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米、エヌビディア・ARMの買収合併による「独占半導体企業」誕生にブレーキ

登録:2021-12-04 07:05 修正:2021-12-04 09:38
/聯合ニュース

 米国の独占禁止当局が、エヌビディアによるARMの買収に歯止めをかけた。半導体分野の過去最大規模の買収合併(M&A)に「黄信号」が点ったことになる。これは、これまで米国が留保的な立場を示してきた垂直結合を問題視したものであり、よりいっそう注目される。

 米国連邦取引委員会(FTC)は2日(現地時間)、エヌビディア(Nvidia)によるARMの買収を防ぐために訴訟を起こしたと明らかにした。今回の企業合併に対する審査を終えたのは、全世界の独占禁止当局のなかでは米国が初めて。米国のグラフィック処理装置(GPU)製造企業のエヌビディアは昨年10月、英国の半導体設計企業のARMを400億ドルで買収する契約を締結した。

 FTCは、今回の企業合併を防がなければエヌビディアの競合企業が弱体化することになるとみなした。ARMは、中央処理装置(CPU)の機能を一つのチップに圧縮した「マイクロプロセッサ」を設計しており、これまで、エヌビディアを含むすべての半導体製造企業とまったく同じ条件でライセンス契約を締結してきた。中立国という意味で半導体業界の「スイス」と呼ばれるほどだったというのが、FTCの説明だ。

 問題は、エヌビディアがARMを買収すると、競合企業に設計ライセンスを渡さないインセンティブが生じるという点だ。ライセンス締結の過程で、競合企業のセンシティブな情報がエヌビディアに流れる可能性もある。FTCは、特に自動車の先進運転支援システム(ADAS)やデータセンターで用いられるデータ処理装置(DPU)、クラウドコンピュータに使われるCPUなど三つの市場で問題が大きいとみている。米国のクアルコムやテスラなども、このような理由を挙げ企業合併に反対するという意見を当局に提出している。

 今回の訴訟は、垂直結合を問題視したという点でも意味がある。垂直結合とは、部品企業と完成品企業のように生産工程の上で関係のある企業間の結合を示す。効率性が増す肯定的な効果がある一方で、該当の部品企業とは異なる完成品企業との間の取引が妨げられるなどの封鎖効果が生じる可能性もある。これまで米国の独占禁止当局は、垂直結合の場合、効率性の修正効果のほうが大きいため制裁しないという立場を取ってきた。

 変化が感知されたのは、比較的最近だ。FTCは9月にこれまでの立場を含めた「垂直型企業結合審査指針」に対する承認を撤回した。エヌビディアに対するブレーキも、一種の警告だと解釈されている雰囲気だ。委員会は、「今回の訴訟は、我々は違法な垂直結合から重要なインフラ市場を保護するためには攻撃的な措置を取るという強いシグナル」だと述べた。

 FTCは、今回の決定を下す前に、欧州連合(EU)、英国、日本、韓国の独占禁止当局と緊密に協議したことも明らかにした。英国競争市場局(CMA)とは毎週テレビ会議を行ったことが分かった。韓国の公正取引委員会を含む他の独占禁止当局では、まだ審査が進行中だ。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1021885.html韓国語原文入力:2021-12-03 11:54
訳M.S

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