サムスン電子の資本利益率(ROE)がこの10年間、下落傾向にあったことが分かった。資本利益率は、企業が与えられた資本をもとにどれだけの利益を出したのかを測る尺度だ。企業の経営効率性が一目で分かるため、機関投資家が重要視する主要指標だ。イ・ジェヨン会長が経営の主導権を握ってきたここ10年間、サムスンが徐々に「非効率的な恐竜」に転落したことを意味する。外国人投資家の激しい売り注文で株価がいわゆる「5万(ウォン)電子」に下がった背景には、このような危機感があるとみられている。
ハンギョレがサムスン電子の財務諸表20年分を27日に分析した結果、10年平均(当該年度を含め最近10年)の資本利益率は、2013年の19.1%から昨年には13.3%に低下したことが分かった。資本利益率とは、企業の資本に対する年間純利益の規模を指す。簡単に言えば、企業が自分のお金(資本)をどれだけ効率的に運用し、利益を上げたかを示すものだ。半導体産業の特性上、業況によって毎年変動が大きいことを踏まえ、短期ではなく10年平均値の長期的な推移を調べた。
これは、最近取りざたされているサムスン電子の「危機」が、実はかなり前から進んできたことを示している。資本利益率の持続的な下落は、企業の経営効率性が有意味に悪化していることを表しており、一般的に通常危機のシグナルとされる。サムスン電子の規模(資本)は着実に大きくなってきたが、半導体とスマートフォンをはじめとする主要事業で出した利益は、この10年間業況によって上がったり下がったりしただけで、傾向として成長を続けてきたとは言えない。半導体業界に訪れた人工知能(AI)による追い風にもかかわらず、ライバル社とは違って今年も下落傾向が続く見通しだ。証券街の実績見通しを反映して推算した今年の10年平均資本利益率は12.6~12.8%にとどまっている。
これは成長を重ねてきたライバル社とは対照的だ。世界1位のファウンドリ(半導体受託生産)企業である台湾のTSMCの10年平均資本利益率は、同期間中23.6%から27.3%に上がった。それと共に、TSMCとサムスン電子間の格差は4.5ポイントから14.0ポイントに広がった。最近はTSMCの利益率がサムスン電子の2倍を上回っている。
結局、イ・ジェヨン会長が経営を率い始めてから、サムスン電子の競争力が着実に悪化したわけだ。イ会長は副会長時代だった2014年、故イ・ゴンヒ先代会長の入院を機に本格的に経営に乗り出した。2022年10月27日には会長に就任した。同日で会長就任2周年を迎えたが、最近浮上したサムスン電子危機論については沈黙を守っている。経済改革連帯のキム・ウチャン高麗大学教授(経営学)は、「(イ・ジェヨン会長は)経営手腕を発揮していない」とし、「会社が危機から脱するためには変化を図らなければならない」と指摘した。