[ズームイン]故イ・サンニム氏の子息イ・チュンヨン撤去対策委員長 獄中インタビュー “私たちはパンの袋のようにつぶされ弾けた”
□イム・ジュファン
龍山4区域, 変わったのは季節だけ
惨事50日が過ぎ撤去作業が再開された襤褸の街,そして二人
←惨事50日が過ぎ撤去作業が再開された襤褸の街
惨事が起きて50日余りが過ぎた。去る3月11日、ソウル,龍山4区域再開発地域では黒い追慕リボンを付けた人々の集会が開かれていた。惨事現場の南一堂ビルの後方路地には黒ジャンバーを着た用役業者職員らが再び登場した。10余人ずつ群がった彼らは人々の足を阻む‘人間バリケード’だった。路地に残り商売を続ける食堂や飲み屋が枯死されるのは時間の問題であるはず。鉄製パイプで骨組みを組んだ覆いの向こう側では、重装備の音が騒がしかった。撤去作業が本格的に再開されたのだ。いくら見回しても龍山4区域で変わったものは季節だけだった。屑鉄とゴミの山の間でも花木には生気がみなぎり冬芽は葉を出し始めた。
撤去民たちの境遇は少しも良くならなかったが、龍山は忘れられている。借家人たちは「撤去が再開されたが惨事以前と変わったことは何もない」と話す。悲劇を起こした真の背後は未だ責任を追及されてもいない。‘共に生きる再開発’のための法・制度が用意されるどころか、借家人を対象に過激・暴力分子の烙印洗礼だけが満ちあふれている。50日余りという短くない時間が流れ、市民が差し伸べる連帯の手助けも微弱だった。
このみすぼらしく、うんざりする悲劇で劇的な配役を受け持っている二人に会ってみた。望楼で父親を失い、本人は拘置所に収監されたイ・チュンヨン龍山4区域撤去対策委員長と、人権運動をする‘前科9犯’となった‘イ・ミョンバク政権龍山撤去民殺人鎮圧汎国民対策委員会’パク・ネグン共同執行委員長がその主人公だ。彼らの声が人々の忘却を呼び覚ます笛の音になることができるだろうか。 編集者
←ソウル,龍山再開発地区占拠篭城を主導した疑惑で去る1月30日拘束された龍山撤去民対策委員会委員長イ・チュンヨン氏がソウル中央地検を出て拘置所へ向かっている。 写真/聯合ニュース アン・ジョンウォン記者
去る3月11日ソウル拘置所で会ったイ・チュンヨン(37)撤去対策委員長の顔は比較的すっきりしていた。何日か前、彼の妻が髭剃りをしなければ面会にも来ないと脅しをかけたおかげだった。イ委員長は炎に包まれた南一堂ビル屋上の望楼で父親を失った悲劇の人物であり、龍山4区域再開発を推進し借家人と衝突してきた人物らとも過去に個人的親密なよしみを持っていた。惨事と関連した各種疑惑を解く鍵を与えることができる人物である。彼は惨事にあった借家人の境遇をパン袋に喩え遠回しに言った。「パン袋を中身が入っているのにそれがさく烈しました。手がすべったのではなく、頭が間違えたのです。頭がさせたから手が動いたわけですよ。ところが今はパン袋が間違ったとごり押しをしている状況です。私たちは‘そいつら’が押せば押さえられ、投げればごみ箱に押し込まれる立場でした。私たちが隅に集まってさく烈するほかはなかったそのような真実が覆われています。「翌日イ氏の弁護を引き受けたキム・ジョンウン弁護士を通じて書面インタビューをさらに進行した。イ氏は惨事前日と当日、望楼の状況,借家人たちを苦しめた‘御用借家人対策委員会’と撤去用役の横暴などに対する自身の見解を打ち明けた。
イ委員長は「撤去民たちが先に攻撃したので警察が望楼に上がったと人々が信じているのが悔しい」と言って口を開いた。彼は借家人たちを都心テロ攻撃を行った‘アルカイダ’とか体制転覆を試みた思想犯のように描写する政界とマスコミの報道にもひどく傷ついた。「人を傷つけようと(望楼に)上がったのではなく、私たちの言葉を誰も聞き入れないので対話のために上がった」と彼は話した。「借家人たちが過激に抵抗したことが問題になる可能性があることは分かるが、パン袋がハジけるように強要した状況が一つ一つ明らかにならなければならない」と抗弁もした。彼は真実を生のまま明らかにするために「特検が必要だ」と強調した。
