サムスン電子とLG電子の間のいわゆる「テレビ戦争」がますます熱くなっている。公正取引委員会が今回の事件について文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策の中心である「公正経済」の観点で扱う方針のため、その成り行きが注目される。
LGが20日、サムスンの「QLEDテレビ」広告は虚偽誇張であると公取委に申告すると、すぐにサムスンは22日に報道資料を出して正面から反撃した。サムスンはQLEDテレビの販売台数が世界1位であることを強調して、LGのOLEDテレビとの「市場格差がますます大きくなる」とLGを露骨に非難した。20日の声明文で「(LGの)根拠のない主張に対しては断固として対応する」と明らかにしたことから、一歩さらに進んだことになる。
「テレビ戦争」に臨む双方の対応戦略は対照的だ。LGはサムスンとの技術の差を強調する。サムスンのQLEDは、別の光源である発光ダイオード(LED)バックライトと光量を調節する液晶を使うため構造的にLCDと等しいが、自発光ディスプレイを意味するQLED技術が適用されたかのように誇張しているとの主張である。また、このような虚偽誇張広告による消費者の知る権利の侵害と被害の危険性を浮き彫りにしている。一方サムスンは、販売量・市場占有率の格差を強調して、LGが強調する技術的問題を「消耗的論争」と非難する戦略を並行している。一部のメディアは、中国が激しく追撃する状況で内部争いで傷つくことを懸念し、サムスンを援護射撃している。
事件処理の鍵を握る公取委は、公正経済の観点から今回の事件を扱う方針だ。公取委は、サムスンとLGが家電分野でグローバル1・2位の座についたのは、これまで互いに激しい競争を行ったためとして、「テレビ戦争」も技術競争の延長線と見ている。公取委幹部は「企業間の技術に対する監視と牽制が、中長期的には産業の技術進歩に役立つとの判断」とし、「互いに競争で勝つために、より負担の重い技術開発などの努力をする契機となる」と強調した。
公取委がサムスン電子のテレビ広告の表示広告法違反の是非を判断する主な基準は二つだ。一番目の基準は客観的な技術水準である。公取委関係者は、「QLEDテレビに対しては、学界と業界ですでに普遍化された基準や標準があるはずだから、サムスンテレビがこれを満たしているかが鍵となる」と述べた。ただし、公取委は基準と標準に100%符合していないとしても、以前の製品と区別される画期的な技術の進歩があれば、虚偽誇張広告としての処罰は難しいとの立場だ。サムスン電子は2015年からプレミアムテレビのラインナップを、既存のLCDテレビに量子ドットフィルムを追加して色再現率を高めた製品を「SUHD TV」として販売し、類似の構造の製品を2017年から「QLED TV」と表記したことが知られている。
二番目の基準は、消費者が製品を選択するときに広告のせいで間違った判断をする恐れがあるかを探る「消費者誤認性」だ。公取委は「テレビのような高価な製品の場合、消費者誤認性の有無はターゲットである消費者を中心に判断する」として「テレビの消費者は購買に先立ち、技術の差など製品の特性について、インターネットなどを通じて相当な水準で把握しているため、重要な技術が広告内容と違うのであれば、消費者の誤解を招く結果を生じる危険性がある」と話した。