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[ハンギョレ21 2013/09/09 977号]「この頃 日本製ビールが安いけど、大丈夫?」

登録:2013-09-03 20:25 修正:2014-09-05 13:15
放射能と食品の安全についてあなたが知りたいこと
福島原子力発電所からの汚染水流出で日本産水産物の放射能汚染有無に対する心配が高まっている中で、25日午前ソウル鷺梁津(ノリャンジン)水産市場が閑散としている。 パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr

 疑問は不安を産み、不安は再び疑問を呼ぶ。 放射能報道は後を絶たないが、悪循環はそのままだ。 <ハンギョレ21>はソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じて放射能問題について‘何でも訊いてください’というはでな要請をした。 初めは元気いっぱいだったが、気まずい気持ちは相変わらずだ。 まだ明らかになっていない科学的真実が多いためだ。

Q. 日本の放射能汚染水流出以後、食品安全問題についてある専門家は‘安心しなさい’と言い、またある専門家は‘気を付けなさい’と言います。 いったいどうして両極端の意見が出てくるのでしょうか?

A. ひとまず用語の整理から始めましょう。 放射性物質が放出する放射線の強度を表す単位は‘ベクレル’(Bq)、人が放射線を受けた時(放射線被爆)の影響程度を表す単位は‘シーベルト’(Sv)です。 国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告する一般人の年間許容放射線被爆量は1ミリシーベルト(mSv)です。 このような勧告を勘案して各国政府は放射線許容基準値を定めていますね。 ところで被爆放射線量が少ない場合、病気との関連を糾明するのは容易でありません。 100mSv以下の被爆量(低線量被爆)が人体に及ぼす影響がどの程度なのかはまだ誰も分からないそうです。 規制基準値以下の被爆量は安心してもかまわないという専門家と、基準値と関係なくできるだけ放射線露出は避けることを助言する専門家に分かれます。 ‘年間1mSv’の基準で癌誘発の危険がある確率は非常に低いというのが前者の意見です。 反面、ソウル大原子核工学科ソ・ギュンニョル教授は 「人により放射線に対する敏感度は違う」として「気を付ける方が良い」と言います。 「蚕室(チャムシル)球場に3万人の観衆がいる場合、野球のボールに当たる確率は3万分の1だ。 2万9999人は安全だが野球のボールに当たった1人はとても痛いじゃないですか。 放射線を少しでも受ければ良くないという言葉も正しくはありません。 結局‘絶対安全’もなく‘絶対不安’もない。「基準値設定に影響を及ぼすICRPの中立性を不信に思う見解もあります。 2011年日本で放送された<低線量被爆リスクに対するICRP基準の虚像>という番組では、この団体が各国の原子力政策推進官庁の寄付金で運用されていることを指摘していますね。

Q. アサヒビールを飲んでもかまわないでしょうか? 日本産コンドームを使っているが大丈夫でしょうか?

A. 日本、松山大学経済学部チャン・ジョンウク教授は日本産工業製品や生活用品は特に問題にならないという意見を出しました。 アスファルトや建築資材に放射性物質が多量に含まれているならば話は別ですが。 食べ物には気を遣えと言っています。 加工食品生産工場の位置がどこかによって放射能の影響を受ける恐れがあるといいます。 もちろん食品医薬品安全処では、農水産物だけでなく日本産加工食品についても放射能検査をしています。 アサヒビールの国内流通企業であるロッテ酒類は現在、福島工場から国内に入ってくる製品はないと明らかにしました。 アサヒビールの缶の底面には二行の文字組合わせがありますが、上の最初のアルファベットが生産工場を意味します。 福島工場は‘H’と表記します。 ハイト真露は日本南部の福岡工場からキリンビールの全量を持って来ていると伝えました。 OBビールはサントリーを輸入しているのですが、サントリーの生産工場は日本中部の京都と南部の九州地方にあるそうですね。 コンドーム・生理用ナプキン・おもちゃなど多くの生活用品については国家機関が別に放射能検査をしていません。 それでもどうしても‘心配’であれば市民放射能監視センターに問い合わせしてみることもできますね。

