサービス店経験が最も多い


報告書は買春をする親しい友人がいる場合は、そうでない男性に比べ3.7倍も多く買っていると分析した。その友人には職場の同僚も含まれる。 K氏も同じだ。 研究はその関係の内部に更に深く食い込んでいる。‘買春男性 深層面接’を通じて「面接対象男性たちの経験に見られる著しい形態的特性は大部分の男性たちが一人よりは他の男性と会合を持つ過程と経路を通じて買春をしに行くということ」と明らかにする。「一人では買春をしたことが全くなかったり一回だけだと話し個人的な出入りを好まない」という陳述が深層面接対象者18人から共通して現れている。報告書は「買春行為が男性間の集団性と同性社会性を発現し確認させる意味を持っている」と分析している。同性社会性は男性(あるいは女性)が同性の人々に感じる非性愛的魅力だと解説される。男性性が発現する集団内で韓国男性の理性は作動を止める。


“お金を支払うからです。そして向こうもそれを望むから。”


K氏が主に行くと明らかにしたところはあんまサービス店だ。遊興酒場に立ち寄りそちらで買春をせずにあんまサービス店を訪ねる時もある。あんまサービス店はジョンスクール対象者(買春者再犯防止教育を受ける性売買特別法違反者)が最も多く経験する所(61%)であり、教育水準別に大学院以上の回答者が最も多く利用する所でもある。K氏が行く所が類似性行為業者だと言っても、類似か類似でないかという学術的区分であるだけで、現実には区分が明らかでない。類似性行為がなされると知らされたところでも現実では性行為をする場合が珍しくない。


K氏は利用業者の種類や利用形態の積極性だけでなく回数でも平均値を軽く越える。1年にすれば7~8回程度だ。こういう傾向は報告書にも現れるているが、大学院以上の学歴者らが教育水準で高卒以下の回答者に比べて1.74倍多くの経験があることが明らかになった。K氏は景気が良くインセンティブをたくさん受け取れた時はもっと行ったと話す。年末には平均一週間に一回行く。すでにK氏の業界の年末シーズンは始まっている。12月になれば接待も増えて自身があんまを受けに行く回数も増えると予想する。インタビューは強度を調節しなければならないほどよどみなかった。それほど買春は日常化されていた。こういう雰囲気は他の深層インタビューでも同じだった(特集2 “必ずしなければなりませんか”参照)。K氏は自身の買春が日常的に反復される理由に対して自ら論理立てもした。


カラオケが性売買の中間段階


もちろん外部的な要因もある。


“ルームサロンやあんまに一度行ってみなさい。どれほど携帯メールや電話がくるのか、‘そうだ、それじゃあ一回行くか?’と思わざるを得ませんから。”


K氏の話は男性自身の欲求に加えられる供給者の需要創出努力が持つ効果を示している。ある女性団体関係者は冗談のように「世界中で韓国のように不法行為にこのように積極的にマーケティングする国はない」と話すほどだ。


結婚有無は影響があるだろうか。K氏は「幸福の大きさを確かめてみれば普通の家族以上」と自負する。だが、結論から言ってみれば、K氏が積極的に買春行為を継続しているように買春と婚姻状態とは関連がない。報告書は専業型の性売買集結地、兼業型の遊興酒場、変種性売買、海外買春などすべての売春類型で婚姻状態にともなう差はないと分析した。


今回の報告書は買春の形態を具体的に分析したということにも意味がある。最近1年間、性売買業者および経路を利用した応答の中で最も多かったのはカラオケ(552件)だった。これは買春する過程で最も一般的に通過する中間段階がカラオケであることを意味する。逸脱はカラオケから始まるということだ。カラオケは始まりに過ぎない。業者別社会連結網分析を見ればカラオケに始まった逸脱が大部分の業者にこまかく編集されているのを見ることができる。 宿泊業者、ナイトクラブ、性売買集結地、デタルバン、ルームサロン、あんまサービス店、さらには海外まで構造化される。これはこの内のある業者で買春を始めた男性が結局他の業者でも買春をすることになるということを意味する。 このように一生にかけて類型別性売買業者を転々とする大韓民国男性の数は半数にのぼる。


最近1年間に性交行為経験のある回答者の業者類型別訪問比率で専業型性売買集結地が57%で最も高いことも注目に値する。消えつつあるという一般の認識とは違い、性売買集結地が如何に多くの男性たちで混みあっているかを推察させる資料だ。1年間に19才以上の男性の半数に近い数、そしてその半数を超える数が全国の集結地で買春をしているということだ。


米国15~18%、オランダ16%


他国の男性はどうだろうか。‘買春実態調査報告書’によれば、米国での最近調査(2006一般社会世論調査(General Social Survey))は2006年に進行された。 米国男性は最近1年間で4%に買春経験があり、一生の間の買春経験は15~18%と調査された。我が国と比較する時10分の1の規模だ。 一部研究は集団標本に対する追跡調査をしてみると60%を越える数が一生の間に買春を経験していると明らかにしたことがあるが、我が国の調査結果と方法的次元で比較できるのは2006年の資料だ。さらに合法的に性売買が可能なオーストラリア(16%)やオランダ(16%)も数値が我が国の半分を下回る。 英国とニュージーランドは7%に過ぎなかった。全世界的に我が国と比較可能なところはジンバブエ程度で53%だ。


性の前に立てば理性を失っていく大韓民国男性に適切な処方箋はないのだろうか。報告書は青少年期の教育だけが両性平等認識を育てることができると助言する。懲罰的次元を越え根本的な認識転換が必要だという、遠くて難しい話だ。 まもなく年末。 数えられないほど多くの‘確信犯’が1兆2907億ウォンを持って卑劣な夜道を徘徊するのだろう。


ハ・オヨン記者 haha@hani.co.kr
キム・ギテ記者 kkt@hani.co.kr


原文: http://h21.hani.co.kr/arti/special/special_general/30900.html 訳J.S