本文に移動
全体  > 経済

ICT・メディア・AI…「脱通信」領域を広げる通信会社

登録:2020-07-09 06:11 修正:2020-07-09 11:35
SKテレコム、非通信売上の売上に増加し続け35.7%に 
メディア・セキュリティ・商取引の3軸を越え 
人工知能・医療で新たな成長を探索 
 
KT、6年間に2倍増え、20.5%…IPTV、データセンター・AIワンチームに集中 
「シェア競争」を越え、「社会問題解決型」企業への変身を試みる
SKテレコムとKTの過去5年間の非通信部門の売上推移//ハンギョレ新聞社

 通信会社が「脱通信」の歩みを加速している。有線・無線ネットワークを基盤に通信インフラサービスを通じての安定的な収益に依存してきた企業が、「総合情報通信技術(ICT)企業」に成果を出しながら変身中だ。これにより、スマートフォン以後も続いてきた加入者を他社から奪い取ることが中心の業界の競争地図も変わってきている。新型コロナウイルス感染症(COVDI-19)により非対面経済が注目される状況において、通信会社の「脱通信」の試みは「社会問題解決」へと変わりつつある。

 8日、ハンギョレが通信3社の過去5年間(2015~2019年)の売上推移を分析した結果、企業の非通信部門の売上が着実に増え、その比率も大きくなっていることが分かった。SKテレコム(SKT)の非通信部門の売上は2015年に4兆5800億ウォン(約4100億円)で、総売上(17兆1370億ウォン、約1兆5400億円)の26.7%だったが、過去5年間で毎年増え、2019年には6兆3275億ウォン(約5400億円)と総売上(17兆7437億ウォン、約1兆6000億円)の35.7%となった。通信部門の売上は大幅に減少したが、非通信の売上が埋め、総売上高は17兆ウォン台を維持した。KTの非通信売上は2014年に1兆4823億ウォン(約1300億円)で、総売上の10.2%だったが、5年後の2019年には2兆9581億ウォン(約2700億円)、売上比率は20.5%となった。5年間の総額と比率がどちらも2倍増えたわけだ。同期間の年間総売上は14兆ウォン台で、変化が小さかった。ただし、LGユープラスの非通信売上(企業部門)は、2014年の1兆8240億ウォン(約1600億円)から2019年の1兆9820億ウォン(約1800億円)で、大きな違いはなかった。

 SKテレコムとKTのどちらも非通信の売上と比率が大幅に増加したが、内容は全く異なる。KTの非通信売上は有線・無線ネットワークを基盤とするサービスであるメディア(スカイライフなどの有料放送)と企業部門(データセンター、クラウド)により構成されている。KT関係者は「IPTVなどのメディアサービスは、月利用料だけでなく、広告、動画配信サービス(VOD)、ホームショッピングなどの付加価値が高く、売上が増加し続けており、この部門で首位の事業者として規模の効果が現れ、成長傾向を示した」と語った。一方、SKテレコムは非通信売上を「新事業」と規定し、企業の未来の成長動力としている。同社の新事業は、メディア(SKブロードバンド、ウェーブ)、セキュリティー(ADTキャップス、SKインフォセク)、商取引(11番街、SKストア)の3部門により構成されており、人工知能と医療領域にも拡大している。SKテレコムの脱通信戦略は、通信売上の減少に対する対応というより、新規事業部門を戦略的に育成した後、上場させて企業の未来価値を育てる方向を志向している。

 SKテレコムとKTは、企業トップが人工知能と脱通信で話題を提示し、通信企業の変身の先頭に立っている点でも目を引く。SKテレコムのパク・チョンホ社長は2017年の就任以後、絶えず「移動通信会社」から情報通信技術(ICT)コングロマリットへと変貌しなければならないと強調してきた。パク社長は先月初め、全職員のオンラインセミナーでも「移動通信競争力を、加入者当たりの売上(ARPU)や加入者数で計算し、シェアを固持する占領戦と考える見方から脱皮しなければならない」とし、「今は損失となっても、すべての新事業を人工知能化、クラウド化する変化を試みてこそ、新しい機会が生じる」と強調した。KT社長のク・ヒョンモ社長は、今年の始めから現代重工業やLG電子などとともに産学研コンソーシアム「人工知能ワンチーム」を発足させた。今月の初めには、全世界の通信業界リーダーを対象としたオンライン会議(GTIサミット)の演説で「これまでのモバイル通信は消費者間取引(B2C)が中心だったが、5Gの中心は企業間取引(B2B)に転換するだろう」とし、「5G通信は単純なネットワークではなく、人工知能・ビッグデータ・クラウドと結合し、爆発的な潜在力を持つプラットフォームだ。KTが5Gで他の産業の革新を引き出す」と語った。

 両企業はCOVID-19の状況において、脱通信企業を越え、情報通信技術を活用した「社会問題解決型」企業へと変身を試みていることも似ている。SKテレコムは先月、情報通信技術を通じた社会問題の解決策を提示する国民公募展(SKT幸福インサイト)を開き、認知症の高齢者などの脆弱層のケア事例を伝えている。KTは6日、政府の戦略プロジェクトである「韓国版デジタル・ニューディール事業」の実行を積極的に支援するための組織「韓国版ニューディール協力戦略チーム」を新設し、情報通信技術を活用した事業協力方策作りに乗り出すと明らかにした。

ク・ボングォン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/952862.html韓国語原文入力:2020-07-09 02:34
訳M.S

関連記事