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領収書に含まれるビスフェノールA、性機能障害起こす恐れ

原文入力:2011/08/03 21:45(2020字)
パク・サンチョル記者

感熱紙領収書に使われているビスフェノールA、皮膚を通じて体内浸透
成人病・乳癌など誘発可能性…一部国家では毒性物質と規定
韓国消費者院 去る6月に調査し未だ発表せず

←領収書. ハンギョレ資料写真

31才のパク・ヒス氏はマートやコーヒー専門店で領収書を受け取ると、主に財布にしまっている。財布にはいつ受け取ったかもわからない領収書が詰まっている場合も多い。映画好きな会社員キム・ジスク(29)氏はマルチプレックス映画館にしばしば行く。番号札を取り手に持ち順序を待つ。
大部分の人々が毎日なにげなくしている行動だ。だが、人々が知らないことがある。まさにこの領収書・番号札を通じて環境ホルモン‘ビスフェノールA(BPA)’が人体に吸収される恐れがあるということだ。

■ビスフェノールAがどうして領収書に?

デパート、マート、コンビニエンスストアなどで使われる領収書は、ほとんど‘感熱紙’領収書だ。感熱紙は熱を加えれば色があらわれるように薬品処理した紙だ。 この薬品には染料と、色を鮮明に見えるようにする‘増感剤’、色を出させる‘顕色剤’等が入っているが、まさにビスフェノールAが顕色剤として使われている。 従って国内で流通する大部分の領収書には‘ビスフェノールA’が入っていると言える。

論議の余地はあるが、多くの研究者はビスフェノールAが人体に有害だと結論を下している。ソウル大予防医学科ホン・ユンチョル教授は「毒性が全て明らかになっているわけではないが、成人病と子供の成長発育に影響を及ぼす」と話した。また、体内でホルモンかく乱物質として作用し、性機能に問題を起こす恐れがあり、乳癌や性早熟症と関連があるという報告もある。

■領収書一枚にはどれだけのビスフェノールAが含まれるか?

韓国でも去る6月 消費者院が調査を行った。まだ結果を公開していないが、やはりビスフェノールAが検出されたことが分かった。概略、領収書の重さの1~2%程度のビスフェノールAが含まれている。

米国の‘環境研究団体’ EWG(Environmental Working Group)の研究結果によれば、領収書一枚に含まれるビスフェノールAの量は缶容器(缶容器の内部コーティングにビスフェノールAが使われるということ)や、赤ちゃんの哺乳瓶から出る量より250~1000倍ほど多かった。

さらに驚くべき事実はビスフェノールAが口からではなく手を通じても体内に浸透するということだが、スイスの学者たちの研究結果によれば(Transfer of bisphenol A from thermal printer paper to the skin)感熱紙を5秒だけ手に持っても、約0.2~6マイクログラム(μg)のビスフェノールAが皮膚を通じて浸透しうると報告した。 一日中 領収書を触って丸めるレジではそれだけ多くの危険に露出しているということだ。

どのくらいのビスフェノールAが体内に入る時に有害なのかはまだ明確になっていない。成均館大 イ・ビョンム教授は「(領収書を通じたビスフェノールA流入量が)人体に有害なほどの水準ではない」という見解を示したが、ソウル大 ホン・ユンチョル教授は「日常生活で少量に接したとしても健康に影響を与えるのは事実だ」と明らかにした。

■外国では使わない傾向

論難が大きくなり、一部国家ではビスフェノールAが含まれる領収書を禁止している。 米国のコネチカット州、ニューヨーク州は2013年10月から感熱紙領収書の使用を禁止する法案を通過させた。日本もビスフェノールAが含まれない領収書を使っている。カナダ政府は昨年、ビスフェノールAを毒性物質として公式規定した。

韓国も現在、ビスフェノールAを含まない感熱紙の生産が可能だ。しかし30%以上価格が高いため広くは使われていない。来年から韓国でもビスフェノールAを含む哺乳瓶が禁止されるが、感熱紙領収書に関する議論はまだ活発でない。

韓国のある製紙メーカー関係者は「ビスフェノールAが有害性についててまだ立証されていない。領収書より飲み物の缶、乳児用品などに規制が必要だ」と言いつつも「すでに代替できる技術を開発したので政府規制等があればビスフェノールAを含まない領収書用紙を供給できる」と明らかにした。

ソウル大ホン・ユンチョル教授は「領収書のように代替物質がある場合ならばわが国も禁止しなければならない」と明らかにした。

パク・サンチョル記者 justin22@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/490188.html 訳J.S