大統領府は輸出規制に対抗し、発言のレベルを高めて日本政府を圧迫しているが、韓国の半導体業界は日本の顔色を窺わざるを得ない状況だ。高純度フッ化水素など3大品目の在庫物量を最大限確保しなければならないが、両国の関係悪化で規制がさらに強化されることを恐れているからだ。特に、大統領府と政府が代案として提示した「輸入先の多角化や国産化」は長期的課題であるため、当面の在庫不足は解決できない。業界は、強制徴用賠償判決をめぐり、日本が提案した第3国による仲裁委員会設置案の回答期限である18日と、日本の参議院選挙日の21日の間に、もう一度輸出規制対象が拡大すると見て、日本政府を刺激せずに在庫物量を最大限確保するために奔走している。次の規制対象としては日本製の装備や炭素繊維、機能性フィルムなどが挙げられる。
まず、半導体業界は厳しい保安を維持しながら、多角的に解決策を模索している。日本以外にも代案を模索する動きが目立つと、日本政府がより強く手綱を引き締める可能性もあるからだ。業界関係者は「国内外企業の発掘から迂回輸入まで、内部的にあらゆる方法を検討している」とし、「まだ日本産に代わる供給先がないため、日本政府を刺激する行動は最大限控えようとしている」と述べた。供給先の国産化と多角化を模索してはいるものの、これを前面に押し出すのは危険だと判断したのだ。
サムスン電子は、最高裁判所の判決を控えたイ副会長の“経済解決士”としての顔を示すのは悪くないが、日本政府の顔色を窺わざるを得ないジレンマに陥っている。最近取りざたされた「第3国工場を通じた迂回確保」は、事実上日本の輸入と同じ許可手続きを踏まなければならず、実効性が低いことが分かった。SKハイニックスは、ロシア製の高純度フッ化水素サンプルや国内企業のサンプルをテスト用として使ってみるなど、供給先の多角化に乗り出したが、これを公式化するのはためらっている。
半導体業界が直面した逆説は、イ副会長の5泊6日の日本出張でも一部現れた。イ副会長は当初、住友化学など主要な材料メーカーに会う計画だったが、ほとんど訪問を断られたという。日本政府の圧迫基調が続いている中、日本所在の企業が韓国の企業トップに会うことを負担に思ったものとみられる。イ副会長は結局、これら企業の主要株主である三菱UFJファイナンシャルグループなど大手銀行に「すぐ関係が回復するから、企業に説明してほしい」と頼むことで出張を終えた。「イ副会長が物量を緊急輸入した」という一部の報道は、何の成果もなく帰国したとも、具体的な動きを公開することもできなかったサムスン電子が、次善策として打ち出した説明だったわけだ。
財界関係者は「韓国は日本から材料を提供してもらう立場なので、対抗するカードがあまりない」とし、「正面突破よりは慎重なアプローチが必要だ」と話した。