人類が太陽系外の宇宙で惑星を発見したのは、今から32年前の1992年。その後、望遠鏡での観測を通じて確認された系外惑星は、これまで5690個にのぼる。今も続々と新しい惑星が追加されている。6月以降、系外惑星のリストに追加されたものだけでも100個を超える。中には既存の惑星の定義から外れ、二つ以上の星を公転する惑星もある。
こうした状況を反映して、惑星の定義を修正しようという動きが天文学界で起きている。太陽系外にも多くの惑星があることが分かったため、太陽系だけを念頭に置いた現在の基準の代わりに、系外惑星まで包括できる惑星の定義が必要だということだ。
米国ロサンゼルスのカリフォルニア大学(UCLA)のジャン=リュック・マルゴ教授をはじめとする一部の惑星科学者たちは「現在の定義は太陽系の惑星だけに適用される」として、太陽だけでなくすべての恒星、恒星の残骸または褐色矮星(わいせい)を公転する天体に一括適用できる新たな定義が必要だと明らかにした。科学者らは新たな定義の基準を説明した論文を17日に国際学術誌「惑星科学ジャーナル」に発表した。また、8月に開かれる国際天文連盟(IAU)の総会でもこの提案を発表する予定だ。
現在の惑星の定義は、2006年のIAU総会で採択されたものだ。これによると、ある天体を惑星とみなすには3つの条件を満たさなければならない。
第一に、太陽を中心に公転していること。
第二に、球形を維持するのに十分な質量を持つこと。
第三に、同じ公転軌道に他の天体がないこと。
この基準によって、1930年代の発見以来太陽系の9番目の最外郭惑星とされてきた冥王星が惑星からはずされ、準惑星に再分類された。
第一と第二の条件は満たしたが、第三の条件を満たすことができなかったためだ。冥王星は軌道が他の天体と重なっている。太陽系の他の惑星と比べて大きさと質量がきわめて小さく、軌道内の唯一無二の天体にはなれなかった。冥王星の質量は地球の0.24%、大きさは直径2377キロメートルで月の66%だ。
■惑星の基準を二つに単純化
新たな定義を主張する学者たちは、惑星の条件を3つから2つに単純化した。太陽を公転し球形であるという条件を排除し、質量の基準を具体化した。
第一の条件は、一つ以上の恒星、褐色矮星、恒星の残骸の周りを公転すること。第二の条件は、質量が木星の0.005%(10の23乗kg)より大きく、木星の13倍(2.5×10の28乗kg)より小さいことだ。
質量の条件の下限は軌道内で動力学的な支配力を持ちうる最低限度、上限は水素の核融合が起きて褐色矮星になる境界線だ。軌道での支配力とは、同じ軌道の他の天体を吸収したり、追い出すことができるほどの重力を持っていることを意味する。
■新たな定義でも冥王星は惑星から外れる
共同著者であるカナダのブリティッシュコロンビア大学のブレット・グラドマン教授は「最も簡単に測定できる量である質量を決めておけば、特定の天体が惑星の条件を満たすかどうかに対する論争をなくせるという長所がある」と話した。
彼らは今の定義にある「球形」という条件を排除した理由として、天文観測の現実を挙げた。遠く離れている惑星の場合、形を確実に確認できるほど詳しく観測できるケースは珍しいため、定義として使うには適していないということだ。
太陽系の場合、10の21乗kgより大きい天体はすべて球形だ。したがって、今回提案された質量の下限以上のすべての天体は球形である可能性が高い。しかし、新たな定義によっても冥王星は質量が小さすぎて惑星の資格を回復することはできない。
IAUがこの提案を公式の議論にかけるかどうかはまだ分からない。研究チームは2027年の総会で公式案件として採択されることを期待している。議論が始まれば、惑星に対する定義をめぐって数年間の討論過程が続くものとみられる。
*論文情報
DOI 10.3847/PSJ/ad55f3
Quantitative Criteria for Defining Planets.