今年、韓国の年間基準の輸出額が6000億ドルを突破し、過去最高を記録するという見通しが示された。新型コロナの感染拡大以前の水準を越える規模だ。非メモリー半導体やバイオヘルスなど新産業部門が予想を上回る輸出増加傾向を見せたことによるものだ。
産業通商資源部が8日、産業研究院や韓国貿易協会などと共に開いた「輸出点検会議」で、現代経済研究院は、今年の輸出額が昨年より18.1%増の6053億ドルに達すると見通した。同研究院が昨年10月に示した今年の輸出予測値5643億ドルに比べ、見通しを400億ドル近く上方修正した。これは新型コロナ感染拡大以前の2019年はもちろん、史上最高の2018年の年間輸出額記録(6049億ドル)をも今年更新するという意味だ。
こうした楽観的シナリオが示された根拠は、まず予想を超えた今年第1四半期(1~3月)の輸出実績から見出せる。第1四半期の輸出額は1467億ドルで、前年同期に比べて12.7%増えた。1日平均輸出額基準では、前年同期より16.1%増加した。いずれも2018年の第1四半期の輸出実績を上回る記録だ。当時の輸出額はそれぞれ1451億ドル、1日平均輸出額は21億6千万ドルだった。
月別の輸出実績の流れは、さらに記録更新への期待を高めている。第1四半期でも月ごとに明らかな輸出増加傾向が確認されるからだ。今年1~3月までの月別輸出総額と日平均輸出額は該当月でいずれも史上1~2位を記録した。
ソン・ユンモ産業通商資源部長官は同日の会議で「輸出が善戦している。この流れが続けば、今年確実な輸出回復と輸出入貿易1兆ドルの達成が期待できる」と述べた。
早い回復の原因として、主力輸出品目の特徴に注目した分析もある。貿易協会は韓国の輸出回復傾向が他の国と比べて強いという点を挙げ、「国別の輸出回復スピードの差は各国の輸出品目ポートフォリオ構成が決定的」だと強調した。非メモリー半導体やエコカー、電気自動車バッテリー、バイオヘルス、OLED(有機発光ダイオード)の韓国の5大新産業輸出品目が、輸出6000億ドルに向けた先導役を果たしているという意味だ。一例として、非メモリー半導体は昨年、輸出額(303億ドル)が前年に比べて17.8%増となり、毎年輸出上位5位圏に入っていた鉄鋼(266億ドル)を上回った。 医薬品と医療機器が中心のバイオヘルス分野の品目も、昨年初めて韓国の10大輸出品目に進入して以来、今年に入ってからも好調を維持している。
ただし、同日の会議では、今年の輸出市場に突如現れかねない危険要因についても議論された。今年に入って浮き彫りになった半導体の品薄現象による部品需給への支障をはじめ、米中貿易対立の深刻化やコロナ禍からの回復過程で形成されたグローバル資産市場のバブル崩壊の可能性も取りざたされている。この他にも、景気浮揚の過程で市場に供給された流動性のため、ドル安が進んだり、輸出の急増による国内外国為替市場へのドル供給量の増加でウォン高現象が現れることも考えられる。ウォン高ドル安は輸出製品の価格競争力に否定的な影響を及ぼす。
同会議に出席したチュ・ウォン現代経済研究院理事は、ハンギョレの電話インタビューで「全般的に輸出市場の雰囲気は肯定的だが、ウォンの切り上げなど輸出へのリスク要因もあり、第2四半期以降の不確実性もある」と指摘した。