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サムスン電子、「世界初の5Gフォン」のタイトル欲しさに旧規格の通信チップを使用

登録:2019-06-06 06:23 修正:2019-06-06 10:07
3GPP、9月規格を補完して12月規格も発表したが 
「世界初の5Gフォン」のタイトル欲しさに古い規格を固守 
通信や速度、互換の面で品質が劣る 
クアルコムは「遅れても最新バージョン」1カ月遅れて供給 
消費者を犠牲にして勝ったところで不完全販売に過ぎず
サムスン電子の「ギャラクシーS10 5G」//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子が「世界初5世代(5G)スマートフォン」のため、旧規格の通信チップを使用し、発売から1カ月後にアップデートを行ったことが確認された。ところが、これは強制アップデートではないため、今も過去のソフトウェア使用者が数万人に達すると予想される。通信網の不安定とあいまって、5Gサービスの初期不良に影響を及ぼしたという指摘もある。

 5日、業界関係者の話によると、サムスン電子は今月4月に商用化した世界初の5Gフォンの通信モデムチップの規格を、先月10~14日に新たにアップデートした。「ギャラクシーS10 5G」ユーザーのうち、90%は新規格基盤ソフトウェアをダウンロードしたとサムスン電子は説明した。今年4月基準で、サムスン電子5G端末機が23万台売れたことを考えると、少なくとも2万3千人はまだアップデートを行っていないことになる。サムスン電子は昨年9月と12月、モバイル通信標準化技術協力機構(3GPP)が2回公開した規格のうち、9月の規格を使用してチップを制作したが、これは新規格に比べて通信トラブルが多く、他の通信装備との互換性も劣る。

 サムスン電子が「9月規格」を採択したのは、昨年から論議の的になってきた。3GPPは事業者の便宜のため、通信世代が替わるたびに標本規格を作って公開しているが、昨年は9月規格を作った後、いくつかの問題が発見されたため、50項目を修正した後、12月規格を再度発表した。市場事業者の大多数が最新規格に合わせて再整備を進めていた時、クアルコムとの通信モデムチップ競争を繰り広げていたサムスン電子は、異例にも9月規格を選んだ。5Gチップと5G端末を“世界初”で売り出すためだった。

 業界関係者は「『どうせ後でアップデートしなければならないから、新しい規格に行こう』という意見もあったが、政府と一部事業者らが推し進め、9月規格を選んだと聞いた」とし、「(発売を)1カ月延期するだけで、新しい規格のものを発売できたはずだ。実際、アップデートした後、通信品質が改善された」と話した。

 実際、両規格間の違いは明確だ。業界の意見を総合すると、9月規格のチップは12月規格のチップよりも通信速度が遅く、微細な信号を捉える際、感度が落ちる。12月規格を選んだエリクソン・ノキアの通信装備と互換はできるが、同じ規格同士のように円滑ではなく、たまに途切れることもある。5Gが普遍化された場合は消費者たちもあまり不便を感じないレベルだが、サービス初期には十分に違いを感じ取れる。結局、今年4月に「ギャラクシーS10 5G」を購入したユーザーは、140万ウォン(約13万円)にのぼる金額を出して、古い規格のチップを使ってきたわけだ。

 サムスン電子は「発売から1カ月後に新しい規格に替えた」と強調したが、今年2月にも新規格を採用することができた。通信装備会社は12月規格の発表直後、これを分析し、自分たちが適用する項目を選んで、2月に発表した。通信装備と通信モデムチップを作るサムスン電子も、選択の岐路に立たされたが、3月28日に予定された発売日に合わせるため、最新規格の採用を諦めた。一方、クアルコムは、新規格を基盤に5Gチップをアップデートすることにした。

 5Gサービスの初期不良は通信網の不安定さに大きく起因するが、「世界初」のタイトル欲しさに旧型企画を採用したサムスン電子の勇み足も、不完全な販売にもたらす原因となった。韓国公益通信協同組合のハン・ヒョンベ理事長は「旧型規格を適用し、すでに一度アップデートが予定されているスマートフォンを試験用でもなく高価な商品として売り出すのは良心のない行為」だとし、「消費者たちにあらかじめ知らせ、理解を求めなければならなかった」と指摘した。

シン・ダウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/896791.html韓国語原文入力:2019-06-06 00:42
訳H.J

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