中国が海外資産1千万ドル(約15億円)以上の超富裕層の海外投資収益に最大20%の課税を始めたことが分かった。
15日、ブルームバーグ通信は消息筋の話として、中国の主要都市の一部の富裕層がここ数カ月間にかけて、税額算出のために税務当局に召喚されたと報道した。召喚を通報された一部の富裕層は、少なくとも1千万ドルの海外資産を保有しているか、香港や米国に上場された企業の株主だったという。海外投資収益に課せられた税率は最大20%であり、最終納付額は税務当局と交渉できると伝えられた。
富裕層の投資収益に対する課税の根拠は、域外脱税防止などのための経済協力開発機構(OECD)加盟国の協定である、多国間における金融等情報の自動的情報交換に関する協定だ。中国は2018年9月から協定に参加している。これに関して中国当局は、居住民は海外投資収益などの所得と関連した税金を払わなければならないと定めたが、最近までほとんど施行されていなかったとブルームバーグは伝えた。上海の税務専門家であるピーター・ニー氏は同メディアに「今後、個人所得税法がさらに厳格に施行されるだろう」とし「高所得な個人の海外所得が税務当局のターゲットになるだろう」と話した。中国の税務当局はブルームバーグのコメント要請に応じなかった。
ブルームバーグは、富裕層課税の背景には財政収入の減少と、習近平主席が主張してきた「共同富裕の実現」があると分析。今年1~8月の中国の財政収入は昨年同期より2.6%減少した。不動産の景気悪化で土地売買関連の歳入は25%減少した状況だ。
「共同富裕」(全人民の富裕)は習主席が政権2期目を始めた2017年10月、中国共産党第19回党大会の時に強調した概念だ。当時同主席は、経済的不平等を中国社会の主要矛盾とみて、共同富裕を促進しなければならないと主張した。中国当局は共同富裕は「同じように分配する平均主義ではない」と説明しているが、多くの富裕層が中国を離れたことが分かった。ブルームバーグは2021年以降、中国の富裕層移民が増え、120万人以上が中国を離れたと国連の資料を引用して伝えた。