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製鉄・製鋼、知られていなかったPM2.5の共犯

登録:2019-03-15 10:08 修正:2019-03-15 13:48
「大気汚染物質排出」資料を入手 
PM2.5の主犯とされてきた発電業は、 
絶対量が多いが、5年間で43%減少 
規制の弱い製鉄・製鋼は25%増え 
「まず低減のための実質的な規制が急務」
ソウル市内にPM2.5が立ち込めている様子//ハンギョレ新聞社

 政府の規制強度によって、微小粒子状物資(PM2.5等)の原因である大気汚染物質の排出量の推移が、業種ごとに異なることが確認された。大気汚染物質の排出規制が相対的に厳しい発電業のPM2.5の原因物質排出量は、ここ5年間で40%以上減ったのに対し、製鉄・製鋼業はむしろ25%ほど増えたことが分かった。特に、現代製鉄唐津(タンジン)製鉄所の排出量は同期間に2倍に増えた。石油化学・セメント製造業は排出量低減に事実上失敗した。大気汚染物質の排出規制は発電業では厳しい方だが、製鉄・製鋼業の場合はあるかなきかというレベルだった。

■製鉄・製鋼業で増えた大気汚染物質

 ハンギョレが14日、ウ・ウォンシク民主党議員から確保した「2013~2018年(暫定)全国煙突自動測定機器(TMS)義務設置事業場の大気汚染物質排出資料」によると、政府の環境規制の強度によって業種ごとの汚染物質排出量の推移がはっきり分かれた。

 TMSが設置された事業場から噴き出す大気汚染物質の総量は、2013年の43万622トンから2018年は33万46トンへと23%減少した。発電業が排出量を大幅に減らしたためだ。発電業から排出された大気汚染物質は、2013年の25万5572トンから2018年には14万5467トンまで下がった。絶対量は依然として多いが、減少傾向であるのははっきりしている。

 一方、製鉄・製鋼業の排出総量は同じ期間に25%(5万804トン→6万3384トン)も増えた。汚染物質の中でもPM2.5の主な誘発物質である窒素酸化物(NOx)は2万7397トンから3万4745トンに増え、硫酸化物(SOx)も2万1881トンから2万7249トンへと増加した。セメント製造業と石油化学製品業はほとんど変化がなかった。

 TMSとは、大気環境保全法に基づき年間10トン以上の大気汚染物質を排出する事業場にのみ設置され、チリや窒素酸化物、硫酸化物など7種類の物質の濃度(ppm)をリアルタイムで測定する設備だ。昨年末基準で、全国626カ所の事業所に設置されている。政府が2017年に発表した「PM2.5管理総合対策」によれば、TMS未設置事業場を含む全体の「事業場」の汚染物質排出比重は38%で、建設機械・船舶(16%)、軽油車(11%)、冷暖房(5%)などを抜いて最も大きかった。

■現代製鉄・ポスコの汚染物質排出量が増加

 関連業者を具体的にみると、現代製鉄の排出量の増加幅が圧倒的に大きかった。現代製鉄唐津製鉄所は、2013年の1万1230トンから2017年には2万1849トンへと、4年間で2倍近く(94.6%)急増した。ポスコ光陽(クァンヤン)製鉄所が同じ期間に1万9794トンから1万9997トンへと小幅に増加したことに比べ、増加幅が非常に大きい。

 現代製鉄の大気汚染物質の排出急増には、設備の老朽化や増設などが総合的に影響を及ぼしたものと考えられる。現代製鉄側は「2010年に完工した既存の2つの高炉に加え、2013年9月に3高炉が完工し、2015年にハイスコと合併するなど設備の増加があった」と説明した。しかし、ある政府関係者は「設備の増加を考慮しても(排出量の)増加のスピードが早すぎた。設備の老朽化が少なからぬ影響を与えているようだ」と分析した。

 セメント製造業では、双龍洋灰工業東海(トンヘ)工場、三票セメント三陟(サムチョク)工場、漢拏セメントが3大排出量事業場であることが分かった。2017年には、3カ所とも1万5千トンを少し下回る規模を排出した。石油化学業では排出量4~10位の企業はすべて排出量が減少したが、GSカルテックス、SKエネルギー、現代オイルバンクの上位3大企業は2~10%ほど増加した。

 一方、発電業の場合、南東発電三千浦(サムチョンポ)発電本部、西部発電泰安(テアン)発電本部、南部発電河東(ハドン)火力など上位10事業場すべて、この4年間で大気汚染物質の排出量が25~75%減少した。

■あるかなきかの規制で汚染を減らせるわけがない

 大気汚染物質に対する業種ごとの対応の違いは、規制の強度と直接関連があるものとみられる。政府は大気環境保全法に基づき、業種別に各施設の設置年度(老朽化水準)を計算して排出量規制基準を決め、これを超える場合「超過排出賦課金」を徴収する。

 製鉄・製鋼業は規制基準が事実上はないも同然だ。規制を設定する基準となる2012年の国立環境科学院による「大気汚染物質の排出許容予告基準」報告書によると、製鉄・製鋼の平均排出濃度は95.90ppmであり、最高濃度は150.42ppmだ。だが、今年強化された規制基準でさえ、実際の排出水準よりかなり高く設定されている。製鉄・製鋼業規制基準は2010年の120~220ppmから2015年には120~200ppmへと小幅に変わり、今年から100~170ppmの基準が適用される。

 製鉄・製鋼規制基準が20%ほど強化されるのにとどまる間、発電業規制の強度は2倍以上強化された。発電業の場合、2010年の窒素酸化物排出規制基準は80~150ppmから、2015年には70~140ppmへ、今年からは50~70ppmへと大幅に強化されてきた。これを控え、発電業では環境改善設備投資に乗り出すほかなかった。

 ウ・ウォンシク議員は「政府は事業場のPM2.5を減らすため、実質的な規制と支援対策を用意し、企業もPM2.5低減のための投資計画など実効的な対策を打ち出さなければならない」と話した。

チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/886028.html韓国語原文入力:2019-03-1507:09
訳M.C

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