「自家用車は1台も走らず、ドローンを通じて救急医療サービスが提供される都市。蛇口をひねるとミネラルウォーターが出て、世帯別電気料金が0ウォンの都市…」。こんな都市がはたして可能だろうか?
4次産業革命委員会は16日午後、ソウル上岩洞(サンアムドン)のDMC先端産業センターで政府が力点を置いて推進しているスマートシティモデル都市「世宗5-1生活圏」と「釜山エコデルタシティ」の下絵を発表した。今回のスマートシティモデル都市事業は、都市計画に関しては非専門家であるチョン・ジェスンKAISTバイオ脳工学科教授(世宗)とチョン・ジェウォン・エクセンツリー代表(釜山)がそれぞれ統括監督(マスタープランナー)を受け持ち、最初から関心が集まっていた。
この日、2人の統括監督が発表したスマートシティの下絵の核心キーワードは、技術・市民参加・規制緩和だ。まず世宗は「共有モビリティ」という基調の下、全ての自家用車は都市の入口に駐車し、都市の中では自動運転車・シェアカー・自転車で移動する。次世代移動通信(5G)に基盤を置く交通の流れデータの人工知能(AI)分析で交通渋滞が消え、ドローン・ロボットを通じての宅配と医療システムが提供される。食材は都市内の建物型スマートファームで栽培され、配送される。チョン教授は「スマートシティは、高層ビルのあるソウル江南(カンナム)ではなく、北村(プクチョン)・西村(ソチョン)、延南洞(ヨンナムドン)のような外観を持つ」と話した。
釜山は小規模ビル型浄水施設を消費者の近くに配置し、ミネラルウォーター水準の水を供給し、川の水を利用して水と大気の温度差を熱に交換する「水熱エネルギー」など、環境にやさしいエネルギーをもとに世帯別電気料金0ウォンに挑戦する。
市民・使用者が直接革新の主体となる「リビングラボ」を構築するなど、市民参加も強調された。世宗は世論調査・相談窓口のスマートアプリや市民委員会を通じて、代議民主主義を具現するという抱負を明らかにし、釜山も同様に全過程で市民・民間専門家が参加する「スマートシティ1番街」を運営し、市民主導型革新環境を造成すると明らかにした。
両都市のマスタープランナーはいずれも「規制緩和」を強調した。これまで規制のために十分に実証されなかった4次産業革命関連技術を、スマートシティで実証する「規制サンドボックス」、「テクサンドボックス」の役割をしなければならないということだ。主にデータ関連規制が代表的だが、世宗は20~30万人の住民から長期・集中的にデータを確保し、市民にデータ分析を通じたサービスを提供することにし、釜山も民間企業が必要とするデータを作って共有する「データマーケット」を運営することにした。このためには個人情報保護関連の規制緩和が必要だ。
実際、政府・与党が推進中のスマートシティ造成および産業振興などに関する法律(スマートシティ法)改正案は、常任委を通過した状況だ。改正案の内容によると、情報主体の同意がなくとも国土交通部と行政安全部が指定した検証機関で適正性を検証された場合、「非識別化」された個人情報を使用したり、第3者に提供することができる。チョン教授は、データ利用過程における個人情報の侵害を巡る懸念について「非識別情報といっても(個人を)再識別できるため懸念があるものの、ブロックチェーン技術を活用すれば偽造・変造が不可能であり、追跡もできるため(個人情報侵害の恐れを)減らすことができると見ている」と話した。
この日、基本構想が発表されたスマートシティモデル都市は、追加的な意見収集や民間企業の参加方案の議論を経て、12月には具体的な施行計画が樹立される予定だ。施行計画には土地利用計画をはじめ、公共・民間主体別の役割、財源分担方案などが含まれる。来年上半期に設計と工事が進み、2021年の入居が目標だ。世宗は韓国土地住宅公社(LH)、釜山は韓国水資源公社(Kウォーター)が施行を務める。