韓国政府は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加盟を本格的に推進すると明らかにした。これまでも加盟の必要性を認め、そのための準備過程を踏んできたが、公式に加盟に向けた関連手続きを開始することを宣言したのだ。
ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は13日、対外経済長官会議を主宰し、上のように明らかにした。ホン副首相は「政府は協定加盟のための世論集約と社会的論議に着手する計画」とし「様々な利害関係者などとの社会的論議を土台として、関連手続きを開始する」と述べた。これまで政府は加盟を検討しつつ、水産補助金、デジタル通商、国営企業、衛生検疫などの国内制度を整備してきた。ホン副首相は「最近、中国と台湾の協定加入申請、世界最大のメガ自由貿易協定(FTA)であるRCEP発効(2022年初め)など、アジア太平洋地域内の経済秩序の変化が活発になっており、協定加盟に関する政府省庁間の論議だけにとどまることは、もはや難しい」とし「貿易・投資の拡大を通じた経済的・戦略的価値、韓国の開放型通商国家としての地位などを総合的に考慮し、協定への加盟を本格的に推進する」と述べた。続いて「メキシコ、湾岸協力会議(GCC、アラビア半島6カ国で構成)などの主要国とのFTA交渉の再開も綿密に準備する」と述べた。
現在、FTAに関する構図は、米国と中国を中心とした非常に複雑な関数となっている。CPTPPは日本、オーストラリア、カナダなど11カ国が加盟し、2018年12月に発効した。米国のバラク・オバマ政権時代に、「中国包囲」戦略の一環として米日が先導し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)として推進されたが、「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げるドナルド・トランプ前大統領の就任により米国が脱退し、日本が主導する現在の姿に変わった。これに対抗して中国は韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN10カ国などが参加する地域的な包括的経済連携協定(RCEP)を推進しており、来年1月に発効する予定だ。
今年10月に中国がCPTPPにも加入すると宣言したことで、構図はさらに複雑になった。これに対し米国は、中国に主導権を奪われないようにするために、インド太平洋経済フレームワーク(IPEF= Indo-Pacific Economic Framework)を来年発足させると11月に発表して反撃した。最重要議題はサプライチェーン、デジタル経済、気候変動だ。このような状況で、韓国のCPTPPへの参加は不可避となっている。
韓国開発研究院(KDI)のソン・ヨングァン先任研究委員は「CPTPPへの加盟は、グローバル・サプライチェーンなどの経済的問題はもちろん、外交安保的側面からも不可避な側面がある。東南アジアで生産する韓国企業の製品は、日本製の部品を使えば関税で優遇措置を受けられるが、韓国製を使えば排除される可能性があるため、加盟する必要がある」と述べた。続いて「外交・安保面で米国と緊密な関係を保つ必要もある。韓国としては米国と中国のうち、どちらか一つを選ぶ問題ではないうえ、他の協定も進められているので、様々な可能性を残しておかなければならない」と述べた。
しかし、商品貿易の開放水準の高いCPTPPに韓国が加盟すれば、農業分野への打撃は不可避となる。開放水準が他の自由貿易協定に比べて高いからだ。このため全国農民会総連盟は「農産物の自由な貿易は農業資本にのみ利益をもたらし、あらゆる国の農業と農民を崩壊させた」とし「農業と農民の被害は矮小化して対策さえ講じていない、現在進行中のCPTPP加盟に向けた行為を中止せよ」と要求している。