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住まいとケアを一カ所で…「高齢者のためのマンション」増やす

登録:2020-04-02 02:07 修正:2020-04-02 12:42

「高齢者福祉住宅」2025年までに1万戸 
滑り止めなどの設計、低層階には福祉館 
低所得の高齢者が入居…家賃は相場の30% 

「高齢者向けリフォーム」高齢者住宅7万戸 
国民賃貸、幸福住宅団地の5~8% 
高齢者供給分はバリアフリー設計 

従来の公共住宅の高齢者ケアも強化 
住居福祉士配置、家の修理支援 
「温もりのある老後を送れるよう 
高齢者向け支援をさらに拡大」

キム・ヒョンミ国土交通部長官が1日、全羅南道長城の高齢者福祉住宅団地を訪問し、住宅内部に設置された手すりに触っている=国土部提供//ハンギョレ新聞社

 2018年12月に入居が完了した全羅南道長城(チャンソン)の「高齢者福祉住宅」の内部には敷居がない。入居した高齢者の車椅子での移動を助けるためだ。手すりも設置されており、洗面台も高さの調節が可能だ。団地内にある社会福祉館では書道やスポーツダンスなどの文化講座で高齢者を迎え、昼食も提供する。専用面積26.36平米の月々の家賃は4万~10万ウォン(約3490~8730円)で、相場の30%ほど。政府は「お年寄りのためのマンション」高齢者福祉住宅の供給を今後増やしていく計画だ。

■「お年寄りのためのマンション」高齢者福祉住宅

 高齢者福祉住宅は設計段階から低層部を社会福祉施設で支え、その上に賃貸住宅を建てる、高齢者にやさしい公共賃貸マンションだ。マンション内は高齢の入居者の安全に細心の注意を払った「特化設計」が特徴。挙動中の事故を防止するため、床は滑り止め施工され、安全誘導灯も設置される。緊急事態に対処するための「非常コール」も備えている。団地内の福祉館は健康管理と文化活動支援を行う。

 住居とケアが結びついた高齢者福祉住宅は、中央政府と自治体による協業の形で運営される。政府と韓国土地住宅公社(LH)は宅地と住宅を提供し、福祉館の運営は地方自治体が担当する。全戸数の半分以上(または100戸以上)が永久賃貸形式で高齢者に提供されるとともに、自治体が希望すれば同じ団地内で国民賃貸、幸福住宅も供給され、多様な世帯が入り混じって暮らすことも可能だ。地方では高齢者の入居だけで団地を構成することもあるが、都市では「ソーシャルミックス」団地が多い。2016年6月、城南違礼(ソンナム・ウィレ、164戸)を皮切りとして、昨年末までに全国8カ所1116戸の入居が完了した。国家有功者、障害者、生計給与(日本の生活保護にあたる)受給者など、既存の永久賃貸要件を満たす人の他に、65歳以上かつ都市勤労者の月平均所得の50%以下の低所得高齢者なら入居資格がある。

 政府は高齢者福祉住宅を毎年1千~2千戸ずつ徐々に増やしていき、2025年までに1万戸を供給する計画だ。今年は、全羅南道光陽七星(クァンヤン・チルソン、150戸)、慶尚北道盈徳寧海(ヨンドク・ヨンへ、124戸)、忠清南道保寧鳴川(ポリョン・ミョンチョン、120戸)など、全国6カ所の682戸で入居者を募集する。国土部は「盈徳寧海団地は風通しを考慮して快適に設計されており、理学療法室、共同洗濯室などの多様な便宜施設も整っているため、お年寄りに非常に好まれると予想される」と述べた。

韓国政府の高齢者住居福祉政策//ハンギョレ新聞社

■「高齢者向けリフォーム」高齢者住宅も供給

 政府は高齢者福祉住宅の他にも、多様な住居形態による高齢者福祉政策を推進している。まず、新規建設型公共賃貸と買入賃貸に「高齢者福祉」の概念を反映させる方針だ。今後、新たに建設する国民賃貸、幸福住宅団地の一部(首都圏は全団地の8%、地方は5%)に「バリアフリー特化」設計を適用し、高齢者への供給分を確保するという。既存の老朽住宅を買い入れて賃貸住宅として供給する「買入賃貸」も、特化設計による高齢者向けのリフォームが行われる。高齢者福祉型買入賃貸住宅は今年、ソウルや仁川などで700戸が供給される。政府は2025年までに新規建設型公共賃貸と買入賃貸による高齢者住宅の7万戸供給を目標としている。高齢者福祉住宅1万戸も加えれば、計8万戸を供給する計画となる。

 このほか、既存の公共住宅に住んでいる高齢者のためのケア事業も強化される。政府は今年、ソウルの中渓(チュンゲ)3、加陽(カヤン)、仁川の三山(サムサン)1などの永久賃貸団地と、ソウル・京畿・仁川の買入賃貸など20団地に住居福祉士を配置する計画だ。低所得層の高齢者が、現在住んでいる住宅で快適に生活を続けられるようにする住宅修理支援事業も続けられる。中位所得45%以下の高齢者は壁紙や床マット、流し台、冷暖房機など老朽施設の修繕費用として、住宅の老朽度によって最大1241万ウォン(約108万円)まで支援が受けられる。政府は今年1万4千世帯を対象に住宅修理支援事業を進める計画だ。

 1日に全羅南道長城の高齢者福祉住宅を訪問したキム・ヒョンミ国土交通部長官は、新型コロナの防疫の現状などを点検するとともに、老年層の住居福祉政策の強化を約束した。キム長官は「より多くの方が温もりのある老後を送れるよう、高齢者福祉住宅の拡充を続ける。期待寿命の延びによる人口構造の変化に対応して、住居とケアを同時に提供する高齢者向け支援をさらに拡大する計画」と語った。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/property/935249.html韓国語原文入力:2020-04-01 18:36
訳D.K

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