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韓国の高精度地図、結局グーグルに…21兆円の損失?それとも観光客誘致の好材料?

登録:2026-03-02 06:49 修正:2026-03-02 10:11
グーグルのマップとアイコン=チェ・バンソク記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府がグーグルの要請に基づく高精度地図データの国外持ち出しを許可したことで、国内の消費者や産業界に与える影響に注目が集まっている。観光産業の活性化などの利点も一部期待されるが、国内の空間情報産業を保護するために政府の対応が必要だという声が上がっている。

 ハンギョレの業界への取材によると、グーグルに対する地図データ持ち出し許可に伴い、ネイバーやカカオなど国内のプラットフォーム企業や空間情報起業への影響は避けられないとみられる。協議体は今後、地図データ持ち出しの要求について案件ごとに審議・決議を行う方針だが、グーグルに許可を与えたことで事実上の前例が整ったものとみられる。今後、アップルなどグローバル地図サービス運営や自動運転・空間情報サービスなど地図データを必要とする企業も、グーグルの事例を参考にして国内でサービスを運営しうると予想される。

 グーグルマップは特に韓国を訪れる観光客にとっては便利だ。グーグルマップは、世界で20億人の利用者に80以上の言語で提供されているトップサービスであり、海外の観光客が慣れ親しんだ地図サービスを利用して「ルート検索」などの必須機能を利用できるようになる。キム・ドゥクカプ延世大学東西問題研究院教授は「グーグルマップは旅行の便利さを画期的に改善し、観光客の誘致に強力な触媒役を果たすと期待される」とし、「ソウルに偏った観光需要を全国各地に分散させ、地方観光経済を活性化することにも貢献するだろう」と語った。

 一方、ネイバーやカカオなどの国内プラットフォーム企業は、ユーザーの離脱防止という課題を抱えることになった。グーグルマップが国内でも本格的にサービスを開始すれば、同じ地図サービスの「ネイバーマップ」や「カカオマップ」に直接的な脅威になるものとみられる。データテック企業「IGAワークス」のモバイルインデックスによると、昨年1月時点でネイバーマップの月間アクティブユーザー数(MAU)は2880万人、カカオマップは1256万人、グーグルマップは998万人だった。アン・ジョンウク大韓空間情報学会長(安養大学スマートシティ工学科教授)は、「技術力はすでにグーグルが先行している状況で、国内の位置情報が結合されれば、韓国国民のグーグルサービスの利用度が段階的に高まるだろう」と語った。

 自動運転、ドローン、ロボティクスなど、空間データを基盤とする未来の新産業においても、グローバルなビッグテックとの技術格差がさらに広がるのではないかという懸念の声もあがっている。自動運転などのモビリティ関連事業や、飲食店の予約など空間情報に基づく事業がこれに当たる。国内の中小の空間情報企業が感じる危機感も大きい。中小企業がグーグルと技術力で競争するのが難しい状況で、民間の顧客は使いやすいグーグルマップのアプリケーションインターフェース(API)ベースのサービスを好むと予想されるからだ。学界ではグーグルへの地図データ持ち出しにより、今後10年間で最大197兆ウォン(約21兆円)にのぼる経済的損失が発生する可能性があるという研究結果も出た。

 協議体は地図データの持ち出し決定とともに、国内産業界の懸念を考慮し、政府に「空間情報産業育成および支援策」を策定するよう勧告した。またグーグルに対しても、国内の空間情報産業や人工知能(AI)などの関連産業の発展に貢献する共生策を提案した。韓国空間情報産業協会など韓国の空間情報産学界の6団体は、国内の測量・地図産業の発展のため、10年間で1兆ウォン規模の特別発展基金を設立するなど、支援策の整備を求めた。

チェ・バンソク、ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1247100.html韓国語原文入力:2026-03-01 19:54
訳H.J

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