-参事が起きる直前の去る1月19日夜から20日明け方までの望楼の状況を具体的に説明して欲しい。
=夜から明け方まで望楼に上がった人々は極度に敏感になった状態だった。撤去民たちと対立した用役らは火を付け煙を立て、ブタンガス筒をパンパンと破裂させ、鉄パイプで壁をたたき罵声を浴びせた。私たちが敏感に反応せざるを得ない状況だった。警察が庇護しなければ用役たちが火を付けることはできなかった筈だ。
-発火の直接的原因が撤去民たちが投げた火炎瓶にあるという検察の捜査結果発表に対してはどう思うか。
=警察が撃った催涙弾も明らかに火花を散らし熱がたくさん出る。望楼の柱が抜かれた状態で、引火物質が底に倒れていたし、そういう部分が(重なって)火災が起きたと思う。政府は今、私たちの哀訴を遮断して忘れられるように仕向けている。調査を受け町のチンピラと公権力および区庁との癒着を話しても捜査しなかった。
←龍山再開発4区域で3月11日撤去作業が再開された中で、撤去現場を取材しようとするある放送会社の記者が用役職員および関係者たちによって遮られている。 写真/聯合ニュース チェ・ジェグ記者
-借家人たちが‘御用借家人対策委員会’のために苦しめられたという龍山4区域住民たちの証言がある。
=その通りだ。借家人たちを殺した実際の張本人は‘腕章をつけた人々’だ。‘御用借家人’らだ。彼らは借家人たちが組合や区庁に抗議するのを執拗に妨害した。昨年夏、龍山区庁前で集会をしている時、彼らがあらかじめ集会申告をして場所を奪い取ったり、私たちの集会を妨害する応戦集会を行った。撤去民たちが要求事項を放送しビラを作って回すときは‘演歌’を大きく鳴らして追いかけてくるありさまだった。
-御用借家人組織とは言っても本来龍山4区域の住民たちではないのか。
=‘御用借家人組織’を背後で調整していた人々も本来私と親交がある人々だった。小学校の先後輩などの縁で結ばれ、一緒に酒を飲んだり家族旅行に行ったりもした。2005年頃だったか、町内で私債業・ゲームセンター・酒場などをしていた人々が、ある不動産仲介業者を中心に集まりそれらが後ほど4区域借家人移住対策委員会などを掌握した。 彼らは官庁の事業承認が下りる前には借家人たちを安心させ再開発推進過程での雑音を防いだ。後日には追い出される境遇であることを遅れて悟った借家人たちが組合と区庁に抗議するのを妨害する役割も引き受けた。自分たちだけが組合と対話する資格があるとして遮るやり方だった。
(イ委員長がインタビューで名指しした人物は<ハンギョレ21>との通話で「チュンヨンは親しい弟みたいな奴だったのに全国撤去民連合に加入して対話が通じない人間になった」として「借家人たちと合意をうまくやろうとしたが、交渉をしない全撤連の路線のせいで大変だった」と反論した。
-借家人たちを苦しめた人々は‘御用借家人組織’だけなのか。
=全撤連に加入して闘争に出るや‘ゴロツキ’たちの嫌がらせも本格化した。龍山駅前の集娼村にいるゴロツキたちの一部が営業中の私たちの店の前に常駐し職員や家族たちに罵声を浴びせた。険悪な雰囲気に押さえられて店を訪れるお客さんも大幅に減った。今年初めには集娼村近所の屋台で数人の若者たちに特別な理由もなく腕力に遭うこともあった。一部の住民は自身も借家人でありながら、日当を受け取って撤去用役のような仕事をした。
-再開発を巡る癒着関係を明らかにするのになぜ特検が必要だと思うのか。
=借家人たちを怒らせたのは癒着関係を検察が明らかにしなかった点だ。検察がその部分を調査しないためだ。私と妻の携帯電話通話内訳は鋭く覗いておきながら、惨事現場を指揮した警察指揮権者はなぜまともに調査しないのか。4~5年ずつはかかるという再開発が1年6ヶ月で素早く進行され、警察と区庁は借家人たちの抗議の声を塞ぐのに汲々としなかったのか。こういう部分が悔しくてならないので特検を要求するのだ。
イム・ジュファン記者eyelid@hani.co.kr
原文:http://h21.hani.co.kr/arti/society/society_general/24566.html 訳J.S