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1年前に贈っているのに…「バイデン訪韓みやげ」韓国財界が苦心

登録:2022-05-17 06:01 修正:2022-05-17 08:26
首脳会談と企業家面談が目前 
要請事項の調整なく戦々恐々 
 
昨年に大規模な投資を約束しているうえ 
サプライチェーン危機と物価高でいっそう苦心
米国のバイデン大統領が12日(現地時間)、ホワイトハウスのサウスローンで特別首脳会議に出席する東南アジア諸国連合(ASEAN)の指導者たちと集合写真を撮っている/聯合ニュース

 今週末に行われる韓米首脳会談を前に、財界の苦悩が深まっている。主要企業は昨年行われたワシントンでの韓米首脳会談ですでに大規模な対米投資計画を発表しているため、さらなる「訪韓みやげ」を用意すべきか戦々恐々としているのだ。

 16日の主要大企業の関係者の話によると、今週末の韓米首脳会談と対米投資に関する大統領室または関係省庁の要請事項は、依然として不透明なようだ。5大グループで対外業務を担当するある役員は「文在寅(ムン・ジェイン)政権では、首脳会談に関する事項は大統領府が直に調整していた。日程が迫っているのに龍山(ヨンサン、大統領室)はまだ面談日程以外には具体的な内容に関する調整をしていない」と語った。財界団体によると、米国のジョー・バイデン大統領と企業家との面談はサムスン、SK、現代自動車、LGの4大グループのほかにも、ロッテ、ハンファ、OCI、ネイバーなどに拡大するという。

 財界は、バイデン大統領訪韓にあたって提示するしかるべき「手みやげ」に苦心している。わずか1年前にワシントンで行われた文在寅-バイデン首脳会談の際に、大型の対米投資計画はすでに打ち出している、というのが主要グループの立場だ。4大グループのある対外協力担当役員は、「1年前のワシントンでの韓米首脳会談の際に、今後3~5年間の対米投資計画をすでに発表しているが、わずか1年間で新たな大規模投資計画を立てられるわけがない。対内的に1年前に約束した投資計画を具体化する作業を進めている」と話した。

 昨年5月の韓米首脳会談の際、サムスン電子は半導体受託生産(ファウンドリ)に170億ドルを、LGとSKグループは電気自動車バッテリーの合弁生産に140億ドルを投資することを表明。現代自動車は2025年までに米国現地の電気自動車生産設備などに74億ドルを投資する。このところ外国メディアがバイデン訪韓を前に、現代自動車が米ジョージア州に電気自動車の生産ラインを建設することを報じているが、これは新規の投資ではなく、1年前の電気自動車投資計画をより具体化したものだ。4大グループは1年前に、国内の年間設備投資総額の4分の1にのぼる44兆ウォン(約4兆4300億円)の対米投資を約束している。

 4大グループは当時、半導体やバッテリーなどのグローバル競争が激しい分野での協力パートナーの存在、消費市場へのアクセスの良さ、米政府の減税措置やインフラ提供などを考慮して現地投資を決めた。しかし、最近のウクライナ戦争やグローバルサプライチェーンの危機、物価高などによる緊縮期となっているため、積極的な対外投資をすべき時ではないということも財界の悩みの種だ。半導体業界のある関係者は「このところの半導体の需要超過で、ファウンドリ(受託生産)の強者である台湾のTSMCとサムスン電子が単価引き上げを進める動きを見せている」とし「生産ライン増設は数年かかる問題であり、供給量が不足しているため、収益性を管理しなければならない」と語った。このような状況では、バイデン政権もやはり新規の対米投資というより、アップルやグーグルなどの米国企業の利益の保護に向けた戦略的協力、既存の投資約束の早急な履行要求などに焦点を合わせるのではないかとの見方が有力となっている。

 4大グループの戦略担当の関係者は「今回は、政府サイドで中国を牽制するインド太平洋経済枠組み(IPEF)などに積極的な立場を表明するなど、外交的観点からの対応を期待している」とし「いつになるかは分からないが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の答礼訪問の際の手みやげの方が重要ではないか」と述べた。

キム・フェスン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1043091.html韓国語原文入力:2022-05-16 19:05
訳D.K

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