国家安全保障を理由にこれまで高精度地図データの国外持ち出しを許可しなかった韓国政府が、「条件付き」許可へと方針を変えた背景には、関税引き上げを掲げた米国政府のデジタル規制緩和の圧力が影響したものとみられる。政府は今回の決定により両国の関税・通商交渉が円滑になることを期待しつつも、オンラインプラットフォーム法の立法など残された課題に向け緊張を緩めずにいる。
通商の専門家らは、米国政府が代表的な非関税障壁として指摘してきた高精度地図データ持ち出しを韓国政府が承認したことについて、「当面の難関は乗り越えたが、米国の圧力は続く」と予想した。
1日、チャン・ヨンジュン慶煕大学教授(貿易学)はハンギョレに「地理情報に基づく技術と産業が急速に発展する中で閉鎖性を維持するのは難しかったため、妥協案をうまく選んだものとみられる」としたうえで、「米連邦最高裁判所から相互関税の違法判断を受けたトランプ政権が通商法301条の調査の強化を予告するなど、緊迫した雰囲気の中で、報復のテストケースにならないことが何より重要だ」と強調した。
今月の初めに予定されている米通商代表部(USTR)のクーパンに関する通商法301条違反調査開始の決定が、差し迫った火種となっている。クーパンの米国の投資家たちは1月22日、「韓国政府のクーパンに対する規制は懲罰的で差別的だ」として、報復関税を請願しており、USTRは45日以内(3月7日以前)に調査を開始するかどうかを決定しなければならない。USTRが公式調査を経て通商法301条違反と判断すれば、トランプ大統領は関税引き上げや輸入制限など広範な措置を講じることができる。
韓国政府は両国の関税交渉とクーパンは別の問題だと説明してきたが、最近、米連邦最高裁が相互関税を違法と判断した後、米政府が通商法301条の調査を強化する方針を明らかしたことに伴い、「クーパンリスク」が再び大きくなっている。米政府が301条の調査開始を決めると、関税引き上げの圧力がさらに高まるだけでなく、オンラインプラットフォーム法▽ネットフリックスやユーチューブなどに対する通信ネットワーク使用料の課税▽クラウドセキュリティ認証(CSAP)などの非関税障壁を米国が交渉テーブルに載せる可能性があるとみられる。
USTRは昨年3月に公開した「2025年国別貿易障壁報告書」(NTE報告書)で、韓国のオンラインプラットフォームの独占規制やネットフリックス、ユーチューブなどの海外コンテンツ供給者に対する通信ネットワーク使用料の課税は、米国企業に差別的な被害を与えるとして、懸念を示した。また、産業技術保護法において、半導体、自動車、ロボット工学、航空分野など国の安全保障技術分野は韓国のインターネット振興院のクラウドセキュリティ認証を受けた国内事業者のみがサービスを提供できるようにしている点も、不公正なデジタル規制だと指摘されている。
チャン・サンシク韓国貿易協会国際貿易通商研究院長は「トランプ政権が今月中に新しい貿易障壁報告書を発行し、他の国々を圧迫する予定であることを考えると、今回の地図データ持ち出しの承認で『努力している』という印象を与えることができるだろう」としつつも、「まだ解消されていない問題が残っているため、当分の間厳しい通商環境が続くだろう」と予測した。