韓国企業は韓米首脳会談を機に、1500億ドルにのぼる大規模な対米直接投資計画を明らかにした。また米国側と11件の契約および了解覚書(MOU)を締結し、韓国政府が推進する「韓米製造業ルネサンス・パートナーシップ」が本格稼動に入った様相だ。
韓国経済人協会のリュ・ジン会長は25日(現地時間)、ワシントンのウィラードホテルで両国政府と財界関係者が参加した「韓米ビジネスラウンドテーブル:製造業ルネサンス・パートナーシップ」の行事で「韓国企業は米国とグローバル市場を共にけん引し、製造業ルネサンスの新たな時代を開いていくために1500億ドルという大規模な対米投資を計画している」と明らかにした。1500億ドルの投資は、韓国政府が関税交渉の際に米国に約束した3500億ドル規模の投資協力ファンドとは別であり、ドナルド・トランプ大統領は韓国が首脳会談の際に追加投資計画を公開すると明らかにした経緯がある。
これと関連し、現代自動車グループは4年間で260億ドルの投資計画を明らかにした。3月に発表した投資額から50億ドル増加した規模だ。投資額の増大はロボット工場に集中したが、米国に年間3万台規模のロボット工場を建て、ロボット生産ハブにする計画だ。
大韓航空は今回の行事で、ボーイングから362億ドル分の次世代高効率航空機103機、GEエアロスペースからはエンジンとエンジン整備サービス137億ドル分の購入を約束するMOUを締結した。計70兆ウォン(約7.4兆円)に達する投資額で、大韓航空としては史上最大規模だ。
HD現代やハンファオーシャンなどの造船業分野への投資も推進されている。ハンファオーシャンは昨年買収した米フィラデルフィアの造船所の生産能力を2035年までに10倍に引き上げるための追加投資に乗り出すことにした。
韓米の企業はこの日、造船、原子力、重要鉱物の分野まで含め計11件の契約とMOUを締結した。HD現代は韓国産業銀行および米国「サーベラス・キャピタル」と共に数十億ドル規模の造船・海洋分野共同投資ファンドを作ることにした。サムスン重工業も「ビガー・マリン・グループ」と共に米海軍支援艦の維持・補修・整備(MRO)、造船所現代化、船舶共同建造パートナーシップを構築することにした。
原子力産業協力も強化する。斗山エナビリティと米国企業「フェルミアメリカ」はテキサス州で推進中の「AIキャンパスプロジェクト」に供給する大型原発と小型モジュール原子炉(SMR)機材関連協力関係を構築することにした。韓国水力原子力とサムスン物産も同事業に参加することにした。韓水原はウラン濃縮設備投資に米国企業とともに参加する内容のMOUも締結した。
また、韓国ガス公社は2028年から約10年間、米国産液化天然ガス(LNG)を年間330万トンずつ導入する中長期契約を結んだ。関税交渉の際、政府が約束した米国産エネルギー1000億ドル分購入の一環だ。
韓米製造業協力はトランプ政権の関心が大きい造船分野を中心に速度を上げるものとみられる。李在明(イ・ジェミョン)大統領は今回の行事で、造船業などに言及し「製造産業分野で最高の技術力を保有した大韓民国こそ米国の製造業ルネサンスを達成する最適のパートナー」だと述べた。これに先立ち、ホワイトハウスで李大統領に会ったトランプ大統領は「韓国は船の建造に長けている」とし、「韓国から船舶を購入するだけでなく、米国内で米国の人材を活用して韓国企業と共に船舶を建造する」と語った。韓国製船舶の購入を推進し、韓国の造船企業の対米投資を誘導するという意味だ。
しかし、韓国側が3500億ドルの投資ファンドと1000億ドル分のエネルギー購入を約束したのに続き、再び1500億ドルの直接投資計画を明らかにしたにもかかわらず、米国側が提示した具体的な見返りは目につかない。先月、米国が約束した自動車品目の関税率引き下げ(25%→15%)は、今回の首脳会談でも日程が提示されなかった。