本文に移動
全体  > 経済

「文大統領、最高裁の判決前にイ副会長に会ったのはろうそく集会の精神に反する」

登録:2019-05-03 06:43 修正:2019-05-03 07:54
改革進歩陣営の学者ら、口をそろえて批判 
「判決に影響を及ぼしかねない」 
「財閥改革を事実上放棄」
文在寅大統領とサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が先月30日、京畿道華城市のサムスン電子の工場で開かれた非メモリー半導体ビジョン宣布式で握手する姿=華城/大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領がサムスン電子工場で行われた非メモリー半導体ビジョン宣布式で、最高裁(大法院)の判決を控えているサムスン電子のイ・ジェヨン副会長と会ったことについて、改革進歩陣営の学者が口をそろえて「ろうそく集会の精神」に反すると批判した。参与連帯も「深い憂慮」を示した。

 成均館大学のキム・テドン名誉教授は2日、「文大統領とイ副会長の会合は最高裁の判決に大きな影響を及ぼしかねない」とし、「弊害を清算し、国らしい国を作ってほしいというろうそく集会の精神に背を向け、財閥体制の積弊を清算し強者と弱者が共存する経済生態系を作るという『知識人宣言』の要請を100%無視したもの」だと批判した。「社会経済改革に向けた知識人宣言ネットワーク」(共同代表キム・テドン、イ・ビョンチョン、チョ・ドンムン教授)が同日、ソウルのフランシスコ教育会館で、文在寅政権の2年間を評価するために開催した討論会「所得主導成長・革新成長・公正経済はどうなったか」での発言だ。改革進歩陣営の学者たちを網羅する知識人宣言ネットワークは、昨年7月、323人が参加した「知識人宣言」で文在寅政権により積極的な社会経済改革を求めた。

 キム名誉教授は「大統領が財閥に捕獲されなくても、重責を務める側近たちが財閥に捕獲されれば、改革は失敗する」とし、「政府が財閥に何度も大規模な投資と雇用を乞うたが、帰ってきたのは10%以上の設備投資の減少と雇用の低迷」だと指摘した。これは大統領府とサムスンの“蜜月”に主要な役割を果たしたとされるノ・ヨンミン大統領府秘書室長を念頭に置いた発言とみられる。

 文在寅政権が財閥改革を事実上放棄したという指摘も相次いだ。経済正義実践市民連合のパク・サンイン政策委員長(ソウル大学教授)は「政府が財閥の支配構造改善に向けた商法、公正取引法の改正における困難を理由に掲げ、財閥改革を事実上放棄した状態」だとし、「2018年地方選挙以来、銀産分離(財閥の銀行所有禁止)の原則を崩すインターネット専門銀行の許可やベンチャー企業の差等議決権導入の推進など、財閥寄りの政策に転じた」と批判した。

 キム名誉教授は、財閥改革の責任を担っているキム・サンジョ公正取引委員長に苦言を呈した。キム名誉教授は「キム委員長が財閥との疎通-自律的な変化-法執行の3段階財閥改革推進戦略を提示し、数回にわたって大企業と懇談会をしたが、財閥の自主的な変化の実績は循環出資解消のほかには注目に値することがなく、公取委の法執行も5大グループに対する調査・制裁の実績はほとんどない」と指摘した。

 文在寅政権の中核となる経済政策である所得主導成長が、暗礁に乗り上げる危機を迎えているという懸念も相次いだ。キム名誉教授は「二極化が解消されてこそ、内需や成長、雇用にも役立つが、最低賃金一つで多くの目標を解決しようとする自滅策を講じた」とし、「最低賃金の論議を口実にホン・ジャンピョ大統領府経済首席を更迭したのは非常に間違った人事で、所得主導成長特委を新設しても、経済官僚が担当している大統領府経済首席や企画財政部などが同意しなければ無用の長物」だと指摘した。パク・サンイン教授も「文在寅政権2年目には所得主導の成長政策を事実上放棄し、革新成長と経済活力の強化を掲げて、朴槿恵(パク・クネ)、李明博(イ・ミョンバク)政府の政策に回帰している」と批判した。

 「過去回帰の動き」に対する指摘もあった。釜慶大学のファン・ソンウン教授は、「景気低迷や反改革勢力の逆攻勢、内部分裂などに対する対応が不十分だったうえ、政策企画や推進力でも限界を示しており、最近は産業・労働などの制度改革が遅れを取っている中、大統領選公約放棄と過去回帰の動きまで現われている」とし、懸念を示した。

 彼らは、政府が所得主導成長政策を持続的に拡大すべきだと強調した。建国大学のチュ・サンヨン教授は「所得主導の成長は、その範囲を拡張し、持続的に推進するのが望ましい」とし、「所得主導成長は、最低賃金の引き上げと失業保険、勤労所得奨励税制(EITC)の強化の3拍子と調和をなすように進めなければならない」と指摘した。

 一方、参与連帯は同日、論評を発表し、「裁判中の企業トップと大統領が会うたび企業が投資計画を発表するのを、単なる偶然とみなすことはできない。大統領が投資計画に拍手を送り、国民の税金で支援するのは言語道断だ」としたうえで、「『経済活力の向上』という美名のもと、大統領がイ副会長に直接会うこと自体、司法部に送るメッセージが小さくない」と批判した。

クァク・ジョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/892447.html韓国語原文入力:2019-05-02 20:21
訳H.J

関連記事