原文入力:2010-11-18午前08:40:15(1971字)
ギム・ジョンフン本部長‘協定文修正’示唆
チョン・ウンジュ記者、ファン・ジュンボム記者
政府が韓-米自由貿易協定(FTA)再協議と関連して、これまで自ら強調してきた‘原則’を露骨に覆している。2007年6月に締結・署名した協定文を直すこともありうるという意志をほのめかしているのだ。
大統領府核心関係者は17日 「米国自動車業界の要求がオバマ行政府に大変重要な状況」とし「自動車分野論議を行ったところ協定文本文に触れなければならないものが出てくることがありえ、その場合には果敢に行う必要があり得る」と話した。「点(.)やカンマ(,)であれ、協定文に再び打つことはないだろう」と公言していたキム・ジョンフン通商交渉本部長は、先立って16日 国会外交通商統一委員会に出席し、米国側の協定文修正要求を認めながら「協定文が変更される部分があるならば国会で再批准手順を踏む」と言葉を変えた。
米国の再協議戦略は‘自国市場はさらに閉じて、韓国市場はさらに開くようにする’ものと要約される。最も破格的なのは、協定文の骨組みである自動車関税撤廃期間まで延長してくれという要求だ。協定文には協定発効後、米国は韓国産乗用車に対する2.5%輸入関税を直ちに若しくは3年間で段階的になくすことにしていた。反面、韓国は米国産自動車に対する8%関税をすぐに撤廃する。それでも米国は今回の再協議で、関税廃止期限(3年)の延長を要求してきたのだ。
キム本部長は具体的な期間を明らかにしてはいないが、米国下院歳入委員会は関税2.5%を15年かけて段階的に撤廃するように要求した経緯がある。キム・ピルス大林大教授(自動車科)は 「ヨーロッパ・日本車との競争が激しい米国市場で関税撤廃は韓国車の核心競争力」としつつ、米国の要求を受け入れれば国内自動車産業の恩恵は大きく減ると予想した。
米国はまた、自動車輸入が急激に増加し自国産業に被害が出る場合、再び高い関税を賦課できる制度である‘セーフガード’(緊急輸入制限措置)導入を要求した。これについて通商交渉本部は「両国共に適用可能な装置ならば検討可能だ」と明らかにした。だが、共に適用されても自動車輸出の多い我が国に一方的に不利にならざるをえない。昨年、韓国産自動車は米国に45万台輸出されたが、米国産自動車の輸入量はたった6000台だ。
自動車分野を修正すれば全体の‘利益均衡’が崩れる。協定で得る韓国の利益の中で自動車の比重があまりにも大きいためだ。それで政府も農畜産業や金融、サービス分野などはあまねく損害だが、自動車分野は大きな利益だと主張してきた。産業研究院が作成した‘韓-米FTA時代に対応した主力産業の構造高度化方案’という報告書を見れば、協定発効により製造業の対米輸出が13億8700万ドル、貿易収支が7億9600万ドル増加する要因となりうる。この内、自動車が占める比重が輸出の60.27%(8億3600万ドル),貿易収支の95.98%(7億6400万ドル)だ。
予想を上回るほどに米国側要求が荒々しい理由は、最近の韓-米の力学関係のためと解説される。天安艦事故が起き戦時作戦統制権回収延期の時、李明博政府に力を与えたので、今度はその借金を返せと米国側が出たわけだ。大統領府関係者は「韓-米FTAは単純に経済の問題ではなく、韓-米関係全体と連結される問題という視点で見なければならない」と話した。
今後、韓国側も正面対抗カードを出し‘やりとり’交渉をリードしなければならないと通商スペシャリストらは指摘している。チェ・ウォンムク梨花女子大教授(法学)は「3年前に合意した時とは違い、米国が自国自動車産業の没落を理由に再協議を要求するならば、我々も2008年金融危機にともなう事情変更を理由に金融サービス分野の修正を提案することができる」と指摘した。金融危機発生後、世界各国は投機性外貨資金の輸出入規制を強化する傾向なのに、韓-米協定はこういう流れと逆行する内容を含んでいる。
民主党でも投資家-国家訴訟制(ISD)等、毒素条項の削除を含む全面再協議論が力を得ている。チョン・ジョンベ最高委員は「すでに米国側要求を相当部分受け入れたようで、再協議も既定事実化された」とし「政府は交渉チームを新しく編成し毒素条項除去のための全面再協議に出なければならない」と明らかにした。 チョン・ウンジュ、ファン・ジュンボム、イ・セヨン記者 ejung@hani.co.kr
原文: 訳J.S