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[記者手帳]不動産監督機関、なぜ韓国にだけ?…背景には類例なき「投機熱」

登録:2020-09-04 03:00 修正:2020-09-04 07:53
韓国、他国と違う独特な不動産市場 
外国と違い非居住住宅の資産比率が高い 
取引の回転率も日本の10倍
ソウル江南のマンション群/聯合ニュース

 政府が推進中の不動産取引分析院について、一部からは「海外では類例のない不動産市場への過度な介入」という指摘が出ている しかし、韓国の不動産市場そのものが世界的にも例のない「別種」であるからこそ、不動産取引分析院という特殊組織が設置されたといえる。

 家計資産に金融資産が占める比率が高い外国とは異なり、韓国は不動産資産の比率が70~80%に達するということは広く知られている事実だ。ところが、あまり知られていない事実がもう一つある。今年3月の『不動産学研究』に掲載された論文「住宅の購入と賃借に対する選択が家計資産ポートフォリオの成果に及ぼす影響に関する研究」に示された統計「国別家計資産構成」によると、居住住宅の資産比率は韓国が39.3%で、米国(40.6%)、英国(34.6%)、オーストラリア(42.5%)などの英米圏諸国と似た水準であり、東アジアの日本(58.8%)、中国(73.9%)よりはむしろ低かった。

 いっぽう韓国は、実際には居住していない非居住住宅の不動産資産の比率が30.5%で、米国(3.2%)、英国(2.8%)の10倍の水準であり、オーストラリア(7.9%)、日本(11.4%)、中国(7.7%)よりも圧倒的に高い。同論文は「居住住宅資産は、国内外の研究において家計ポートフォリオの住宅資産の最適値として提示されている50%よりも低い数値」とし「韓国の家計は、不動産を自家用の消費財としてだけでなく、投資財として認識する度合いが非常に高いということを示す統計」と分析した。

「住宅の購入と賃借に対する選択が家計資産ポートフォリオの成果に及ぼす影響に関する研究」、『不動産学研究』、2020年3月//ハンギョレ新聞社

 韓国における住宅は家ではなく投資商品だ、ということを示すもう一つの統計が、住宅売買取引回転率だ。住宅の在庫量に対する住宅取引量として算出される回転率は、単なる取引量だけではわからない取引の性格を把握できる。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも韓国の取引税比率は高いとするマスコミ報道に対して政府が示した資料によると、韓国の住宅売買取引回転率は5.5%で、米国(4.5%)、英国(3.6%)より高く、日本(0.6%)に比べると10倍の水準だ。韓国鑑定院の資料によると、2018年のソウルの回転率は6.1%だった。韓国鑑定院市場分析研究部の関係者は「韓国には伝貰(チョンセ。賃貸契約時に家主に一定金額の保証金を預け、月々の家賃は発生しない不動産賃貸方式)制度、不動産転売制度、集団融資制度などの、住宅から資本利得を生み出す、他国にはない制度がある」と述べた。

 鑑定評価なしに売買するのにちょうど良い標準化された住宅であるマンションが全住宅の60%以上を占め、まるで商品を紹介するかのようにメディアが特定マンションの名を挙げて相場を中継しているのも韓国だけだ。このような独特な不動産市場環境のため、不動産不法行為を監督する機関が作られたのである。

チン・ミョンソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/property/960696.html韓国語原文入力:2020-09-03 21:13
訳D.K

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