配達プラットフォーム業者の配達労働者に対する不公正契約などが社会的問題として浮かび上がる中、19日、スタートアップ連合体であるコリア・スタートアップ・フォーラム(コスフォ)が「標準約款と標準契約書を導入して配達市場の競争秩序を正し、従事者の処遇改善と産業の透明化に向けて努力する」と明らかにし、注目を集めている。コスポには「配達の民族」や「ヨギヨ」などのような配達プラットフォーム業者が多数属している。これらのプラットフォーム業者は、配達業従事者らの労働権保護と市場秩序確立に向けて利害関係者間の社会的対話をしようという全国民主労働組合総連盟サービス産業労働組合連盟(民主労総サービス連盟)の11日の提案を受け入れ、この日、文書で立場を明らかにした。労使が自発的に手を取り合い、これまで「地下経済」として存在してきた飲食配達業市場の制度的システム作りに乗り出したもので、今後どのような変化があるのか注目される。
使用者側のコスフォと労働組合が手を取り合った背景には、「配達業市場を透明化すべきだ」という双方の思惑が一致したからだ。業界としては、各種制度が公式に運用されることなどにより市場が透明に形成されなければ産業の成長が不可能であるため、市場を透明化する必要がある。労働権を保護しようとする労組としても、さまざまな権利を主張し、法の保護を受けるためには、配達業そのものをまず水面上に引き上げる必要があると判断したのだ。
当事者らの説明を総合すると、現在配達業市場は「小社長(配達代行業者事業主)」らが10人ほどの配達員を雇って、プラットフォーム会社またはプログラム開発会社と契約を結ぶ形が主流。大半の配達業者は代行業者と書類上の契約を結ばず、口頭で労働条件に合意するなど、契約関係が不明確な構造にあった。このような状況で、配達代行業者の一方的な契約破棄問題もプラットフォーム会社にとっては悩みの種だ。配達代行業者は自分たちの要求を受け入れなければプラットフォーム業者を転々とし、プラットフォーム会社は代行業者を誘致しようと「裏金」を渡すなど、最近配達市場は違法行為が盛んに行われている。このためプラットフォーム会社は、拡大する需要に合わせて配達員を安定的に確保するためにも、市場の透明化が必要だと考えたのだ。
労組としても、労働法の死角にある配達員を法の枠内に組み入れることが急務だ。配達員を主に募集しているのは配達代行業者だが、デジタルプラットフォームを通じて実質的に配達員の業務を指示・監督するのはプラットフォーム会社またはプログラム開発会社などだからだ。その結果、プラットフォーム会社‐配達代行業者‐配達員間の三角関係のせいで、交通事故などの危険にさらされやすい配達労働者の安全問題や労災保険加入に誰が責任を持つのか曖昧なのが現実だ。
これに対し、民主労総サービス連盟のパク・ジョンファン政策局長は、「産別労組の基本協約の概念である標準約款によって、配達産業を公式なものとするということ」と説明した。コスフォ側も「摩擦と対立に偏っていた既存の労使関係を乗り越え、共存の立場からサービス連盟とコスフォが互いに一歩ずつ譲歩した」と説明した。
しかし、一部からは標準約款・標準契約書の導入では根本的な問題解決には限界があるという指摘も出ている。ライダーユニオンのパク・ジョンフン委員長は、「標準勤労契約書などを導入しても、現在の配達市場で影響力の最も強い配達代行業者を規制しない以上、代行業社の事業主は契約書を書かなくても済んでしまう」とし、「現在、個人事業者申告さえすれば誰でも作れる配達代行業者を登録制に切り替えるなどの法的措置がとられなければ、配達業標準約款は有名無実に終わるだろう」と述べた。