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BTSジミンの「ブルダック炒め麺」、パラサイト「チャパグリ」…世界で人気

登録:2021-11-30 03:16 修正:2022-04-12 08:09
世界の食文化に浸透した「Kフード」 
辛ラーメンなど国外での売上が韓国を追い越す 
「ブルダック炒め麺チャレンジ」流行 
「ビビゴ」が米プロバスケのユニフォームのロゴに
米プロバスケットボールの人気球団ロサンゼルス・レイカーズのユニホームに「ビビゴ」のロゴが=レイカーズのフェイスブックより//ハンギョレ新聞社

 ユーチューブでブルダック炒め麺を食べる様子を映した動画が流行のように広がり、米プロバスケットボールのスターたちが韓国の食品ブランド「ビビゴ」のロゴ入りのユニホームを着てコートを駆け回る。

 Kフードは恐ろしい速度で領土を拡大している。アジアを越えて欧州や米州など、世界各地で韓国のラーメンや菓子、冷凍食品などが記念日のプレゼントやパーティー料理として注目されている。国外での売上が国内でのそれを上回った商品も多数あるほどで、もはやKフードは韓国人だけの食べ物ではない。

 Kフードの国外での売上は毎年記録を塗り替えている。韓国貿易協会の国際貿易通商研究院が先月末に発表した報告書「韓国のF&B消費財輸出動向」によると、今年の韓国の食品輸出額は、8月までの対前年同期比で16.3%増の53億2449万ドル(約6兆3388億ウォン)だった。昨年70億ドルを突破した食品輸出額は、今年も最高値を更新する見通しだ。

■「最も韓国的な味」辛いラーメンやキムチが善戦

 最も頭角を現している分野は、韓国人の「ソウルフード」といえるインスタントラーメンだ。農心(ノンシム)が公開した資料によると、今年第3四半期までの辛ラーメンの国内外での売上は6900億ウォン(約656億円)で、うち国外での売上は3700億ウォン(約352億円)だった。発売から35年で、国外での売上が国内のそれを初めて上回った。この勢いが続けば、農心は辛ラーメンだけでも、今年は国外での5000億ウォン(約475億円)を含め、9300億ウォン(約884億円)を売り上げるものとみられる。単一の商品での年間売上1兆ウォン(約951億円)の達成も遠くない。

 三養食品のブルダック炒め麺の勢いも強い。三養食品の売上状況を見ると、今年のブルダック炒め麺の国外での売上は第3四半期までで2300億ウォン(約219億円)と、国内での売上720億ウォン(約68億円)の3倍を超えている。主な輸出先は多い順に中国、東南アジア、米国。ユーチューブで世界の若者たちの間で流行した「ブルダック炒め麺チャレンジ」が生んだ結果だ。昨年の三養食品の売上は6485億ウォン(約616億円)で、ブルダック炒め麺の成功に支えられ、毎年1000億ウォン(約95億1000万円)台の成長を続けている。

 韓国の代表的な食品であるキムチの躍進も目立つ。包装キムチ時代を切り開いた大象(テサン)の「宗家キムチ」の輸出額は、2016年の2900万ドルから昨年は5900万ドル(約702億4000万ウォン)へと、100%ほど伸びた。韓国のキムチ輸出総額の40%に達する数値だ。世界の新型コロナウイルスの拡散に伴って、発酵食品であるキムチの免疫力強化効果に関心が注がれたことが、売上増加につながった。

 その他にも、ロシアとその周辺諸国ではオリオンのチョコパイが国民的菓子という称号を受けており、八道(パルト)トシラク(カップラーメン)はロシアの一部地域で品薄となり、社会的問題になるという現象も発生した。

 Kフードの国外での成功例は、韓国の味そのままで成果を収めたということに、より深い意味がある。辛ラーメンは韓国で生産される味そのままで海外に進出し、ブルダック炒め麺も辛い味を基本にカルボナーラやチーズの味を混ぜた新製品を発売して外国人の味覚を魅了した。大象の関係者は「米州と欧州、アジア40カ国あまりで白菜キムチ、ヨルムキムチ(間引き大根のキムチ)、チョンガクキムチ(ミニ大根のキムチ)のような最も伝統的な韓国の味を楽しんでいる」と語った。

ロシアのスーパーで、現地の人がオリオンのチョコパイを選んでいる=オリオン提供//ハンギョレ新聞社

■韓流に乗って全世界でKフードがブーム

 Kフードの輸出は、1970年初めに海外同胞市場を狙って始まった。農心は、辛ラーメン発売翌年の1987年に輸出を試みている。その後、1996年には中国の上海などに生産工場を建設し、10年後の2005年にはアジアを越えて米ロサンゼルスに生産基地を建設した。ロシアを制覇したオリオンのチョコパイの輸出は、1990年代序盤に釜山(プサン)を中心に活動するロシア商人たちの間で購入ブームが巻き起こったところから始まった。1996年にモスクワ事務所が開設されて本格的な輸出が開始。現在は韓国国内よりもはるかに多い11種のチョコパイを販売しており、1年に約900億ウォン(約85億5000万円)を売り上げるほどに軌道に乗っている。八道トシラクの成功も、1990年代に釜山港に停泊するロシア船の船員たちが、かばんに入れるのにちょうど良い四角い容器のラーメンを現地に伝えたことで、本格的な輸出が始まった。

 2000年代の韓流の始まりは、もう一つの契機となった。東アジアを中心とした韓国ドラマのブームは、主人公が食べた物に対する関心へとつながり、映像の中の韓国の食文化が憧れの対象になるきっかけとなった。2010年以降のKポップブームは、世界のいたるところでKフード人気へとつながった。BTSメンバーのジミンがオンライン映像の中で好んで食べているトッポッキとブルダック炒め麺は、南米や欧州のファンの間でも話題になるほどだ。映画『パラサイト』に登場したチャパグリ(チャパゲティー+ノグリラーメン)のおかげで、農心はラーメン輸出額の最高記録を打ち立てた。

 アジアの辺境だった韓国の食べ物は、いまや世界の主要国で主流食品の仲間入りを果たしつつある。CJ第一製糖のビビゴマンドゥ(餃子)は、米国だけで昨年の売上が4200億ウォン(約399億円)を突破し、餃子市場1位の座を守っている。米プロバスケットボール(NBA)最高のスター、レブロン・ジェームズらロサンゼルス・レイカーズの選手が「ビビゴ」のロゴ入りユニホームを着てプレーするほど大衆的な知名度が高い。ニューヨーク・タイムズで昨年「世界最高のラーメン」に選ばれた辛ラーメンは、4500あまりのウォルマートの全店舗で扱われることで米国の隅々にまで進出。ブルダック炒め麺も米アマゾンのインスタントラーメンのランキングでトップ10入りを果たした。農心の関係者は「少子化と食習慣の変化で内需市場の危機は高まったが、国外は新たな機会の地。Kフードはおいしくて健康的だという認識があるだけに、韓国のラーメンやキムチをピザやピクルスのように世界の人々が楽しめる日が少しずつ近づいて来ている」と述べた。

オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/consumer/1021273.html韓国語原文入力:2021-11-29 17:51
訳D.K

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