シンガポールを基盤とする電子商取引(Eコマース)企業「Qoo10(キューテン)」傘下の系列会社ティモンとウィメプの精算遅延問題の余波が、旅行業界を越えて流通業界全般に拡散している。出店業者たちがQoo10の支給能力に疑いを抱き相次いで離脱し、不安がさらに大きな危機を招いている。
25日、業界関係者の話を総合すると、旅行会社の他にデパートやホームショッピングなどの大型流通会社は、すでに19日前後にティモンとウィメプから撤収した。現在、ロッテショッピング、新世界、現代デパート、GSリテール、現代ホームショッピング、新世界ライブホームショッピング、公営ホームショッピング、GSホームショッピングなどは、これらのプラットフォームから販売掲示物を全て引き揚げた。
旅行業界も同様に、6月の代金精算が行われず、ティモンやウィメプから全て撤退した。業界の推算で被害額は1千億ウォン(約110億円)規模に達するという。ある旅行業界の関係者は「決済代行会社(PG社)がティモン側の決済・払い戻しを阻んでおり、休暇シーズンを控えて被害が雪だるま式に増えている」として「規模のある(旅行会社の)モドゥツアーやハナツアーなどはティモンの決済金額で消費者に再決済を誘導し、取り消しを希望すれば違約金・手数料なしでの取り消しを支援している」と話した。
だが、一部の旅行会社は、割引率が高かったティモンの決済金額ではなく本社の販売する金額での再決済を要求し、取り消し手数料まで賦課して消費者の不満を買っている。また別の旅行会社の関係者は「ティモン自体の割引とクレジットカード割引などが多く、差額がかなり大きいが、小規模な旅行会社はこれにカバーする余力がない」として「商品によっては取り消し手数料が50%以上のケースもあり、これもやはり消費者に負担を負わせる状況だ。政府の対策が必要な状況」と説明した。
さらにティモンキャッシュのPAYCOポイント転換、ハッピーマネー取引、ポイント転換なども中断された。ティモンとウィメプで購入した商品券の決済も一部滞った。配達代行プラットフォームの「ヨギヨ」の場合、24日にティモンを通じて販売されたヨギヨ商品券の使用が中止された。ヨギヨは商品券発行・販売・払い戻しなどを委託していたが、委託会社がティモンから精算を受けられなかったことを受け、事前協議なしに任意にヨギヨの商品券の使用を中止させたと説明した。ヨギヨ側は「自主的にこの問題を完全に解決することは難しい状況なので、Qoo10の迅速かつ根本的な解決策を求める」とし、「顧客の被害を回復できるよう後続措置について最大限速かにお知らせする」と謝罪した。
中小規模の販売者の離脱も相次いでいる。この日早朝から被害者50人余りは三成洞のウィメプ本社前に集まり、問題の解決を要求し抗議に出て、警察まで出動する騒動になった。前日の24日にも、一部の販売者がティモン本社を訪ね代金精算を要求し、一部では社員と摩擦を起こしたという。被害を受けた消費者と販売者1600人余りは、グループチャットルームを設けリアルタイムで状況を共有している。
潜在的被害も懸念される。宿泊予約プラットフォーム「ヤノルジャ」の場合、Qoo10にインターパークコマースの持分全量を昨年売却したが、1700億ウォン(約187億円)に達する売却未収金を受け取れずにいる。これに商品販売精算金30億ウォン(約3億円)もある。ヤノルジャの関係者は「売却未収金に関して、Qoo10が利子などは正常に支払っており、現時点では大きな問題はない」と話した。
一方では、Qoo10をめぐって不安感と危機感を高める誇張された報道が相次ぎ、かえって混乱が広がっているという指摘もある。業界のある関係者は「ティモンとウィメプの取引額が全体の3~4%にしかならない業者でさえ、不安を感じた消費者の取り消し・払い戻し要求が殺到し、打撃が雪だるま式に膨らんでいる」として「金融当局がPG社(決済代行会社)の決済・払い戻し中断から解決するなど、早く事態を収拾し解決策を出すべきではないか」と話した。