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中国の脱炭素政策に韓国の石油化学・精油各社は設備稼働率引き下げ

登録:2022-01-23 20:45 修正:2022-01-24 06:49
石油化学製品の需要減り 
原料として使われるナフサの価格上昇 
エチレン生産の収益性は急激悪化 
設備稼働率を相次ぎ5~10%引き下げ
全羅南道麗水のGSカルテックスの工場=GSカルテックスのホームページより//ハンギョレ新聞社

 韓国国内の石油化学企業と精油各社がプラスチックの主原料であるエチレン生産設備の稼働率を先を争って引き下げている。中国の脱炭素政策と冬季五輪開催などにより石油化学製品の需要が減り、石油化学製品の原料として使われるエチレンの収益性が急激に悪化しているためだ。

 23日、石油化学・精油業界関係者の話を総合すれば、昨年末以降、韓国国内のエチレン・プロピレン生産設備の稼働率が5~10%ほど低下した。まだ稼働率を維持している企業も生産量調節案を検討中だ。

 エチレンは石油化学製品の“米”と呼ばれる。多様な石油化学製品の基本原料として活用されるからだ。エチレンは原油の蒸留過程から出るナフサを分解して作るが、この工程を担当する設備がナフサ分解施設(NCC)だ。この時、合成繊維などに使われるプロピレンとタイヤの原料であるブタジエンも作られる。これまでこの工程の事業は石油化学企業などがしてきたが、2018年からは精油会社が事業多角化を理由に参入し、供給過剰の懸念が提起されてきた。GSカルテックスがオレフィン(MFC)施設を構築したのが代表例だ。

 NCCのような石油化学工程の設備は100%稼働が基本だ。稼働率を低くすれば再び上げることが技術的に難しく、それにともなう費用負担も大きいからだ。だが、石油化学企業と精油会社は最近になってNCCの設備稼働率を先を争って引き下げている。エチレン・プロピレンを新しい収益源に選んで設備を増やしたものの、そこから抜け出して生産縮小に出るわけだ。各企業は「エチレン需要の減少で価格が下降線なのに加え、回復の可能性も大きくないので」と理由をあげている。

 エチレン価格は昨年11月から下落傾向にある。一方、エチレンの原料であるナフサの価格は原油価格上昇の影響で上昇傾向にあり、エチレンの収益性下落が加速している。ユアンタ証券リサーチセンターの調査結果によれば、14日基準でエチレン価格はトン当たり955ドルだった。最近10カ年の平均価格1099ドルと比較して13%ほど低い。10カ年平均価格は業界でエチレンの価格推移を計る指標として活用されている。同日基準のナフサの価格はトン当たり780ドルで、10カ年平均価格(トン当たり658ドル)に比べて18%高い。

 収益性指標(エチレン価格-ナフタ価格)で見れば、14日基準のエチレン収益性はトン当たり175ドルだった。昨年11月の321ドルと比較すれば半分水準に下落した。10カ年平均の収益性指標(トン当たり441ドル)と比較すると、下げ幅はさらに大きくなる。収益性が下がり続けているという意味だ。プロピレンの状況も同じだ。同日基準でプロピレンの収益性指標(プロピレン価格-ナフタ価格)はトン当たり230ドルで、10カ年平均値(トン当たり384ドル)の40%水準だ。

 中国の需要が減ったことが影響している。中国は世界の石油化学原料の半分程度を買い入れる。同じ期間の韓国国内の需要の変動は大きくなかった。ある石油化学業者の関係者は「アジア側で新学期の始業を控えたこの時期は、学用品の需要増加で石油化学原料の注文が増えるシーズンとみられてきたが、最近は市場の流れが変わった」と話した。中国政府の脱炭素政策強化により、石油化学を含む製造業の稼働率が低く維持されているということだ。そのうえ、2月には北京冬季五輪が予定されている。中国政府の大気汚染管理強化により製造業の稼働率がさらに下がる可能性がある。

 ユアンタ証券のファン・ギュウォン研究員は本紙との通話で「石油化学企業などのNCC事業の赤字が昨年11月から本格的になっている。各企業が最近の状況を一時的現象と見て北京冬季五輪以降には需要が復活するとみたならば、設備稼働率を引き下げないだろう」として「NCC事業が短期間に改善されるのは難しいと思われる」と話した。

クァク・チンサン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1028415.html韓国語原文入力:2022-01-23 17:59
訳J.S

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