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「MS・GoogleのAIパーティーにアップルは参加すらできていない」

登録:2025-06-10 20:31 修正:2025-06-11 07:12
「今後はハードウェア会社に近くなる」 
WWDC 2025後、アップルに酷評続く
9日(現地時間)、米アップル世界開発者会議(WWDC)で公開した映像内のティム・クック最高経営者(CEO)=アップル提供//ハンギョレ新聞社

 「(アップルの世界開発者会議には)がっかりしました。アップルはますます後れを取っており、今後はソフトウェア会社というよりハードウェア会社に近くなるだろう」

 9日(現地時間)、米カリフォルニア州で開かれたアップル世界開発者会議(WWDC)。情報技術(IT)業界を先導してきたアップルが自ら新技術の方向性を提示する例年行事であるだけに、全世界の耳目が集中したが、これを見守っていた資産運用会社代表のロス・ガーバー氏はブルームバーグにこのように語った。「アップルは(AI)パーティーに参加すらできていない」という酷評が続いた。

 アップルは人工知能(AI)競争に後れを取っているという危機意識が高まっている。マイクロソフト(MS)やグーグル(Google)をはじめとするライバル企業が連日激しい主導権争いを繰り広げているのに対し、アップルはこれといった革新を見せられずにいるという評価が多い。市場でも失望感が広がり、株価が値下がりしている。

 AI革新の不在は、この日開幕したアップルのWWDCでそのまま明らかになった。まず、基調演説でアップルのAIシステム「アップルインテリジェンス」の存在感は薄れていた。昨年、アップルインテリジェンスの方向性を紹介する時間を別途設け40分近く割いていたのとは異なり、今年は新しく追加した機能のいくつかを説明するにとどまった。「アップルインテリジェンス」に言及した回数は昨年の約60回から今年は30回前後と半分になった。

 アップルの野心作である「万能秘書 Siri」の発売時点も未知数として残った。アップルは昨年、WWDCでAI秘書「Siri」がユーザーの個人的な脈絡まで把握し、直接アプリを操作できるようにアップデートすると明らかにしたが、この機能はまだ提供されていない。以前に「虚偽広告」論争に火がついたのもこのような背景からだ。クレイグ・フェデリギ副社長はこの日「私たちの高い品質基準を充足するためには時間がもっと必要だ」とだけ述べた。

 今回新たに追加した機能も、グーグルのアンドロイドより優れているとはみなしがたいとの評価が多い。今後アップルユーザーはメッセージをやりとりしたり通話をする時にリアルタイムの通訳翻訳機能を使うことができ、関心のある製品の写真があればこれをタッチして同じような製品を検索できる。サムスン電子のスマートフォン「ギャラクシー」をはじめとするアンドロイド機器では「サークル・トゥ・サーチ」などの名前で提供されている機能だ。

 AIの不在に対し、アップルは「デザイン革新」を代わりに掲げた。「リキッドグラス」(Liquid Glass)という名前の新しいソフトウェアのデザインは、ガラスと液体の特性に着目し、メニューバーなどを半透明に作ったというのが特徴だ。今年発売するアイフォンOS(iOS26)をはじめとしてアップル機器全般に適用する計画だ。アップルは「これまでで最も広範囲なソフトウェアデザインのアップデートだ」と強調した。

 市場では失望したという反応が少なくない。特にグーグルが先月の開発者会議(I/O 2025)で、テキストの指示だけでリアルな映像を作り出すAI「Veo3」を披露し好評を博したことと対比されるという指摘が多い。アップルがAI時代に取り残されていくのではないかという懸念が頭をもたげた理由だ。アップルは同日、ニューヨーク証券市場で前日より1.2%下落した201.45ドルで取引を終えた。今年に入ってからは関税負担とAIの不振を巡る懸念の影響で19%以上下落した。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/1202058.html韓国語原文入力:2025-06-10 18:57
訳J.S

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