韓国の二次電池の材料業界が深い赤字の泥沼に陥った。
ポスコフューチャーMは3日、昨年の年間売上が3兆6999億ウォン(約3920億円)、営業利益が7億2100万ウォン(7630万円)で、前年に比べれぞれ22.3%、98%減少したと公示した。特に、売上の60%ほどを占める正極材料と負極材料などバッテリー素材の事業での不振が深刻だった。この部門の売上は2兆3399億ウォン(約2480億円)で30%減り、営業損失は2023年の117億ウォン(約12億3780千万円)から昨年には369億ウォン(39億400万円)になり、赤字幅がほぼ倍増した。
それでもポスコフューチャーMは状況が良い方だと言える。正極材メーカーのL&Fは昨年、5102億ウォン(約540億円)の営業赤字を出した。売上は1兆9075億ウォン(約2020億円)で60%近く減少した。正極材メーカーのエコプロBMや、分離膜を作るSK IEテクノロジー、電解質メーカーのエンケムなども第3四半期に続き赤字を出すものとみられる。
国内メーカー各社の業績悪化は、中国のライバル会社各社に比べ、さらに深刻なレベルだ。中国の正極材メーカーの寧波容百新能源科技(容百科技)は、昨年第3四半期基準で累積売上は39%、営業利益は77%減少したが、2億1755万元(約46億円)の営業利益を上げ、黒字を維持している。負極材メーカーのBTRも営業利益が8億2696万元(約175億円)の黒字だ。
このような違いは、根本的には前方産業である電気自動車(EV)の業況が北米と中国で明暗が分かれた結果と言える。ナイス信用評価のパク・チョンイル責任研究員は「EV需要の成長傾向が続いた中国とは異なり、韓国の電池メーカーの主要市場である北米のEV需要は鈍化したため、国内企業の打撃はさらに大きかっただろう」とし、「電池メーカーが2023年に大量に買い入れた在庫を使い果たし、新規注文を減らしたことで、(材料の)販売量が(EVの)需要の鈍化より大きく減った可能性がある」と語った。さらに原材料価格の下落が重なり、販売価格の防御がさらに難しくなった。ポスコフューチャーMの関係者は「正極材は高付加価値製品であるハイニッケル製品を中心に、販売量は前年に比べ小幅に増加したが、リチウムとニッケルなど主要原料価格の下落で販売価格が大きく下がり、売上が減少した」と話した。業界では「中国企業などの場合、中国政府の補助金も実績を支えている要因」とも言われている。BTRと容百科技が昨年1〜9月に支給されたと発表した中国政府の補助金はそれぞれ183億ウォンと36億ウォン規模だ。
負極材の場合、低価格の中国製品との競争でも自由ではない。米国政府が支給する高度な製造業の生産税額控除(AMPC)を受けるためには、中国製の正極材を使うことはできないが、負極材は2026年まで使えるため、国内電池メーカーの多くが国内製品より40~50%安い中国製品を使っている。