原文入力:2011/10/14 22:20(2145字)
チョン・ウンジュ記者
米の‘韓-米FTA’批准以後 FTA経済効果 疑問ますます増幅
再交渉の結果“自動車関税”一方的譲歩
専門職就職 ビザクォーター確保 音沙汰なし
開城（ケソン）工業団地製品 韓国産認定問題もいつのことやら
←ホワイトハウス前での在米僑胞のデモ イ・ミョンバク大統領が国賓として訪問中の13日午後(現地時間)ホワイトハウス前で現地僑胞（海外在住韓国人）らと平和活動家が済州（チェジュ）海軍基地と韓-米自由貿易協定(FTA)に反対する集会を行なっている。 ワシントン/キム・ポンギュ記者 bong9＠hani.co.kr
米国議会が韓-米自由貿易協定(FTA)履行法案を通過させ、韓国の国会が批准案審議に突入したが、当初韓国側が期待した協定の経済的効果に対する疑問がますます大きくなっている。 政府が韓米交渉の成功事例として提示した自動車分野の成果を再交渉の過程で米側に返納してしまった上に、専門職ビザクォーターや開城工業団地製品の韓国産認定も事実上難しい状況であり、自由貿易協定で韓国側の得る実益はほとんどないという指摘が出ている。
■信頼できない経済的効果
国内の主要国策研究機関は、韓-米自由貿易協定が発効されれば韓国経済の国内総生産(GDP)が長期的に5.66%増加すると分析し、短期的には関税縮小にともなう交易増大で実質国内総生産が0.02%増えると見通した。 また、対米輸出は年平均12億8500万ドル、輸入は11億4700万ドル増加し、今後15年間、年平均貿易収支黒字が1億3800万ドル拡大するものと展望した。 製造業分野は5億7300万ドルの黒字になるが、農業分野では4億2400万ドルの赤字となるためだ。
韓国側の“バラ色の展望”に対する反論は米国側から出てきた。 米国国際貿易委員会(ITC）が出した「韓-米自由貿易協定の経済的価値」という報告書を見れば、米国は韓国に対する商品輸出が約110億ドル、輸入が70億ドル増え、貿易収支は40億ドル改善される効果が発生するだろうと予測されている。 韓国側が推定した対米輸入より10倍程大きい規模だ。
これに伴い、国策研究機関のバラ色の展望に対する検証がまともになされない状態で協定が推進されたのではないかという憂慮が強く提起されている。 もし米国側の展望通りに輸入が110億ドルも増えるならば、我が国の貿易収支が大きく悪化するだけでなく関連諸産業の被害が大きくならざるをえない。
こういう憂慮は去る7月1日に暫定発効された韓-ヨーロッパ連合(EU)自由貿易協定ですでに現実化している。 政府はヨーロッパ連合との協定で貿易黒字が年平均3億6100万ドル増えると予想した。 だが、協定発効後100日間の成績表を見れば状況は違う。 ヨーロッパに対する貿易収支黒字は昨年同期に比べて19億ドル減少した状態だ。
■自動車など実益返納
韓-米自由貿易協定は2007年6月30日公式署名されたが、両国は昨年12月米国の要求により自動車分野についての再交渉を行なった。 再交渉の結果、韓国産乗用車に対する米国の関税(2.5%)即時撤廃を4年間維持に変え、米国産乗用車に対する韓国側の関税(8%)は協定発効後直ちに4%低くし、残り4%は4年間維持した後に廃止することにした。 外形的には両国の関税撤廃期間を“4年間”で合わせたように見えるが、韓国側の対米自動車輸出量の方がはるかに多い点を考慮すれば“一方的な譲歩”と解釈するほかない。 協定の最大の成果物を再交渉を通じて返納したわけだ。
キム・ジョンフン通商交渉本部長が「オーストラリア(1万500)よりもっと多いだろう」と自慢した米国の専門職就職ビザクォーターも、全く音沙汰なしだ。カナダ・シンガポール・メキシコなどは米国と協定を結ぶ際にクォーターを配分されている。外交通商部も最近「議会が権限を行使する移民法分野だからとし米国行政府が難色を示し、2007年6月署名当時に合意まで持って行けなかった」として手を引こうとするもようだ。 事実上、専門職ビザ クォーターは期待できない状況なのだ。
開城工業団地製品も似た状況だ。 韓-米自由貿易協定が発効しても米国の対北朝鮮制裁が持続する限り、韓国産と認定され関税恩恵を受けて米国に輸出するというのは難しいと予測される。 すでに発効した韓-シンガポール、韓-アセアン(ASEAN)、韓-ペルー自由貿易協定において“域外加工条項”を適用して開城工業団地製品を韓国産と認定したのとは対照的だ。 結局、政府が協定締結の主要成果として発表したことがほとんど失敗に終わるか、または大幅に縮小された反面、農業、製薬、知的財産権分野での経済的損失は避けることができないものと見られる。
チョン・ウンジュ記者 ejung＠hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/500882.html 訳A.K
