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「耐えている」「すでに危機状態」…北朝鮮の制裁の影響に対し交錯した分析

登録:2019-02-28 08:50 修正:2019-02-28 15:12
対中国輸出87%減少…対外交易は「崩壊」 
食料・物価、電力などの内需は安定 
 
「内部状況が表にあらわれないだけ… 
資産価格も下落」反論も根強い 
 
制裁解除の見通しが低くなれば混乱の可能性 
「実物部分は今年が分岐点」
北朝鮮の対中国輸出入の増減率(前年同期比/単位:%、上の線が輸入、下の線が輸出)=資料:KDI・中国海関統計//ハンギョレ新聞社

 昨年の対北朝鮮制裁で北朝鮮の対外貿易が大きく萎縮した反面、内部の経済状況にはまだ大きなショックが観測されていないという分析が出た。これをめぐり様々な解釈が出ているが、朝米首脳会談が北朝鮮経済にとって大きな分岐点になるだろうという評価は共通している。

 27日、韓国開発研究院(KDI)が発表した「北朝鮮経済レビュー」2月号によると、昨年、北朝鮮が全面的に頼ってきた中国向け輸出が前年比で87%減少した。以前の制裁の時は特に影響を受けなかった北朝鮮の対中国輸入も、昨年は33%減少した。韓国開発研究院のイ・ジョンギュ研究委員は、「2017年に決議された4つの(対北朝鮮制裁に関する)国連安保理決議案は、2018年の北朝鮮経済に直接影響を及ぼす内容が含まれ、過去の決議案と違い民生部門にも制限を加えているという点で差別化される」と説明した。

 対外貿易が「崩壊レベル」に達した状況だが、北朝鮮内部の経済ショックは目立って現れなかった。韓国開発研究院のイ・ソク先任研究委員は同刊行物で「昨年の北朝鮮の食糧事情は例年に比べて大きく悪化しているとはみられず、電力など一部産業分野では相対的に良好な様子を見せた可能性がある」とし、「何よりも北朝鮮の市場物価が非常に安定して維持された」と説明した。

 対外貿易と内需の間で食い違う様子をめぐり、専門家の間でも意見が分かれている。「対外部門のショックが対内部門にまで全面化せず耐えている」という意見と、「北朝鮮経済はすでに危機に直面している」という分析がぶつかっている。「耐えるのに成功している」という主張は、北朝鮮がまだ最小限の経済状況を維持できるだけのドルを保有し、非公式貿易を続けているという推定に基づいている。また、現在北朝鮮政府が集中している輸入代替国産化政策もある程度供給不足を挽回し、価格を安定させる効果を発揮した可能性がある。

 一方、対北朝鮮制裁が強化され、過去と違って北朝鮮が非公式に外貨を求める通路自体が減少しているという解釈も出ている。北朝鮮の特性上、内部状況が十分に表れていないだけで、実際に外貨供給が大幅に減少しており、これは資産価格の下落など、内部経済にすでに大きな影響を及ぼしているという意味だ。

 ただ、いずれにしても制裁による対外ショックの中で、北朝鮮が今後継続して内需を支えるのは難しい。産業研究院のイ・ソクキ研究委員は「2019年は北朝鮮の産業および実物部門において分岐点となる年になると思われる」とし、「第2回朝米首脳会談が目に見える成果を上げることができず、経済制裁が解除される可能性が低くなる場合、北朝鮮の産業および実物部門が混乱に陥る可能性も排除できない」と分析した。

 一方、この日、ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は記者団に応じ、朝米首脳会談について「会談がうまく進み、対北朝鮮制裁緩和の環境が整えば、南北経済協力が本格化する」とし、「南北経済協力を水面下で検討している」と明らかにした。

バン・ジュンホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/883897.html韓国語原文入力:2019-02-27 21:57
訳M.C

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