最近、ソウルの微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が高くなった原因は、国内の気象条件の悪化と共に、中国の北京や瀋陽などで発生したPM2.5が流入したためという分析が出た。特に、今年2月末の中国現地での小正月行事の際、北京各地で鳴らされた爆竹が、ソウルの大気汚染に影響したという指摘もある。
ソウル市保健環境研究院のシン・ヨンスン院長は6日、ソウル市庁で記者会見を行い、「1~2月、中国都市のPM2.5の濃度が昨年同期より約23%増加した」とし、「ソウルの1~2月のPM2.5の平均濃度も37マイクログラム/立方メートルで、最近5年間で最も高く、PM2.5により空気の状態が『悪い』と記録された日数も23日間で、大幅に悪化した」と明らかにした。シン院長は「今年1~2月、ソウル地域の風速は5年間最低で、降水日数も5年間で最も少なかった」とし、「このような気象条件も高濃度のPM2.5に大きく影響した」と付け加えた。PM2.5を吹き飛ばしたり洗い流すのに影響を与える風と雨が少なく、大気が停滞している状況で、PM2.5が中国など国外から繰り返し流入されたことで、PM2.5の濃度が非常に高い日が続いたという説明だ。保健環境研究院がPM2.5の濃度を時系列に分析した結果、北京と瀋陽で高濃度のPM2.5が発生した12~30時間後に、ソウルのPM2.5の濃度が上昇することが分かった。中国の旧暦の小正月(元宵節)の2月19日、北京で爆竹が鳴らされてから、約20時間後のソウルの硫酸塩濃度は4.6倍、爆竹の燃焼の産物であるストロンチウムは11.1倍に急増した。北京でPM2.5の濃度が231マイクログラム/立方メートルを記録した2日午後12時から30時間後のソウルのPM2.5の濃度は、72~101マイクログラム/立方メートルをと観測された。このため、中国で発生した汚染物質がソウル・首都圏に影響を及ぼした可能性が高いと、同研究院は分析した。
同研究院は、PM2.5を減らすためには国外要因の除去と共に、国内的な努力も必要だと強調した。シン院長は「気象要因と国外要因だけを考えて手を拱いているわけにはいかない。国内の排出ガスの削減に向けて画期的な実践が必要だ」とし、「様々な限界によって国内の排出要因を短期間で大幅に減らすことが難しければ、まず健康有害度の低減効果が大きい発生源を減らすことが望ましい」と述べた。シン院長は、「特に、ディーゼルエンジンの排気ガスは発ガン物質など健康有害成分が他の排出源に比べて多いことが確認された」と説明した。
ソウル市は国内の排出ガスを削減するため、今年下半期からソウルの四大門(朝鮮王朝時代に都城を築く際に建てられた四方位の門。南の崇礼門(南大門)、北の肅清門、東の興仁門(東大門)、西の敦義門(西大門)を指す)地区内の緑色交通振興地域(四大門内の鍾路区・中区一帯)で、排出ガス5等級車両の通行を常時制限する案を施行する予定だ。同案が施行されれば、ソウルの一定地域では排出ガス5等級の車は運行できない。現在、ソウル市はPM2.5非常低減措置の時だけ、排出ガス5等級制を実施している。
ただし、ソウル市は、緑色交通振興地域を運行する車に混雑通行料を課す案は検討していないと発表した。ソウル市のイ・ウォンモク交通企画官は「2017年から研究してきたが、混雑通行料の賦課に対する具体的な実施計画は立てていない」と述べた。ソウル市は「非常削減措置の際、公共機関の役員や職員を対象に実施する車両2部制も、当面拡大する計画はない」と明らかにした。ク・アミ大気企画官は「施行したばかりの排出ガス5等級制が定着するまでは時間が必要で、車両制限と関連した追加的な対策は検討していない。車両2部制などは市民の意見を綿密に検討し、中央政府と相談して決める事案」だと述べた。