英国の競争当局が韓国の大韓航空とアシアナ航空の合併にブレーキをかけた。航空券の価格上昇と機内サービスの下落など「独占・寡占」の弊害が予想されるとして、解消方案の提出を要求した。合併承認日程が遅れる可能性があるという憂慮と共に、仁川-ロンドン路線の一部を英国の航空会社に渡すことになりかねないとの分析が出ている。
英国競争市場庁(CMA)は15日(韓国時間)、ホームページを通じて「大韓航空とアシアナ航空の合併がロンドン-ソウル間を往来する乗客により高い価格とより低いサービス品質をもたらすおそれがある」と明らかにした。CMAで大韓航空とアシアナ航空の合併審査業務を受け持っているコリン・ラフタリー先任理事は「大韓航空とアシアナ航空が我々の懸念を解決できなければ、今回の取引はより深層的な調査で進められるだろう」と明らかにした。英国と欧州連合(EU)などの企業結合審査は、当事者から競争制限性の発生の評価および解消案に対する計画を受けとって審査し、不十分と判断されれば深層調査に切り替える方式で進められる。
CMAは、大韓航空側に11月21日までに市場競争性の制限の懸念を解消するための是正措置提案書を提出するよう要求した。大韓航空側の競争制限性の解消案を見て、28日までに大韓航空の提案を受け入れるか、または深層的な2段階調査に着手するかを決めることにした。CMAは、旅客輸送だけでなく航空貨物運送でも「独占・寡占化によりさらに高い運送費用を支払う可能性がある」と判断した。
業界では英国が大韓航空とアシアナ航空の合併にブレーキをかけたという解釈が出ている。業界関係者は「英国のヴァージンアトランティック航空がロンドン-仁川路線を運航するという話がある。英国政府が(運輸権やスロットなど)自国の利益のために支援に乗り出したのかもしれない」とし「英国の立場としては、無条件で合併を承認する理由はない状況」と解釈した。
「英国が大韓航空に機会を与えた」という分析もある。韓国航空大学のユン・ムンギル教授は本紙との通話で「大韓航空は独占・寡占の解消という、正解のある試験用紙を受け取った。その答えさえきちんと書いて提出すれば、英国も承認するものとみられる」と述べた。ユン教授はまた「独占・寡占化の解消のために大韓航空がヴァージンアトランティック航空のような英国の外航会社に路線を譲らざるをえないだろう」と見通した。
大韓航空がアシアナ航空との合併手続きを終えるためには、英国、米国、EU、中国、日本の5カ国から全て企業結合の承認を受けなければならない。これに先立って大韓航空は計14カ国の競争当局にアシアナ航空との結合承認を申請し、韓国をはじめトルコ、台湾、ベトナムなど9カ国からは承認を得ている。また別の業界関係者は「航空強国である米国とEUの決定が他の国家の審査にも影響を及ぼすだろう」と話した。
一方、韓国国土交通部のウォン・ヒリョン長官は先月21日に開かれた国会国土交通委員会の国政監査で、「(大韓航空とアシアナ航空の合併承認審査は)来年中に完了するだろう」と予想した。大韓航空は「英国政府が競争制限性の是正案の補完を求めたという発表は最終決定ではない」として「早期に追加の是正措置計画を提出する」と明らかにした。