感染者数の増加速度が目立って減少し、完治者も現れたことで、「COVID-19(新型コロナウイルス)」事態による実体経済の衝撃への懸念も次第に弱まっている。デパートなど大型売場を訪れる消費者も増えるなど、冷え込んだ消費心理も回復している。中国産部品調達の中断で国内生産工場が止まるなど支障が生じていた生産現場も、すでに操業を再開したか、その準備に入った。しかし、「COVID-19」事態以前の水準を回復するまでは、さらに時間がかかる見通しだ。
16日、COVID-19事態で大きな打撃を受けたデパートなど大型流通売場は、衝撃から少しずつ抜け出している。韓国の代表的なデパートのロッテ百貨店明洞(ミョンドン)店の売上は、COVID-19問題が拡大の一途をたどっていた今月3~6日、前年と同じ曜日に比べ32%も減少した。7~9日の三日連続休業は防疫が主な目的だったが、「顧客足が遠のく」状況も考慮した処置だった。休業明けの初めの三日間(10~12日)の売り上げも、前年同期に比べて25%も減少した。しかし、先週後半から変化の兆しが見え始めた。売上げの減少幅が著しく縮小したのだ。13~14日の売上は対前年同期比16%の減少にとどまった。ロッテショッピングのムン・ホイク責任マネージャーは、ハンギョレとの電話インタビューで、「売上の正常化までは時間がかかるだろうが、先週半ば以降、売り場を訪れるお客さんが再び増えている」とし、「COVID-19拡散地域に含まれていない釜山(プサン)店と蔚山(ウルサン)店などは例年水準の売上を回復した」と話した。
ロッテ百貨店はこのような変化を受け、当初“保留”しようとしたウェディング・プロモーション・イベント「ロッテ・ウェディング・ウィーク」を一週間の日程で14日から全店で始めた。人が集まる行事が相次いで取りやめになったCOVID-19拡散初期とはかなり異なる風景だ。ロッテ百貨店のほか、新世界百貨店や現代百貨店など、主要流通企業も当初検討していたプロモーション・イベントを来週から進める。現代百貨店では同日、狎鴎亭洞(アプクジョンドン)本店など、全国15店舗で「春のリビング大典」を29日まで開くと発表した。
依然として閑散としている大型飲食店とは異なり、小規模飲食店では変化が見られる。13日に訪れたソウル麻浦区(マポグ)のある飲み屋には夜10時が過ぎた遅い時間にもかかわらず、空席もなく、お客さんで賑わっていた。テーブル8個を置いてピンデトックや刺身、酒類などを販売するこの店の従業員は「十日前までは夜9時が過ぎると閑散としていたが、もう仕事帰りのサラリーマンたちが再び店に集まっている」と話した。麻浦区のある高級飲食店も14日には予想より客が多く、食材不足で予定より早めに門を閉めた。ソウル汝矣島(ヨイド)に位置した金融会社の役員は「一週間前までは握手すらはばかるほどCOVID-19感染の恐怖が大きかった。依然として飲み会は控える雰囲気だが、職場の同僚同士で集まり、仕事帰りに一杯飲む人が増えた」とし、「キャンセルした“ビジネス(業務関連)夕食”も予定を変えて進めている」と話した。
生産現場も正常化に向けて動き始めている。中国現地工場の稼動中止によって部品の需給に支障が生じ、休業に入った現代・起亜自動車は、予定通り17~18日から工場を再稼動する。現代自動車グループ部品系列会社の現代モービスと現代ウィアをはじめ、主な下請け会社のソヨンイファやソンウハイテック、セジョン工業なども17日から操業を再開する。現代自動車の関係者は「中国現地の協力会社も工場の防疫体系を完備し、生産設備を最終点検して、操業再開に備えている」とし、「休業がこれ以上長引くことはないと見られる」と話した。国内完成車工場を操業中止に追い込んだ、「ワイヤリングハーネス」を生産するキョンシンやユラコーポレーションなどの中国工場は、6日から再稼動に入った。LG化学の中国南京工場と広州偏光板工場、天津の自動車材料工場も春節関連延長休業後、10日から稼動を再開した。SKイノベーション長州工場も再び工場を稼動し始めた。
ただし、COVID-19事態以前の水準に消費と生産が回復するまでは、さらに時間がかかる見通しだ。一例として、13日、蔚山1工場と4工場2ライン、5工場2ラインから稼動を開始した現代・起亜自動自動車の全体での稼働率は14日現在、60%水準にとどまっている。現代・起亜自動車側は「今月末ごろになってようやく稼働率が以前の水準まで上昇する見込み」だと述べた。