原文入力:2011-02-16午後07:44:01(3107字)
情報公開請求で確認の結果
伝統市場 半径500m内 店舗50個‘とぐろ’巻く
イ・スンジュン記者、イ・ユジン記者
←去る8日に見て回ったソウル、城北区、吉音洞の吉音市場は訪れる人が少なく閑散としていた。 イ・ユジン記者
正月連休が終わった去る8日午後、ソウル、城北区の吉音市場は行き来する人に出会うのが難しい程に閑散としていた。野菜と食品を売るイ・ジョンネ(63)氏は「正月の雑煮に使う餅がそっくり残り、冷蔵庫にいっぱいだ」とため息を吐いた。畜産物デパートで精肉道具を整理していたオ・ガンソク(36)氏も「今回の正月には大入り満員の日がまったくなかった」と話した。オ氏は「吉音ニュータウン開発で住民たちが立ち退いた後にもニュータウンの入居さえ待って持ちこたえてきたが、昨年 企業型スーパーマーケット(SSM)と大型マートが相次いでできて市場の商人たちは‘鶏を追った犬’(訳注:犬が鶏を追いかけたが、鶏が屋根に上がってしまい、どうにもできないこと)になった」と嘆いた。
SSM周辺世帯数‘市場の2倍’…最も良いところを占める
共生・流通法‘手遅れ立法’市場没落を防ぐには力不足
吉音市場商人会のカン・ソンギ(47)会長も「開発前には一戸建て住宅密集地域なら住民の90%が在来市場を利用してくれたが、2003年に開発が始まり原住民が抜け出て危機が始まった」と説明した。彼は「ニュータウン入居者に期待したが、住民たちが近くの大型スーパーに行ったせいで商人の売上は半分以下になった」と伝えた。
市場の没落はニュータウン開発で始まったが、市場の商人たちが奈落に追いやられたのは大型流通資本の影響が決定的だった。50年の伝統を誇る吉音市場の場所にも現在、再開発推進委員会が住宅商店複合アパートの建設を推進している。
政府は昨年11月、伝統市場(在来市場)と伝統商店500m以内に大型マートと企業型スーパーマーケットの入店を制限する流通産業発展法(流通法)と‘大・中小企業共生協力促進に関する法律’(共生法)を用意し施行したが、市場の没落を防ぐには力不足であることが分かった。これは<ハンギョレ>と‘透明社会のための情報公開センター’が行った第2回情報公開請求キャンペーンで大賞を受けたチョン・テオク(24)氏の‘ソウル市伝統市場と企業型スーパーマーケット(SSM)現況’に明確に現れている。
チョン氏が地理情報システム(GIS)を活用して分析した結果、ソウル市内196ヶ所の伝統市場の内、半径500m以内に企業型スーパーマーケットが位置するところは50ヶ所にもなった。吉音市場が位置する城北区には伝統市場9ヶ所と主要企業型スーパーマーケット8ヶ所が‘共存’していた。
吉音洞の場合、大企業らは吉音ニュータウンの入居が始まる頃から一つ二つと吉音市場周辺に手を伸ばし始めた。2006年、市場から1.5~2km内外の距離に現代デパートとロッテデパートが開館し、2008年にはデパート近隣にイーマートが開業した。ニュータウンへの入居が終わった昨年9月頃は企業型スーパーマーケット(SSM) 3ヶがアパート団地のあちこちで開店した。現在、吉音市場から半径1km内には5ヶの企業型スーパーマーケットが営業している。市場と490~500m離れた距離にはGSスーパーマーケットとロッテマイスーパー、ロッテスーパー貞陵店があり、800m~1kmの間にもロッテマイスーパーとGSスーパーマーケットがある。吉音市場前の道路の向い側には2552㎡規模の大型マートが開店準備をしている。
今回の情報公開請求キャンペーンでチョン・テオク氏が提出した‘ソウル市伝統市場と企業型スーパーマーケット(SSM)現況’によれば、吉音市場のような伝統市場の没落はソウル市全域で見られる広範囲な現象であることが分かる。
流通産業発展法で規定する伝統市場は、昨年12月基準でソウル市に登録された市場142ヶと認定市場54ヶなど計196市場がある。チョン氏が請求した主要企業型スーパーマーケット(GSスーパーマーケット・ロッテスーパー・イーマート エブリデイ・ホームプラス エクスプレス)は昨年12月基準で191店であり、ソウル市庁が推算するソウルの企業型スーパーマーケットは220店余りだ。
チョン氏は‘大・中小企業共生協力促進に関する法律’(共生法)が遡及適用できないという事実を知り、ソウル市と25ヶ区庁に情報公開請求をしたと明らかにした。すでに開店した企業型スーパーマーケットらは規制が不可能なので、伝統市場の没落は相当部分進行しているものと考え、その現況を把握してみたのだ。
チョン氏が情報公開を通じて受け取った伝統市場と企業型スーパーマーケットの住所を一つ一つ地理情報システム(GIS)に入力して得た結果を見れば、伝統市場と企業型スーパーマーケットがくっついている所が50ヶ所ということだけでなく、密集地域も同様だという事実をも確認できる。
特にチョン氏は情報公開請求を通じて企業型スーパーマーケットが人口の密集したアパート周辺など有利な位置に開店しているということも知ることができた。
2009年基準で共同住宅(アパート・5階建て以上のビラ)現況を企業型スーパーマーケットと伝統市場の位置情報に入力してみると、企業型スーパーマーケットから半径500m~1km内の平均所帯数が同じ距離の伝統市場周辺所帯数より2倍近い数値を示していた。伝統市場周辺500m以内の平均アパート世帯数は2939人であるのに比べ、企業型スーパーマーケットの平均世帯数は4200~5300人だった。企業型スーパーマーケットが新しくできるアパート密集地域に集中的に進出し伝統市場より有利な位置を占めているということが数値で証明されたわけだ。
チョン氏が提出した資料の他にもソウルの中小商人たちが企業型スーパーマーケットに無防備に露出しているという事実を示す資料は多い。チョ・スンス進歩新党議員が昨年9月、金融監督院と中小企業庁に提出させた統計によれば、2006~2009年4年の間に企業型スーパーマーケットの売上額と営業利益は2倍以上 伸びたのに反し、周辺商人たちの売上は50%も減少したことが分かった。キム・ジェギョン ハンナラ党議員が小商工人振興院で受け取った資料にも昨年11~12月 嶺・湖南と済州、江原地域の大型マート近隣 中小商人500業者が大型マート進出後には一日平均売り上げが17万8000ウォン(32.8%)も減ったことが分かった。
一方、今回の情報公開請求対象から除外された資本力のある個人所有の大型マートとこれらの値引き攻勢も在来市場の商人たちには威嚇的な存在だ。城北区の敦岩第一市場で米屋を営むハン・某(50)氏は「ここは企業型スーパーマーケットが4年前から営業中で、1年単位で個人所有の大型マートが値引き競争を行い交替させられるなど四面楚歌状況」と嘆いた。昨年11月、市場500m内に開店する計画だったイーマートは商人会が何とか防いだが、いつまた伏兵が現れるやもしれずハラハラしているとハン氏は話した。
イ・スンジュン、イ・ユジン記者 gamja@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/463757.html 訳J.S