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尿素水、今月末には底をつくのに…打つ手のない韓国政府

登録:2021-11-08 06:12 修正:2021-11-10 09:46
中国政府の発表で10月中旬に予告されていたのに 
今月初めになって対応開始 
1週間以内に早期確保できなければ 
物流・公共交通機関の大混乱の恐れも
「尿素水品薄」事態で路線バスの運行に支障を来たす恐れが高まっている。写真は7日、ソウル市内のあるバス車庫にある尿素水保管倉庫の様子/聯合ニュース

 尿素水による物流混乱への懸念が高まるなか、韓国政府は7日に対外経済安保戦略会議を開き、尿素水品薄事態への対応策を協議したが、これといった対策は打ち出せなかった。政府は会議後、外交力の総動員▽財政・税制支援▽通関・検査期間の短縮など、これまでの対策をより具体化して公開した。しかし、尿素の供給が正常化されなければ、目前の峠は越えたとしても尿素水不足をめぐる大混乱の火種は依然として残ると指摘されている。

■「尿素水の早期確保」できなければ、物流・交通で大混乱の恐れも

 政府は同日午後、対外経済安保戦略会議を開き「日本の輸出規制当時、材料、部品、装備の危機の克服に成功した経験をもとに、材料、部品、装備への対応と同じく経済と外交の総合対応システムを構築し、総力を挙げて対応する」と明らかにした。政府は中国とすでに契約済みの尿素数万トンに対し、輸出通関を迅速に進めるよう協議すると共に、他の国からも尿素・尿素水を確保することに乗り出すことにした。政府は「今週、オーストラリアから尿素水2万リットルを輸入することにした」とし、「迅速な輸送のため、軍輸送機を活用する計画」だと発表した。尿素水2万リットルは大型トラック2千台が1~3日運行する際に必要な量だ。

 政府は輸入先の変更による超過費用と物流費の補てん支援、割り当て関税の施行など、財政・税制支援も行うことにした。緊急通関支援チームを運営し通関期間を短縮し、通常は20日間かかっていた車両用尿素水の検査期間も3~5日に減らすことにした。政府は「消防・救急車など必須車両用の尿素水は3カ月分が備蓄されているため、運行に支障はない見通し」だとし、軍部隊など国内公共部門が確保した尿素水予備分の一部を緊急需要先に割り当てる方針も示した。さらに、8日午前0時から尿素・尿素水で暴利を得るための買い占めや売り惜しみを禁止する告示を施行した。買い占め及び売り惜しみが明らかになった場合、物価安定に関する法律第26条により、3年以下の懲役または1億ウォン(約960万円)以下の罰金に処される。

 共に民主党のイ・ジェミョン大統領選候補も、この日国会で開かれた尿素水関連緊急点検会議で、「供給構造が根本的に歪んでいることから生じる問題」だとし、「特使団派遣問題を動員してでも最大値の対策を講じるべきだと思う」と述べた。

 尿素水をめぐる事態の行方は、今後1週間以内に判明するものとみられる。現在、ロッテ精密化学をはじめ、国内の製油会社が確保している尿素の在庫は11月末までとなっている。1週間以内に政府が尿素水の早期確保の道を開かなければ、直ちに今月末から市中で尿素水の供給が途絶え、ディーゼル貨物車の運行が中断され、年末に物流をめぐる「大混乱」が起こる可能性がある。さらに、原材料・副材料の供給や生活必需品の供給まで支障が生じ、事態が広がる危険性も少なくない。また、公共交通機関が止まる恐れもある。国土交通部などによると、全国の路線バス5万台のうち尿素水が必要なディーゼルバスは約2万台だ。バス会社別に約1カ月分の尿素水の在庫は確保されているというが、1カ月後は交通分野でも大混乱が起きかねない。

 一部では排出ガス低減装置(SCR)義務装着規制を一時解除する案も取り上げられているが、政府の優先順位には上がっていないようだ。企画財政部の関係者は「環境規制を緩和することはまた他の重要な価値と相反する問題なので、うかつに決めることではない。事態がどのように進むのかを見守りながら判断すべき問題だ」と明らかにした。

■政府の後手後手の対応…実効性にも疑問

 事態が悪化し、政府の遅れた対応に対する批判は避けられなくなった。中国関税当局の尿素輸出制限措置が施行されたのは先月15日だ。その4日前の11日にこのニュースが発表されたが、発表日を基準にすると、3週間前から「尿素水の品薄現象」が予告されたわけだ。しかし、韓国政府が国務調整室を中心に状況の把握に乗り出したのは今月2日だ。特に尿素は中国からの輸入依存度が絶対的で、国内生産ができない品目という点を考慮すると、エネルギー価格変動による供給網の衝撃と、それに伴う経済・産業への打撃に対する政府の対応シナリオそのものがないのではないかという疑念も抱かせる。

 政府の対策の実効性についても疑問の声があがっている。政府は産業用尿素水を車用に転用する対策が最も現実性があるとみているが、業界では否定的な意見が多い。ディーゼル車に取り付けられた排出ガス低減装置は不純物に敏感だが、産業用尿素水は車両用と違って不純物が入っているためだ。環境部はこの問題について技術的な検討に着手し、早ければ15日にも結論を出す予定だが、産業用尿素水は車両にそのまま転用できない可能性が高く、たとえそれができるとしても、煤煙の削減効果が低下するのは避けられない。産業用尿素水そのものの在庫が十分でないことも問題だ。

 産業用尿素水の転用で今回の危機をしのいでも、これは一時的な対応に過ぎない。尿素水品薄事態の長期化を防ぐためには、1カ月分程度とされる在庫が底をつくまでに尿素供給先の確保が欠かせない。政府は、ロシアやインドネシアなど、中国に代わる他の輸入先を開拓する方針だが、これから新規導入交渉を始め、実際需給が実現するまでは、かなりの時間を要するものとみられる。さらに、他の尿素輸出国も物量が足りない上、いきなりグローバルな供給先を変えるのは難しいという立場を示しているという。

 匿名を求めた国策研究所の研究委員は「現政権初期、日本の輸出規制をきっかけに供給網の危険が大きく浮上した前例がある点を考えると、現在の尿素水品薄に対する政府の対応は残念な点が多い」と述べた。

イ・ジヘ、キム・ギョンラク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1018295.html韓国語原文入力:2021-11-08 02:35
訳H.J

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