Q. 日本と近い他の国では日本産食品を輸入しているんですか?

A. すべての日本産食品を輸入中断したケースはないですね。 台湾は福島を含む5県のすべての食品を輸入中断しましたし、中国は10道・県のすべての食品および飼料について輸入中断措置を下しました。 韓国は13県の農産物26品目、8県の水産物50品目に対して輸入を中断しました。 マレーシアとビルマ(ミャンマー),カナダなど日本産輸入規制措置を完全に解除した国もあります。

Q. 福島から流出した放射能汚染水はどこに流れるんですか? 私たちの海も汚染されるのではないですか?

A. ‘黒潮~北太平洋~カリフォルニア~北赤道海流~再び黒潮海流’汚染水が乗って流れる海水循環ベルトです。 韓国海洋科学技術院チョン・ギョンテ博士の分析によれば、汚染水はこのような海流に乗って移動する過程で、水平・垂直方向に広がります。 汚染水は北太平洋に留まりだんだんと南太平洋とインド洋、最も最後には大西洋に流れて結局全世界の海に広がるといいます。 福島発の汚染水が我が国の近海にまで流入するには10~12年がかかると予測されていますが。 日本の東側の黒潮暖流周辺の渦流(うず巻き)の影響で汚染水の一部は3~4年後に我が国の近海に入ってくる可能性があります。 5年かかるという分析もありますね。 数年後には汚染水が薄められて汚染濃度は大幅に低下するという見解が多いです。 しかし海に流れた放射能汚染水が最終的に人にどんな影響を及ぼすのかを予測することは容易ではありません。

Q. 放射能汚染水が太平洋へ向かうならば、太平洋に棲息する海洋生物も汚染されうるのですか? 太平洋で捕られた水産物をどのように区分するんですか?

A. 福島汚染水の影響を最も強く受けるのは、どうしても近隣地域の魚介類です。 太平洋に流れた汚染水もやはりそちらに棲息する生物を汚染させます。 去る8月7日付<ナショナル ジオグラフィック デーリーニューズ>によれば、米国、ウッズホール海洋研究所(WHOI)所属の海洋化学者ケン プエセルロは米国海岸で獲られる水産物が福島汚染水の影響を受ける憂慮は低いとしながらも、放射性物質‘ストロンチウム’(Sr-90)の流出は扱いが難しい問題だと指摘しています。 セシウムは体外排出が容易ですが、ストロンチウムは骨に蓄積するということです。 魚がストロンチウムを食べた場合にも同じですね。 韓国ではストロンチウムの規制基準がありません。 遠洋漁業で輸入された水産物の原産地表記は、操業船舶の国籍に従うことになっています。 日本国籍の船舶が太平洋の遠い海で魚を獲って韓国に輸出すれば原産地は日本になります。 同じ地域でロシア船舶が獲った水産物が韓国に輸入されれば原産地はロシアになりますね。 現在、日本産水産物の放射能許容値はセシウム(134Cs,137Cs)基準で1kg当り100Bqです。 他の輸入水産物の放射能許容値はセシウム基準370Bqですね。 同じ地域で獲れた水産物でも放射能検査基準が違うこともあるという話ですね。 韓国の遠洋漁船が獲った水産物の原産地は遠洋産と表示されています。

Q. 福島近海を通って北上したイカの群れが9月以後に日本の本州と北海道の間にある津軽海峡を通って東海に入ってくると言います。

A. そうです。 同じイカでも太平洋で生活する太平洋系統群と東海で生活する東海系統群があります。 太平洋系統群の一部は主に冬季に津軽海峡を通って東海にやってくるんですが、主に日本水域側に留まるといいます。 我が国の漁船が該当イカを獲る可能性は殆どないと言いますけど。 日本漁船が釣って流通させる可能性を排除することはできません。

パク・ヒョンジョン記者 saram@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/601947.html 韓国語原文入力:2013/09/03 16:52
訳J.S(3469字)

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